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源光(みなもとひかり)物語  作者: 西村 圭
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五、若紫

いろいろあったせいか、私はすっかり体調を崩してしまいましたので、しばらく静養することにしました。


静養先に親切な人がいて、私は静かに過ごすことができました。

ただ、どこにでも詮索好きな人はいるようで、辣腕で有名なある経営者が、引退して明石というところで家族と静かに暮らしている、という話に、私はすっかり詳しくなってしまいました。


近くには小さな子供なども暮らしているようで、飼っていた小鳥が逃げてしまったなどと泣いている声が聞こえてくることもありました。その子供がどことなく、もう随分会っていない母の恋人、藤壺の人に似ているようで、懐かしく感じました。


長く滞在していると、いろいろなことが耳に入るようになります。あの子が、藤壺の人の親戚だということがわかりました。父親とは死に別れ、母親とは疎遠になり、祖父と暮らしているのだというのです。

何か力になれることがあれば、なんでも言って欲しいと伝えましたが、迷惑だったかもしれません。


さて、あまりに長居しすぎたようで、母からも連絡があり、私は家に戻ることになりました。婚約者の葵の姉まで、迎えにきました。


家に戻り、久しぶりに婚約者の葵にも会いました。

以前よりは話は弾みましたが、葵はやはり無口で無愛想な人で、私は彼とうまく話せない自分が情けなくなりました。


そうこうしているうちに、やはりあの子供のことが気になります。惟光にも頼んで、様子を聞いてもらったりしました。やはり、お年を召された方に子供の世話は負担なのではないかと、考えました。


しばらくして、藤壺の人が病気になり、入院しました。見舞いに訪れた私は、再び長年抱えている思いを実らせました。

私は身籠りました。


母は随分私を気づかってくれました。気の進まない結婚を強いたせいで、私が誰かの子を身籠ったと思っているのでしょう。私は、真実を打ち明けることはできませんでした。

とはいえ、いまから結婚をやめるわけにもいきませんでした。

私の子供は、産まれたら母の子として育てられることになりました。


藤壺の人の親戚であるあの子の祖父が亡くなり、再婚した母親の元に行く話もあったようですが、強引に私が迎え入れることにしました。

あの子も初めては戸惑っているようですが、やがて慣れてくれるでしょう。

私はこの子に、紫とあだ名をつけました。

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