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源光(みなもとひかり)物語  作者: 西村 圭
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十三、明石

雨風はなかなかおさまりませんでした。

紫から、私の身を案じて連絡がありました。あちらでも、激しい雨風に見舞われているようです。私もますます辛くなりました。近くに雷なども落ちたようで、生きた心地がしませんでした。


何日か続いた雨風もようやくおさまり、私も気が弱っていたのか、その夜は亡くなった母の夢をみました。夢の中で、私は家に戻るよう諭されていました。


その後、私は須磨を離れ、明石の地に移りました。以前、私との縁談が持ち上がった男性の母君がよくしてくれ、私はこの地で落ち着いた生活を得ることができました。


この男性、明石の人は琴の名手だそうで、なかなかの腕前のようです。明石の人の母君の配慮に感謝していた私は、彼に会ってみることにしました。内気な方のようでそれほどは話も弾まず、私はいっそ紫を呼び寄せようか、などと考えながら過ごしていました。


異父姉の朱雀が眼を患い、また朱雀の母方の祖父も亡くなったと聞きました。朱雀の父は気丈に過ごしているようでしたが、異父姉の気持ちはふさいでいったようです。


やがて明石で長く過ごすようになった私は、明石の人とも段々に打ち解け、親しくしていました。一方で紫のことも気がかりで、紫のことを思うと、自然と明石の人とは疎遠になります。 


異父姉の朱雀はますます病が重く、また朱雀の父も病がちになり、気が弱くなったようです。朱雀は引退を考えはじめ、後継には弟である亡き母と藤壺の人の子とされる私の子をと、考えているようです。ただ、まだ年若いこの子の補佐にと、私のことを思ってくれたのでしょう。異父姉から戻ってくるようにと連絡をもらった私は、嬉しい気持ちとと同時に、名残惜しい心地がしていました。


明石の人とは、かえって気持ちが深まり、よく会うようになりました。いつかまた会えたら、と思うようになりました。


明石の人とその母君らに見送られて、私は明石の地を去っていきました。


私は家に戻り、紫とも再会しました。紫はすっかり大きくなっていました。明石の人のことなどなにもかも、話してしまいました。


私は以前よりも多くの仕事を任されるようになりました。


異父姉の朱雀とも会いました。朱雀は弱っているようでしたが、あたたかく迎えてくれました。亡くなった母の話などもしました。藤壺の人との子もすっかり大きくなっていて、頼もしく感じました。


明石の人にも帰りついたことを知らせました。


また、花散里の人にも連絡をとりました。とはいえ、なかなか忙しく会うこともできないので、かえって花散里を不安にさせてしまったようでした。

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