第2章 1ー38
フェルマエの街はすっかり夜がふけっていた。ほとんどの家々は、眠りに就いており、ちらりほらりと松明のあかりが、ぽつんぽつんと照らす程度であった。どこの時代や街にも詩人がいるように、このフェルマエにも詩の旅人がいた。その詩人は、はじめは満天の星空、曲線、アステリズムをぼんやりと眺めていた。それから次第に、情熱の花王が全身全霊に咲き散らばり、デネボラ、アルクトゥールス、スピカを、燃えるように祈り、全力で両腕を突き上げながら見つめ、このような心境となって、歌った。
モダンロマンの青色で包まれる地球に
丑三つ時の雲は、泣いている!
あぁああぁ!祖国よ!
全ての故郷に出航する命の船よ!
鏡の泉は吠えているのだ!
然るべきときに
我らの行く末は、明らかにされるであろう!
この世界はやがて消えていく…。
消えたそのあとに、我らには
何が、残るであろうか…。
青春の光
あの日流した汗
道に咲いた花糸撫子
亡くなった友の形見
酔っ払いの溜息
有頂天の華
それとも我らの血潮なのか…。
おおぉおおお!全てを統べる源のその奥よ!
我らの渇いた心に、木霊し給え!
我らの耳は遠く…、目は昏い、昏い!
来たれ!来たれ!夜明けを告げる
黄金の太陽よ!
そのとこしえの金粉で
煌めいて、この地を染めてくれ!
今こそ大きく両腕を広げよう!
立ち昇れ!立ち昇れ!
我らに、新たなよろこびの子を授け給え!
※続く




