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黒幕の物語  作者: 時根脱才 
モズキャッチャー編

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第1話「探せ」

『ビーストギア 黒幕の物語』


第二章「モズキャッチャー」


第1話「探せ」


「…………」


 博士は、モニターを見ていた。


 画面には、一人の女性。


 黒い髪。


 白いトップス。


 赤いスカート。


「…………」


 名前は分からない。


 住所も分からない。


 所属も。


 現在地も。


 分からない。


 手元にあるのは。


 この姿だけ。


「少なすぎるな……」


 博士は、小さく呟いた。


 だが。


 何もないよりはいい。


 黒い髪。


 白いトップス。


 赤いスカート。


 まずは。


 この特徴に該当する人間を探す。


 見つけて。


 確認する。


 違えば。


 次。


 単純な探索だ。


「…………」


 少なくとも。


 博士は。


 そう考えていた。


     ◇


「特徴は理解したか?」


 博士が振り返る。


 そこにいるのは。


 一体の怪人。


 モズキャッチャー。


『黒い髪』


「ああ」


『白い服』


「白いトップスだ」


『白いトップス』


「それから?」


『赤いスカート』


「そうだ」


 博士は。


 もう一度。


 モニターを示した。


「この特徴に該当する人間を探せ」


『探す』


「見つけたら確認しろ」


『確認』


「本人なら確保する」


『確保』


「違った場合は――」


 博士は。


 わずかに考え。


「処理して構わない」


『処理』


「ああ」


 目撃者を。


 わざわざ残す必要はない。


 自分たちが。


 何を探しているのか。


 誰を探しているのか。


 それを外部へ。


 知られる必要もない。


「ただし」


 一拍。


「痕跡は残すな」


『痕跡』


「死体もだ」


『…………』


「見つからないように処理しろ」


『分かった』


「…………」


 博士は。


 モズキャッチャーを見る。


「確認するぞ」


『…………』


「何をする?」


『黒い髪』


「ああ」


『白いトップス』


「ああ」


『赤いスカート』


「ああ」


『探す』


「そうだ」


『見つける』


「そう」


『確認する』


「そうだ」


『違ったら』


「…………」


『殺す』


「…………まあ、そうだ」


『次』


「待て」


『…………』


「その間に一つ抜けている」


『…………』


「隠す」


『隠す』


「そうだ」


『殺す』


「ああ」


『隠す』


「そう」


『次』


「よし」


「…………」


 理解はしている。


 少なくとも。


 言葉の上では。


     ◇


「行け」


『行く』


 モズキャッチャーが。


 出口へ向かう。


「モズキャッチャー」


『何』


「余計なことはするな」


『余計』


「命令したことだけをしろ」


『分かった』


「…………」


 博士は。


 その背中を見送った。


     ◇


 怪人を。


 戦闘ではなく。


 探索に使う。


 今回の目的には。


 その方が向いている。


 対象に近い人間を探し。


 本人かどうか。


 一人ずつ確認する。


「…………」


 効率がいいとは。


 言えない。


 だが。


 他に。


 手掛かりがない。


 なら。


 数を当たるしかない。


「問題は……」


 博士は。


 モニターを切り替えた。


 モズキャッチャーの。


 現在位置。


 行動。


「どこまで、自律的に判断できるか」


 探す。


 識別する。


 確認する。


 処理する。


 痕跡を消す。


 そして。


 次へ。


 戦うだけの怪人より。


 遥かに。


 複雑な判断を要求される。


「…………」


 ちょうどいい。


 博士にとっては。


 探索であると同時に。


 試験でもあった。


     ◇


 しばらくして。


『博士』


「何だ」


『見つけた』


「…………」


 博士が。


 モニターを見る。


 一人の女性。


 黒髪。


 白いトップス。


 赤いスカート。


「早かったな」


『同じ』


「まだ同じと決めるな」


『…………』


「確認しろ」


『確認する』


 モズキャッチャーが。


 女性へ近づいていく。


 女性が。


 怪人に気づく。


 足を止める。


 そして。


 逃げた。


『逃げる』


「当然だ」


『追う』


「ああ」


 モズキャッチャーが。


 追いかける。


 すぐに。


 追いつく。


 女性を。


 捕らえる。


「確認しろ」


『確認』


「…………」


 数秒。


『違う』


「そうか」


 博士の声に。


 驚きはない。


「なら処理しろ」


『分かった』


「痕跡は残すな」


『分かった』


「…………」


 モズキャッチャーが。


 女性を殺す。


 博士は。


 黙って。


 それを見ていた。


 問題はない。


 対象ではなかった。


 こちらの存在も見られた。


 なら。


 残しておく理由もない。


「…………」


 あとは。


 死体を。


 人目につかない場所へ。


 処分するだけ。


 モズキャッチャーが。


 遺体を持ち上げた。


「…………」


 博士は。


 次の候補を探すため。


 別の画面へ。


 目を移そうとした。


 その時。


「…………?」


 止まった。


     ◇


 モズキャッチャーが。


 死体を運んでいる。


「…………」


 それ自体は。


 おかしくない。


 隠すためだろう。


 博士は。


 そう思った。


 だが。


 向かっている先が。


 妙だった。


「どこへ行く?」


『処理』


「…………」


 なら。


 問題ない。


 そう。


 思った。


 数秒後までは。


「…………」


 モズキャッチャーが。


 死体を。


 持ち上げる。


「…………?」


 そして。


「…………」


 博士の。


 表情が止まった。


「…………何をしている?」


『処理』


「違う」


『…………』


「それのどこが」


 一拍。


「隠しているんだ?」


 モズキャッチャーは。


 死体を。


 枝に。


 突き刺していた。


「…………」


 見える。


 非常に。


 よく見える。


 隠すどころか。


 まるで。


 誰かに。


 見つけてもらうために。


 置いたように。


     ◇


「モズキャッチャー」


『何』


「何をしている?」


『早贄』


「…………」


 一拍。


「何だと?」


『早贄』


「それは見れば分かる」


 博士の声が。


 低くなる。


「私は、なぜそんなことをしているのかと聞いている」


『獲物』


「…………」


『獲物を捕った』


「ああ」


『殺した』


「ああ」


『早贄にした』


「…………」


 博士は。


 額を押さえた。


「殺したことを言っているんじゃない」


『…………』


「殺すのは構わない」


『…………』


「なぜ」


 一拍。


「わざわざ見つかるように残した?」


『獲物だから』


「…………」


「答えになっていない」


『獲物は』


 モズキャッチャーが。


 早贄を見る。


『こうする』


「…………」


 博士は。


 黙った。


     ◇


 モズ。


 捕らえた獲物を。


 枝などへ。


 突き刺す。


 早贄。


「…………」


 知っている。


 当然。


 知っている。


 だからこそ。


 モズの性質を。


 利用している。


 だが。


「…………」


 そこまで。


 強く。


 出るとは。


 思っていなかった。


     ◇


「いいか」


 博士が。


 一語ずつ。


 言い聞かせる。


「殺すなとは言っていない」


『…………』


「対象でなければ、処理していい」


『処理する』


「ああ」


「だが」


 一拍。


「早贄にはするな」


『…………』


「死体を隠せ」


『隠す』


「誰にも見つからないように」


『…………』


「分かったか?」


『分かった』


「本当に分かったか?」


『分かった』


「…………」


 博士は。


 早贄にされた。


 最初の犠牲者を見る。


「まず、それを片付けろ」


『片付ける』


「その後で次を探せ」


『次』


「ああ」


『黒い髪』


「ああ」


『白いトップス』


「ああ」


『赤いスカート』


「そうだ」


『見つける』


「そう」


『違ったら殺す』


「ああ」


『早贄』


「するな!!」


「…………」


 一瞬。


 沈黙。


『しない』


「…………」


 博士は。


 深く。


 息を吐いた。


「頼むぞ……」


     ◇


 モズキャッチャーは。


 命令を理解している。


 少なくとも。


 言葉は。


 理解している。


 だが。


 命令とは別に。


 もっと。


 根深いものがある。


 習性。


 本能。


「…………」


 怪人を。


 生物の特性に。


 近づけすぎれば。


 能力だけではなく。


 行動まで。


 その生物へ。


 引っ張られる。


「…………」


 博士は。


 モニターへ。


 視線を戻した。


「能力だけなら、都合がいいんだがな……」


     ◇


 モズキャッチャーが。


 再び。


 街を歩く。


 探す。


 黒い髪。


 白いトップス。


 赤いスカート。


 対象を。


 探す。


「…………」


 博士は。


 その様子を。


 監視し続ける。


 そして。


 しばらくして。


『博士』


「…………何だ」


『見つけた』


「確認しろ」


『確認』


「違ったら処理していい」


『分かった』


「ただし」


 博士は。


 先ほどより。


 強く。


 念を押した。


「早贄にはするな」


『分かった』


「死体は隠せ」


『分かった』


「絶対にだ」


『分かった』


「…………」


 返事は。


 完璧だった。


 返事は。


「…………」


 博士は。


 なぜか。


 嫌な予感がした。


     ◇


 それから。


 少しして。


 博士は。


 モニターの前で。


 完全に。


 固まることになる。


 モズキャッチャーは。


 命令を。


 忘れてはいなかった。


 理解していなかったわけでも。


 なかった。


 ただ。


 それ以上に。


 モズだった。


――第二章 第1話 了。


――――――――――


※本作は、作者が物語のストーリー、世界観、キャラクター、設定、展開を考案し、AIとの対話を通じて文章の整理・推敲・執筆補助を行いながら制作しています。


物語の方向性、設定、展開、および最終的な内容の判断は作者自身が行っています。


本作では「人間とAIが協力して、一つの物語を作る」という創作の形にも取り組んでいます。


※本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。

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