二十九、行幸
私は、玉鬘の人をどう扱ったらよいか、思い悩んでいました。
十二月に、冷泉らが大原野というところへお参りにいくことになりました。装束を整え、大勢が参加するので、見物人も多く出ます。
玉鬘の人も見物し、冷泉に魅了されたのか、冷泉のもとで働きたいという意欲がでてきたようです。
私は都合が悪く参加できなかったのですが、冷泉は残念がってくれたようです。
玉鬘の人の今後について、紫にも意見を聞いてみましたが、私とは異なる意見をもっているようでした。なにはともあれ、そろそろ玉鬘の人は成人を迎えるので、準備をはじめました。
私は、この機会に、葵の姉君に玉鬘の人のことを打ち明けようと決心しました。しかし、残念なことに、葵の父君が体調を崩し、葵の姉君は看病などで慌ただしくなってしました。夕霧も、お見舞いに伺っているようです。玉鬘の人のことを、葵の父君にもお伝えしなければと思い、私もお見舞いに伺うことにしました。
私とは久しぶりにお会いしましたので、葵の父君は喜んでくれました。夕霧が細やかに気にかけてくれていると、感謝してくれました。
私が葵の姉君にお会いしたいと言うと、夕霧と雲居の雁の人のことだとお思いになったようですが、玉鬘の人のことを打ち明けました。
葵の父君は、娘である葵の姉君に連絡を取ってくださいました。
葵の姉君は、すぐに来てくれました。
私は、葵の姉君と親しく話し、玉鬘の人のことも伝えました。葵の姉君は、夕顔の人との息子がみつかり、とても喜びました。
葵の父君は、亡くなった葵のことを思い出されたのか、涙ぐんでいました。
私も葵の姉君も、この日は夕霧と雲居の雁の人のことは口にせず、別れを告げました。
葵の姉君も、今日出た話について、いろいろな思いを巡らせているのではないでしょうか。
やがて、葵の父君の体調も落ち着いたので、玉鬘の人の成人の準備をすすめました。玉鬘の人は、とうとう実母の葵の姉君に会えると喜んでいます。夕霧にも事情を打ち明けました。夕霧は、これまでの私の玉鬘の人への振る舞いに納得したようです。
葵の父君は、玉鬘の人に祝いの品を贈ってくれました。
また、六条の人の息子や、末摘花の人も、祝いの品を贈ってくれました。
玉鬘の人の成人の祝いの日がやってきました。葵の姉君は、玉鬘の人に会えたことを喜びました。事情を聞いていたのでしょう、葵の姉君の他の子供たちも、興味深いといった様子です。
玉鬘の人と同じような境遇である近江の人は、玉鬘の人を苦々しく思うところもあったようです。姉妹である柏木や、母である葵の姉君も、そんな近江の人をからかって過ごしているとか。




