↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒幕の物語  作者: 時根脱才 
モズキャッチャー編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/11

第2話「早贄にするな」

『ビーストギア 黒幕の物語』


第二章「モズキャッチャー」


第2話「早贄にするな」


「…………」


 博士は。


 モニターを見ていた。


「…………」


 そこには。


 一本の木。


 そして。


 その枝に。


「…………」


 人間が。


 突き刺されていた。


「…………」


 博士は。


 何も言わない。


 言えない。


 数秒。


 ただ。


 画面を見つめる。


 やがて。


 ゆっくり。


 口を開いた。


「モズキャッチャー」


『何』


「私は」


 一拍。


「何と言った?」


『探す』


「その前だ」


『黒い髪』


「違う」


『白いトップス』


「違う」


『赤いスカート』


「そこじゃない」


『…………』


 博士の。


 こめかみが。


 わずかに動く。


「早贄には」


 一拍。


「するなと言ったな?」


『言った』


「…………」


 理解している。


 覚えている。


 それなのに。


「では」


 博士が。


 画面を指す。


「これは何だ?」


『早贄』


「…………」


「それは分かっている!」


     ◇


 博士は。


 額を押さえた。


「なぜ早贄にした?」


『獲物だから』


「昨日も聞いた」


『…………』


「私は、早贄にするなと命令した」


『分かった』


「分かったと言ったな?」


『言った』


「なら、なぜやった?」


『…………』


 モズキャッチャーが。


 首を傾ける。


『捕まえた』


「ああ」


『違った』


「ああ」


『殺した』


「そこまではいい」


『獲物になった』


「…………」


『獲物だから』


「…………」


『早贄』


「だから、そこをやめろと言っている!」


     ◇


 博士は。


 椅子へ。


 深く座り直した。


「…………」


 命令は。


 理解している。


 記憶もしている。


 なのに。


 実行できない。


「…………」


 いや。


 違う。


 実行できないのではない。


 モズキャッチャーの中では。


 命令と。


 習性が。


 別々に。


 存在している。


 対象を探す。


 命令。


 違えば殺す。


 命令。


 死体を隠す。


 命令。


 獲物を捕らえた。


 なら。


 早贄にする。


 習性。


「…………」


 博士は。


 目を細めた。


「優先順位の問題か……?」


     ◇


「モズキャッチャー」


『何』


「今からもう一度、命令する」


『分かった』


「対象を探せ」


『探す』


「本人なら確保」


『確保』


「違えば殺して構わない」


『殺す』


「死体は隠せ」


『隠す』


「早贄にはするな」


『しない』


「…………」


 博士は。


 念のため。


 さらに付け加える。


「枝に刺すな」


『刺さない』


「柵にも刺すな」


『刺さない』


「尖ったものに引っ掛けるのも駄目だ」


『しない』


「高い場所に置くな」


『置かない』


「人から見える場所に残すな」


『残さない』


「…………」


 ここまで。


 言えば。


 さすがに。


「行け」


『行く』


     ◇


 しばらくして。


『見つけた』


「確認しろ」


『確認』


 女性。


 黒い髪。


 白いトップス。


 赤いスカート。


 モズキャッチャーが。


 近づく。


 捕らえる。


 確認。


『違う』


「処理しろ」


『処理』


「その後は?」


『隠す』


「早贄は?」


『しない』


「よし」


 博士は。


 今度こそ。


 最後まで。


 監視することにした。


     ◇


 殺害。


「…………」


 そこまでは。


 予定通り。


 モズキャッチャーが。


 遺体を持ち上げる。


「…………」


 歩く。


 木の横を。


 通り過ぎる。


「…………」


 博士が。


 少しだけ。


 安心する。


「そうだ」


 枝。


 通過。


 柵。


 通過。


 尖ったもの。


 通過。


「…………できるじゃないか」


 モズキャッチャーが。


 人目につかない。


 場所へ。


 向かっていく。


「そのままだ」


『隠す』


「ああ」


『見つからない』


「そうだ」


 これでいい。


 最初から。


 これだけのことだった。


「…………」


 博士が。


 椅子へ。


 背を預ける。


 そして。


 モズキャッチャーが。


 遺体を。


 物陰へ。


 運び――


「…………」


 止まった。


「どうした?」


『…………』


「モズキャッチャー?」


『…………』


 怪人が。


 ゆっくり。


 周囲を見る。


「…………?」


 そして。


 物陰に。


 遺体を置いた。


「よし」


『隠した』


「ああ」


『見えない』


「完璧だ」


『…………』


 博士が。


 ようやく。


 息を吐いた。


 その時。


『でも』


「…………」


 嫌な。


 言葉だった。


「何だ」


『獲物』


「…………」


『早贄にしてない』


「そうしろと言った!」


『…………』


「そのままにしろ!」


『…………』


「いいな?」


『分かった』


「絶対に触るな」


『分かった』


「次を探せ」


『次』


「そうだ」


 モズキャッチャーが。


 その場を。


 離れていく。


「…………」


 博士は。


 しばらく。


 画面を見ていた。


 今度こそ。


 成功。


 そう。


 思った。


     ◇


 数分後。


「…………?」


 博士が。


 眉をひそめる。


 モズキャッチャーが。


 戻ってきた。


「…………何をしている?」


『…………』


「次を探せと言っただろう」


『探す』


「なら、なぜ戻った?」


『…………』


 モズキャッチャーが。


 隠した遺体を見る。


「…………」


『気になる』


「…………」


「何が?」


『獲物』


「…………」


『早贄にしてない』


「気にするな!」


     ◇


「戻れ!」


『…………』


「そこから離れろ!」


『…………』


「触るな!」


『…………』


 モズキャッチャーが。


 遺体を見る。


「モズキャッチャー」


『…………』


「やめろ」


『…………』


「おい」


 持ち上げた。


「おい!」


『…………』


「やめろ!」


 運ぶ。


「待て!」


 枝。


「やめろと言っている!」


 持ち上げる。


「モズキャッチャー!!」


『…………』


 そして。


 刺した。


「…………」


『早贄』


「…………」


 博士は。


 静かに。


 両手で。


 顔を覆った。


     ◇


「…………なるほど」


 しばらくして。


 博士は。


 顔を上げた。


「命令では抑えきれないのか」


『…………』


「モズキャッチャー」


『何』


「お前は、なぜ早贄にする?」


『獲物だから』


「命令されなくても?」


『する』


「するなと言われても?」


『…………』


「…………」


『…………する』


「…………」


 初めて。


 少し。


 答えに。


 間があった。


「そうか」


 博士の表情から。


 苛立ちが。


 少し。


 消えた。


 代わりに。


 研究者の顔になる。


     ◇


「興味深いな……」


 能力だけではない。


 行動。


 習性。


 本能。


 それらが。


 怪人の思考へ。


 どこまで。


 影響するのか。


「…………」


 生物の能力を。


 強く引き出せば。


 同時に。


 その生物としての。


 性質まで。


 強くなる。


「力だけを切り離すのは難しい、か」


 博士は。


 記録を残す。


 だが。


 そこで。


 別の画面が。


 目に入った。


「…………?」


 ニュース。


 博士の手が。


 止まる。


     ◇


『――市内で発見された遺体について、警察は――』


「…………」


 博士が。


 画面を見る。


『――通常の殺人事件とは異なる、極めて特徴的な状態で――』


「…………」


 特徴的。


 当然だ。


 人間が。


 高い場所に。


 突き刺されている。


『――同一犯による犯行の可能性も視野に――』


「…………」


 博士の目が。


 ゆっくり。


 モズキャッチャーの画面へ。


 戻る。


「…………」


『博士』


「何だ」


『見つけた』


「…………」


 また。


 黒髪。


 白いトップス。


 赤いスカート。


「…………」


『確認する』


「待て」


『…………』


「今度は」


 博士が。


 低い声で。


 言う。


「絶対に」


 一拍。


「早贄にするな」


『分かった』


「…………」


 博士は。


 目を細める。


 もう。


 その返事を。


 信用していなかった。


     ◇


 最初の早贄が。


 見つかった。


 警察が。


 動いた。


 そして。


 最悪なことに。


 モズキャッチャーは。


 まだ。


 対象を。


 見つけていない。


「…………」


 博士は。


 考える。


 回収するか。


 探索を。


 続けさせるか。


 今なら。


 まだ。


 大事には。


 ならないかもしれない。


「…………」


 だが。


 情報は。


 あまりにも。


 少ない。


 ここで。


 探索を止めれば。


 また。


 振り出しに戻る。


「…………」


 博士は。


 モニターを見る。


 対象候補。


 モズキャッチャー。


 そして。


 警察。


「……続けろ」


『分かった』


「ただし」


 一拍。


「目立つな」


『分かった』


「…………」


 その言葉が。


 どれほど。


 意味のない命令だったのか。


 博士が。


 思い知るまで。


 そう。


 時間は。


 かからなかった。


――第二章 第2話 了。


――――――――――


※本作は、作者が物語のストーリー、世界観、キャラクター、設定、展開を考案し、AIとの対話を通じて文章の整理・推敲・執筆補助を行いながら制作しています。


物語の方向性、設定、展開、および最終的な内容の判断は作者自身が行っています。


本作では「人間とAIが協力して、一つの物語を作る」という創作の形にも取り組んでいます。


※本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。