表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アミューの旅  作者: アミュースケール
第2章 輪廻転生
45/58

第2章1ー44

ルタンは扉を開いた。直ぐ様、風に抱かれた。久々に風の億千に心が洗われた気がした。この風はどこからやってきたのであろうか?遠い異国の地に住む娘の深呼吸から運ばれてきたのか、近くの山の声なのか、貝殻からの便りなのか、猫が走り生じた疾風からなのか、あの気になる人の涙なのか、風は何を、何故、集めてこんなにも鳴らしているのだ!



思っている以上に、その風は、ルタンに様々なエキスを授けて、男は主に足の親指で大地に接吻をしながら、街を走った。街を走っている時に、揺れ映る街並みや人々は、より男をかの爽快な乱雑にへと導いた。それから自らも、風を巻き起こしていることに気付き、男は、命と存在の不可解さに敬服した。風は浄瑠璃の太鼓!



「ルタンさん…」



突然、自身の名前を呼ぶ女の声がした。その声は、蜻蛉(かげろう)かテトラヒメナのように弱く、ひどく震えていた。声は、男のなかで、はじめは糸よりも細く、しかも悪戯にほつれていたが、その糸がくずれた末端が、男の心に吸着し、絡みついて、心のあのダイヤモンドを割りながら、奥のさらに深奥にまで染色し、その中心に到達すると、荘厳よりも荘厳な名前の心臓と、そこで歌われる讃美歌と音楽の総合が輪になって、星よりも多く舞い、開闢(かいびゃく)した。



ルタンは、初めて名前を呼んだ、呼んだ。



「カサ…、カサ、カサ!」



※続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ