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源光(みなもとひかり)物語  作者: 西村 圭
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三十七、横笛

はやいもので、柏木が亡くなって一年が過ぎました。

しかし、彼女を失った悲しみは、なかなか癒えることがありません。

ただ、柏木の娘である薫はすくすくと成長していることが慰めになります。

夕霧も、改めて柏木の死を悼んでいるようです。落ち葉の人も見舞ったとか。

柏木の父君母君も、いまだ悲しみを抱えているようです。


朱雀も、息子である落ち葉の人も三男も沈んだ様子なので、それぞれ連絡をとり、励ましているようです。山里で採れた筍などを送ってくれました。薫が気に入って口に入れるので、抱き上げました。この子が大きくなるまで、私は見守ることができるのだろうかと考えてしまいます。


朱雀の三男は素晴らしい人です。どうして私達の仲がこじれてしまったのか、残念でなりません。ただこの薫に出会うためだったのだと思っても、やはり悔いが残るのです。


夕霧は、柏木から聞いたのか、事情を知っている様子がありますが、私に直接問いただすこともなく、日々を過ごしていました。


秋になり、夕霧は落ち葉の人を訪れ、落ち葉の人の父君と話し込みました。夕霧の家は幼子も多くにぎやかですが、一条にあるこの落ち葉の人の家は実に静かです。柏木が使っていた琴を借り、少し弾いたりしたそうです。落ち葉の人は変わらない様子で、夕霧はやや落胆したようです。

また、柏木が愛用していたという笛を預かったとか。


夕霧が自分の家に戻ると、雲居の雁の人は機嫌が悪かったようです。夕霧が落ち葉の人にこころひかれているのを察しているのでしょう。

その夜、夕霧は柏木の夢を見たそうです。


翌日、夕霧は私のところへやってきました。

私は、紫とともに明石の人との息子を迎え、孫娘たちとあそんでいるところでした。薫もつれていき、にぎやかにしています。


私は夕霧を自分の部屋に誘い、夕霧の話を聞きました。私は、柏木の笛を預かることにしました。夕霧は、薫を目にして、改めて柏木のことを思ったようです。私としても、打ち明け話などするわけにもいかず、夕霧の疑いをかわすほかありませんでした。

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