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源光(みなもとひかり)物語  作者: 西村 圭
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三十八、鈴虫

夏になり、蓮の花の盛りになりました。朱雀の三男が宴を催すことになりました。私や紫も準備を手伝います。

私は、こうして朱雀の三男を助けられることを嬉しく思ったのですが、彼の方はあまり喜べないといった様子です。


朱雀も、三男が立派な様子に喜んでいるようです。


私は、今になって朱雀の三男を慈しむ気持ちが深まり、彼の住まいを整えさせました。


秋になり、朱雀の三男の部屋に面した庭を造らせました。静かな生活を崩さぬよう、人にも気を配りました。野原のような庭に虫を放ちました。


ある日、私が朱雀の三男を訪ねると、庭で鈴虫が鳴いていました。私がなにやかにやと世話をやくのを迷惑そうにしている朱雀の三男も、この虫の音には、こころが慰められるようです。

私は久しぶりに琴を弾き、朱雀の三男も耳を傾けてくれました。


兵部や夕霧が訪ねてきたので、鈴虫の宴を催すことにしました。皆で虫の音を楽しんでいると、冷泉から連絡がきたので、顔をだすことにしました。


夕霧や兵部も一緒に冷泉のところへ向かいます。

冷泉は喜び、皆で詩や歌をつくり、楽しみました。


私は、冷泉のもとにいる秋を好む人のところも訪れました。

この六条の息子は、より静かな生活を望んでいるようです。不遇の中で亡くなった父君のことを思うと、気持ちは分かるのですが、私としても、なかなか背中を押すことはできません。


私としても、明石の人との息子や、娘の夕霧も立派になり嬉しく思いましたが、もう一人の娘である冷泉のことも思い入れがあります。

務めを辞してから、こうして気軽に行き来できるのは嬉しいことです。

六条の息子も、冷泉と過ごす時間が増えたのではないでしょうか。自由な時間が増えたことで、父君のことを思い起こすのでしょう。無理もないことです。

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