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アミューの旅  作者: アミュースケール
第2章 輪廻転生
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第2章1ー25

人間界にも、自然界にも、はたまた霊的な世界にも、公明正大に、日は昇り、煌々と熱と光を内界にまで放射し、その栄光の玉座から日はしりぞいて、傾きはじめ、世界を金粉に染めながら、聖なる沈黙に入る。すると今度は、しおらしく月が顔を出し、星々は明滅の踊りを、幼子のように繰り返し、暗闇の千尋(ちひろ)を照らして、今もなお、日で暖められている私達の内界を、緩やかに成熟させていく。


この多様なコントラスト、自然からの告白、自然からの真誠の愛をわたしたちは、いつも授かり、プレゼントされていることに、改めて気付くことがある。この授かったものを、いかに、尊び、よろこび、それを、内界で育てながら、外界に繋げていき、外界に明け渡していけるのか…、これらが、わたしたち人間の日々の努めであり、よろこびのバトンであろう。自然界の存在は、それを清々しいまでに、徹している。脱帽である。人間は、自然から毎日命を頂いている。人間は、毎日命を食べながら、ようやく生きていられる。この富饒(ふじょう)な自然からの愛は、まぎれもなく、神からの愛と御命である。大気、大地、雨、日や月、星々、虹が無ければ、生きとし生ける命は、死ぬ。朝露の一粒が欠けても、崩壊する。なんだか皆、神のへその緒で繋がっている、胎児のような存在である。


この物語でも、天体と自然、人は、そのように生きていて、日々、愛のコントラスト、中庸で、曖昧模糊(あいまいもこ)の精華を巡っている。


歓談は、連日続いていた。

歓談の場は、揺れる馬車のなか、砂漠にあるオアシス、川辺、海岸沿い、湖畔、渓谷、山中などなど、場を選らばず、どこか場に影響されていきながら、続けられた。


アミは言った。

「問題の(はら)んでいない人間はどこにもおりません。これは至極あたりまえなことなのですが、あたりまえのように、忘れてしまうものでもあります。そして、自分の孕んでいる問題を棚にあげて、自分以外の誰かの孕んでいる問題を卑しく想い、否定し、非難しはじめる人間も出てきます。これこそが、喧嘩の始まりであり、戦争にも発展しかねない最も注意しなければならないものです。自他共に、寛容な心を持つ、器の大きな人間になっていきましょう。よくよく自分自身を見直して下さい。彩りのある平和への第一歩は、いつでも一人から。また、問題を孕んでいるのを忘れさせてしまい、それを利用しようとする働きかけがあります。これが行き過ぎた宗教と商売であります。ですが、これについては(問題を孕んでいることを忘れさせる)、本当の聖なる者も、隠れているかも知れません。本当の聖なる者は、問題を問題だと、想わないからです。問題は必ず解けるもの。本当の聖なる者は、問題が孕んでいる人間の、様々な事情や経緯を感じて、想い、寄り添い、支えて、元気が出るように関わり、成り立たたせていけるパワーを持っております。そして、問題が孕んでいる人間が、どのようにしていけば、より良くなっていけるのか、自然と適切に関わっていけるからです。本当の聖なる者の愛は、問題さえも、今後の明るい可能性や魅力に変えてしまう魔法を持っております。ある意味で、大きな問題を抱えている人は、それだけの大きな愛を担える可能性を秘めているのです」


カサは言った。

「その通りですね。問題を孕みながらも、この世界は、だんだんと良くなっているように、わたしは、感じます。たとえこういったものを素直に感じられない時間が、あったとしても、結局は、それはそれで陰陽の味わいを深めるものやエッセンス、材料となり、より甘美な生に、せしめていくものにも、なりますし」


ルタンは言った。

「前にアミさんが言っていた、錬金術とは、そのようなものなのでしょうね」


アミは言った。

「その通りです!この世界は、一見すると、マイナスの方向に傾きかけているように感じるときでさえも、最も奥深いところ、その中心では、相変わらず、良い方向に向かっていって、ばかりなのです!錬金術とは、このような奥の奥にある摂理を愛を持って活用して、何事をも、黄金にしていく、すなわち、躍動する生に、グレードアップさせていく、究極の魔法なのです」


ルタンは、命を弾ませながら、言った。

「錬金術は、人によっては、錬愛術、錬生術、錬聖術、錬翔術などなど、色々と変幻自在に形を変えながら、人の命のなかに溶け込み、創造力の源となっていくのでしょう!」


アミは、言った。

「まさしくそうですね!十人十色どころではありません!人の数だけ、色や輝き、創造はあるのですから!まさに、その人独自のものとして、洗練され、この錬金術を行っていったときに、この世界に、最も高尚な鐘が鳴り響くことでしょう。そして、その福音によって、世界は結ばれていき、一体感と彩りは、鮮明になり、大きくなり、恩寵を深めて、よろこびの清雅(せいが)は広がっていくことでしょう。まさに、この地上が、百花繚乱の天国となっていくのです」


どうやら万物融解液(アルカヘスト)は、私達、一人一人の愛の独創性にこそ、あるようだ。ワラコを出発してから、14日間が経過した頃、一行は、フェルマエに到着することになる。


※続く


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