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黒幕の物語  作者: 時根脱才 
モズキャッチャー編

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第三話 実地試験

第三話 実地試験


ネズミ型の三番個体が脱走したあとも、研究は予定どおり続けられた。


残った四体は調整を継続。


そして、もう一方。


ミラカメレオンは、実地試験へ移せる段階まで完成度を上げていた。


「最終結果です」


研究員が画面を切り替える。


男は表示されたデータへ目を通した。


外見の模倣は安定。


対象変更への対応も問題なし。


能力の再現については対象によって精度に差があるものの、実用範囲に達している。


連続したコピーには、まだ制限が残る。


それでも、研究室の中だけで調べ続けても、これ以上得られるものは少ない。


「出せるな」


「はい。ただし、実戦でどの程度対応できるかは未知数です」


「だから外へ出す」


実験室で成功することと、実際の状況で使えることは別だ。


予想外の出来事。


対象の抵抗。


周囲の人間。


逃走経路。


瞬間的な判断。


そうしたものは、実地でなければ確認できない。


「最初の試験は?」


研究員が別の資料を表示した。


「小規模な強盗を想定しています」


「理由は?」


「戦闘、威嚇、侵入、逃走を一度に確認できます。また、必要以上に長時間行動させる必要もありません」


男は少し考えた。


「いいだろう」


目的は金ではない。


成功するかどうか。


そして、どのように成功するか。


必要なのは、そのデータだけだった。


◇


最初の実地試験。


場所は小規模な店舗。


ミラカメレオンは、事前に指定された対象をコピーした状態で現場へ向かった。


男と研究員たちは、離れた場所からその様子を確認する。


「開始しました」


画面の中で、ミラカメレオンが店内へ入る。


人間が驚き、店内に混乱が広がる。


ミラカメレオンは威嚇し、指示された行動を開始した。


「反応は?」


「安定しています」


「コピー状態は?」


「維持しています」


短時間で目的を達成。


そのまま現場から離脱する。


「追跡は?」


「ありません」


男は画面を見る。


派手さはない。


だが、それでいい。


「成功だな」


「はい」


最初の試験としては十分だった。


◇


二度目は条件を変えた。


侵入経路。


人数。


周囲の状況。


そして、コピー対象。


同じ条件だけを繰り返しても意味はない。


ミラカメレオンが現場へ入り、対象を認識する。


変化。


姿を写し、能力を再現する。


「切り替え成功」


研究員が報告した。


男は黙って見ていた。


コピー能力は、研究室の中だけのものではない。


実際の状況でも機能している。


「予定より早いです」


「何が?」


「目的達成までの時間です。前回より動きが効率化しています」


男が画面を見る。


「学習している?」


「そこまでは、まだ判断できません。同じ行動を繰り返したことで、命令への反応が安定した可能性があります」


「記録しておけ」


「はい」


使える。


少なくとも、特殊工作を行わせる怪人としては十分な結果を出している。


◇


試験は続いた。


強盗。


侵入。


物品の回収。


短時間の攪乱。


条件を少しずつ変えながら、ミラカメレオンの反応を確認する。


人間を相手にした時。


複数の相手がいた時。


逃走経路を変更した時。


予定外の障害が入った時。


そのたびにデータが増えていった。


「潜入用途にも使えそうです」


研究員が言う。


「外見のコピー精度をさらに上げれば、人間側の施設へ入れる可能性があります」


「姿だけでは足りない」


男が答えた。


「行動まで不自然なら、すぐに気づかれる」


「はい」


そこは今後の課題。


それでも、能力そのものの価値は高い。


「陽動にも使えるな」


「はい。別の怪人や人間を装わせれば、注意を引くこともできます」


「戦闘以外の用途は多い」


一体で相手を倒すことだけが、兵器の価値ではない。


侵入できる。


奪える。


混乱させられる。


逃げられる。


それだけでも十分だった。


◇


ただ、試験を重ねるにつれて、一つの傾向も見え始めていた。


「今の行動」


男が言った。


「なぜ同じ能力を使った?」


研究員が記録を確認する。


「命令上、使用可能だったためかと」


「他にもコピーしていただろう」


「はい」


画面の中で、ミラカメレオンは目的そのものは達成している。


失敗ではない。


だが、男には気になるものがあった。


状況に対して、最適な能力を選んでいるわけではない。


使えるものを、そのまま使っている。


「選択基準は?」


「現状では単純です。直近の命令と、使用可能な能力を照合しているものと思われます」


「自分で考えて使い分けているわけではない?」


「高度な判断までは確認できていません」


男は少し黙った。


能力をコピーする。


それはできる。


だが、コピーしたものをどう使うか。


そこには、まだ問題がある。


「実戦で確認する必要があるな」


「対戦闘試験へ移しますか?」


「まだいい」


特殊工作では成果を出している。


現時点で失敗と判断する理由はない。


むしろ、この欠点がどこまで影響するのか。


それを見る必要があった。


◇


次の試験。


再び強盗。


ただし今回は、これまでより条件を厳しくした。


人間側の対応が入る可能性も高い。


「開始」


ミラカメレオンが動く。


侵入。


威嚇。


目的物の確保。


ここまでは順調。


「通報を確認」


研究員が言った。


「警察が動きます」


男は画面から目を離さない。


「続けろ」


「撤退させませんか?」


「まだだ」


これも実地試験だ。


警察が来た時、それにどう対応するか。


逃げるのか。


戦うのか。


コピー能力をどう使うのか。


見る価値がある。


「現場到着まで――」


研究員が数字を読み上げる。


ミラカメレオンは、まだ現場にいる。


やがて画面の端に人影が現れた。


警察。


「接触します」


「記録を続けろ」


男が言った。


◇


最初の対応は、想定の範囲だった。


ミラカメレオンが人間側を威嚇する。


接近を防ぐ。


必要に応じて能力を使う。


警察側は距離を取る。


だが、少しして研究員の表情が変わった。


「……増援です」


「警察か?」


「違います」


画面が切り替わる。


通常の警察とは違う装備。


怪人への対応を前提とした人員。


男が見る。


「特殊部隊か」


「はい」


予定より早い。


だが、悪くない。


「どうします?」


研究員が聞く。


男は画面の中のミラカメレオンを見る。


ここで撤退させることもできる。


これまでの試験結果だけでも、特殊工作員としての価値は十分に確認できている。


しかし、目の前には怪人との戦闘を前提とした人間側の部隊がいる。


「続行」


男が言った。


「よろしいのですか?」


「実戦データが取れる」


研究員は少し黙り、頷いた。


「分かりました」


男は画面を見る。


研究室での試験ではない。


強盗でもない。


ここから先は、怪人を倒すために来た人間との戦闘。


ミラカメレオンがコピーした能力を、本当の戦いの中でどこまで使えるのか。


その答えが、ようやく得られようとしていた。

本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。

それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。

一つの作品だけでも楽しめる。

けれど、複数の作品を読むことで、初めて見えてくるものもある。

ぜひ、それぞれの物語をあわせてお楽しみください。

【人間×生成AIによる合作作品】

企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才

文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)

本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。

本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。

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