第3話「初遭遇」
『ビーストギア 黒幕の物語』
第二章「モズキャッチャー」
第3話「初遭遇」
「…………」
博士は、モニターを見ていた。
画面の中。
モズキャッチャーが街を歩いている。
黒い髪。
白いトップス。
赤いスカート。
それだけを手掛かりに。
探し続けている。
「…………」
早贄が発見されたことで。
警察も動き始めた。
それでも。
探索を止めるつもりはない。
まだ。
目的の女を見つけていない。
「…………」
博士が別の画面へ視線を移そうとした。
その時。
『博士』
「何だ」
『見つけた』
「…………!」
博士の手が止まった。
◇
画面を拡大する。
一人の女が歩いている。
黒い。
長い髪。
真っ直ぐに伸びた、ロングストレート。
白いトップス。
赤いスカート。
「…………」
博士が身を乗り出す。
モズキャッチャーも。
女を見ている。
『黒い髪』
「ああ」
『長い』
「ああ」
『白いトップス』
「ああ」
『赤いスカート』
「…………」
博士は。
保存していた映像を呼び出す。
見比べる。
顔。
髪。
服装。
体格。
「…………」
間違いない。
「そいつだ」
『見つけた』
「ああ」
ようやく。
見つけた。
「確保しろ」
『分かった』
◇
モズキャッチャーが。
女――東へ向かっていく。
「…………」
博士は。
その様子を見つめていた。
東は逃げない。
「…………?」
怪人が。
自分へ向かってきている。
それなのに。
逃げない。
「妙だな……」
モズキャッチャーが近づく。
さらに。
近づく。
東は。
まだ動かない。
「…………」
その時だった。
人影。
一人。
二人。
さらに。
「警察……?」
博士の目が細くなる。
東を囲むように。
警察官たちが現れる。
「…………」
博士は。
もう一度。
東を見る。
黒いロングストレート。
白いトップス。
赤いスカート。
こちらが探している。
その姿。
そして。
待ち構えていた警察。
「…………なるほど」
偶然ではない。
「使われたか」
博士の声が。
少し低くなる。
東自身を。
囮に。
◇
『邪魔』
モズキャッチャーが。
警察官を見る。
「構うな」
『邪魔』
「目的は女だ」
『捕まえる』
「ああ」
「女を確保しろ」
『分かった』
モズキャッチャーが。
前へ。
一歩。
その瞬間。
銃声。
◇
乾いた音が。
連続する。
銃弾が。
モズキャッチャーへ命中する。
「…………」
博士は。
黙って見ていた。
一発。
二発。
三発。
さらに。
銃声。
「…………」
当たっている。
間違いなく。
命中している。
だが。
モズキャッチャーは。
止まらない。
『…………』
一歩。
前へ。
また。
銃声。
一歩。
前へ。
「状態は?」
『何が』
「…………」
博士が。
わずかに眉を上げる。
「今、撃たれているだろう」
『…………』
「痛みは?」
『ない』
「損傷は?」
『ない』
「…………」
博士の視線が。
警察官たちへ向く。
「通常火器か」
銃弾。
人間を殺すには。
十分な威力。
だが。
モズキャッチャーには。
意味がない。
「…………」
博士は。
記録を取る。
通常火器。
脅威度。
極めて低い。
「続けろ」
『捕まえる』
◇
警察官たちが。
撃つ。
撃ち続ける。
だが。
止まらない。
モズキャッチャーは。
ただ。
東へ向かって歩いていく。
「…………」
警察官たちの動きが変わる。
明らかに。
焦っている。
当たっている。
なのに。
効かない。
「…………」
博士にとっては。
ただの確認。
だが。
向こうからすれば。
そうではない。
自分たちの武器が。
まるで。
通用しない。
「…………」
モズキャッチャーが。
また一歩。
東へ近づいた。
◇
そこで。
東が動いた。
「…………?」
博士の目が。
その手元へ向く。
東が。
武器を構える。
「それは……」
先ほどまで。
警察官たちが使っていた銃とは違う。
形状。
構造。
何より。
構えた東の動き。
「…………」
博士が。
モニターへ。
少し身を寄せる。
「何を持っている?」
次の瞬間。
東が撃った。
◇
『…………!』
モズキャッチャーの身体が。
大きく揺れた。
「…………!」
初めて。
止まった。
一歩。
後ろへ。
さらに。
身体が傾く。
「モズキャッチャー」
『…………』
「状態を報告しろ」
『痛い』
「…………」
博士の目が。
鋭くなる。
「損傷は?」
『ある』
「動けるか?」
『動ける』
「…………」
博士が。
画面を拡大する。
傷。
確かに。
ついている。
通常の銃弾では。
何も起きなかった。
だが。
今の一撃は。
違う。
「…………面白い」
◇
『捕まえる』
モズキャッチャーが。
再び。
東へ向かおうとする。
「待て」
『見つけた』
「分かっている」
『捕まえる』
「戻れ」
『…………』
モズキャッチャーが。
止まった。
『なぜ』
「十分だからだ」
『…………』
「対象は確認した」
博士は。
東を見る。
「顔」
「所属」
「警察との関係」
そして。
東が持っている。
あの武器。
「こちらに通用する装備まで持っている」
『捕まえる』
「今である必要はない」
『…………』
「未知の武器を相手に」
一拍。
「無駄に戦わせる理由もない」
『まだ戦える』
「ああ」
博士は。
モズキャッチャーの傷を見る。
「だから戻れ」
『…………』
「その傷も調べる」
『…………』
「武器のデータを持ち帰れ」
『女は』
「もう見つけた」
『…………』
「逃げる場所も」
一拍。
「分かった」
「戻れ」
◇
モズキャッチャーが。
東を見る。
警察を見る。
『…………』
まだ。
前へ行こうとしている。
「モズキャッチャー」
『…………』
「命令だ」
『…………』
「戻れ」
数秒。
『分かった』
「よし」
モズキャッチャーが。
距離を取る。
警察側が。
さらに銃を向ける。
銃声。
「…………」
通常の銃弾。
効かない。
モズキャッチャーは。
そのまま。
退いていく。
「…………」
東だけが。
特殊な武器を。
構えたまま。
こちらを見ていた。
◇
しばらくして。
モズキャッチャーが戻る。
「見せろ」
『…………』
博士が。
損傷を確認する。
「…………」
通常弾。
ほぼ影響なし。
そして。
東の一撃。
「…………」
傷はある。
だが。
致命傷には。
程遠い。
「なるほど」
博士は。
記録を開く。
東が撃った瞬間。
モズキャッチャーが。
ひるんだ瞬間。
何度も。
再生する。
「確かに効いている」
通常火器とは。
明らかに違う。
しかし。
「この程度か」
『痛かった』
「そうだろうな」
『邪魔』
「…………」
博士が。
モズキャッチャーを見る。
「お前にとってはな」
◇
博士は。
今回得られた情報を。
一つずつ。
整理する。
まず。
探索対象。
発見。
「…………」
女は。
警察と行動している。
少なくとも。
警察側の人間。
あるいは。
それに近い立場。
そして。
こちらの探索行動を。
逆に利用し。
自ら囮になった。
「…………」
次に。
通常火器。
「問題なし」
モズキャッチャーには。
ほぼ通用しない。
そして。
東の武器。
「…………」
有効。
ひるませることができる。
損傷も与えられる。
だが。
「脅威というほどではない」
博士が。
記録する。
少なくとも。
今回確認した威力なら。
モズキャッチャーを。
仕留めるには。
足りない。
「…………」
未知だったから。
今回は退かせた。
それだけ。
◇
「結果としては」
博士が。
椅子へ。
身体を預ける。
「悪くない」
探していた人物を。
見つけた。
所属も。
おおよそ。
絞れた。
警察側の。
戦力も見えた。
そして。
対怪人用と思われる。
特殊な武器の。
データまで手に入った。
「…………」
十分。
いや。
予想以上の成果だった。
◇
『博士』
「何だ」
『次は』
「…………」
『女を捕まえる』
「そうだな」
『邪魔は』
「…………」
『排除する』
「必要ならな」
『…………』
「ただし」
博士は。
モズキャッチャーを見る。
「次に警察と遭遇しても」
一拍。
「今回のように、すぐ戻すとは限らない」
『戦う』
「必要なら」
『排除する』
「必要なら、だ」
『分かった』
「…………」
博士は。
その返事を聞き。
小さく。
息を吐いた。
「それより」
一拍。
「早贄にはするな」
『…………』
「返事」
『分かった』
「…………」
やはり。
そこだけは。
信用できない。
◇
博士は。
最後に。
もう一度。
東の映像を開いた。
黒い。
長い髪。
白いトップス。
赤いスカート。
「…………」
探していた女。
ようやく。
見つけた。
そして。
予想していたより。
ずっと。
面倒な場所にいた。
「警察か……」
映像を。
切り替える。
東が。
特殊な銃を撃つ。
モズキャッチャーが。
ひるむ。
「…………」
もう一度。
再生。
「この程度なら」
傷はつく。
痛みもある。
だが。
倒せない。
「次は――」
一拍。
「逃がす必要もないか」
博士は。
静かに。
記録を閉じた。
探していたものは。
見つかった。
相手の武器も。
知った。
なら。
次に。
同じ条件で。
遭遇したとしても。
今度は。
話が違う。
――第二章 第3話 了。
――――――――――
※本作は、作者が物語のストーリー、世界観、キャラクター、設定、展開を考案し、AIとの対話を通じて文章の整理・推敲・執筆補助を行いながら制作しています。
物語の方向性、設定、展開、および最終的な内容の判断は作者自身が行っています。
本作では「人間とAIが協力して、一つの物語を作る」という創作の形にも取り組んでいます。
※本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。




