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源光(みなもとひかり)物語  作者: 西村 圭
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十五、蓬生

私が須磨に行っている間、私のことを思ってくれている人もいたようです。末摘花の人は、彼の母君が亡くなったあと、しばらく付き合いがありましたが、私もいろいろあり、すっかり疎遠になってしまいました。


彼の身の回りの世話をしていた人々も、やがて多くが彼のもとを去り、家も荒れていったようです。しかし、彼も生家に思い入れがあり、人手に渡るようなことは考えもしないのです。そんな中、時折、姉君が訪ねるくらいで、静かに暮らしていたようです。


親戚に、仕事を世話してくれるという人もいましたが、断ったそうです。私のことを頼みにしていたのでしょう。親戚の者は、紫のことまで持ち出して嫌みを言ったそうですが、彼も譲りませんでした。彼を長く支えていた者も、この親戚の姪と一緒になることになり、親戚の者と遠く西の地方に旅立っていきました。


私は長く離れて寂しい思いをさせた紫をなぐさめ、時折、花散里のもとを訪ねたりしていましたが、途中で、かつて通っていた家の前を通りかかりました。深く生い繁る蓬のようにすっかり荒れ果てていたので、惟光に聞いてみてもらったところ、末摘花の人がいまも住んでいることがわかり、寄ってみることにしました。


久しぶりに会う末摘花は、嬉しいやら恥ずかしいやら、という様子で、私は疎遠になってしまったことを謝りました。彼の私への一途さに、心を打たれました。


私の方から、彼のためにいくつか贈り物をし、私の新しい家を住むところとしてほしいと伝えました。


二年程、末摘花は生家で暮らしましたが、やがて私の家に移り住みました。それほと行き来があるわけではありませんでしたが、私としては、彼の一途さに見合うことをしたつもりなのです。

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