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6-5

 この日も同じように日暮れを迎えようとしていた。

 子供たちの相手をしている歴をよそに、李絳たちは今後の予定について話し合っていた。


「――じゃ、そういうことでいいか?」

「ああ」

「うん」

「……これでいいだろ」


 頷く秀と晶を見返して、李絳は最後に蘇芳を見た。蘇芳はその視線を受けて満足気に頷いた。


「うんうん。面倒事はさっさと終わらせるにかぎるよね。それさえ終わらせちゃえばあとは李絳の問題だから僕らは楽だし」

「だが、結局は俺たちも関わらざるを得ないんじゃないか?」


 顔をしかめる李絳の隣で秀が口を開いた。


「もし、最初から関わらせないつもりなら、李絳にこんな仕事回ってこなかったはずだろ。でも、梨淑様自身が李絳にそれを任せたってことは、何か意味があるんじゃないのか?」

「意味って?」


 晶が首を傾げると秀は頷く。


「ああ。じゃなければ、梨淑様か師匠がここに来ていたはずじゃないのか? それこそ、藍家の、それも重要な立場の人間かもしれないんだろ? 俺たちみたいな下の奴らには知らせない方がよっぽど話は早いはずだ」

「そう考えたら、確かに何かあるよねぇ。……もしくは、梨淑様自身がここには来られない――とか?」

「かもな。――李絳。他に何か気付いたことないのか?」


 李絳に視線を向ければ、李絳は父の様子を思い出すように眉を寄せた。


「確かに、父上たちが来た方が確実に保護できたはず……。当主である父上が動けずとも、重要な仕事なら師匠だって動けるし……ああ、よくわからん!」


 しかし結局、李絳は考えるのを止めた。


「とにかく、父上たちにとって大切な人間だってことは確かだと思う。理由は知らないけどな」

「――それこそ、彼女に聞けばいいんじゃないかな?」

「……あ?」


 溜息をついた李絳の耳に、笑みを含ませた言葉を降らせたのは蘇芳。李絳が訝しげに蘇芳の視線の先を見る。

 そこには、彩蘭という彼女がいた。歴と遊んでいる子供たちよりも幼い子らと、談笑している。


「…………まだあの女だと決まったわけじゃねぇだろ」


 苦々しげにそう言った李絳に、蘇芳は「えー」と不満気に声を上げる。


「でも色々調べた結果、彼女が一番疑わしいんだよね?」


 ここ数日里中調べ回った結果、藍家の人間とやらが隠れているような形跡はどこにもなかった。賊の目を盗んで、里周辺もくまなく調べたが同様に何も出てこない。

 そして、色々考えた結果、矢神家に居候しているという彼女が一番怪しいと結論付けたのだ。


「灯台もと暗し、とも言うしね」

「わーお、女の子説当たっちゃったー?」


 晶が大袈裟に反応すると、秀が溜息をついた。


「武人、には見えないけどな」

「すごく普通の人に見えるねー。ただすごく動きが綺麗だよねぇー」

「所作と言え。もしかしたらわざとって可能性も捨てきれないけどな」

「そうだね。まぁでも――李絳?」


 蘇芳が頷いた時、李絳の纏う空気が変わる。李絳の視線は森の方がに向いている。

 蘇芳たちは訝しげにそちらを見て、すぐに李絳と同じように警戒を見せた。

 いつの間にか子供たちとの遊びがを終わらせていた歴もこちらに近づきながら警戒している。

 そして、李絳たちは木々の中から放たれるあからさまな殺気に油断なく身構えた。





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