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我慢の女神は惰眠を貪りたい。  作者: 櫻塚森
第九章 その後のブランジェ。
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ごじゅはち

神々にとって加護を与えると言う行為は気まぐれで成されるものではない。加護を与えることで膨れ上がった神気を発散する目的により成されている。神々にとって神気が溜まりすぎるのは精神的に良いことではなく神の精神が狂うと世界の理も狂う。だから人に絶大な力の一部を押し付け加護と言う名で簡単に使用出来ないよう枷を与えるのだ。時折枷に耐えきれず身を滅ぼす人間もいたが、神々にとっては当初の目的さえ達成出来ていれば問題なかった。その枷こそがブランジェにとっての眠りであり、ビエラにとっての食欲にあたる。枷に馴染み、力をコントロール出来るようになると枷の縛りは弱くなり普通の生活が送れるようになる。ビエラは、結婚し、子供を生むことで枷の縛りが弱まった。出産と言うものは、かなりの魔力と精神力を使う。仕組みはわかっていないが生命を生み出す行為は尊いのだ。案外俗物な神々は自分の好みに従って加護する者を選ぶ。加護者に選ばれるのに女子が多いのは、ただ単に女子が生命を産み出せると言うこともあるが、柔らかくて可愛らしい女子が好きなのだ。光の神ルシリスが男子を加護者に選んだのは稀なことなのだが、彼女の場合はただ単にミーハーな理由だった。一部の神を覗いて、加護を与えるのは大体が500年から1000年に1度とされている。


闇の神ダクネスがブランジェを選んだのは偶々だったが、母のビエラが豊穣の神の加護を持つ稀な存在だったのが理由の一つである。

力の一部を譲渡する加護者を選ぶ儀式の際、ルシリスの我儘でとある吸血鬼族の子供に加護を与えることになった。吸血鬼族の子供に光の加護?何の冗談だと思ったがその子供の見た目がダクネスに似ているからなんて可愛いことを言われては仕方ないと思うほどダクネスはルシリスが大切だった。ならば最初にダクネスが闇の加護を与えてその後にルシリスが加護を与えればと考えた。加護の比率を徐々に変えていき、やがてルシリスの加護で一杯にすればいい。ダクネスの持つ闇の加護は別の誰かに与えていくとした。

闇の加護は少し特殊だ。闇の神のダクネスが光の神であるルシリスと相思相愛、半身となって初めて、お気に入りに加護を与えることが出来るのだ。本来ならルシリスはもっと前に加護を与えることが出来たのだが愛するダクネスと一緒がいいとここでも可愛い我儘を言った。闇の加護を与えられた者は一歩間違えると邪悪な思いに支配されかねない危険な加護で、それは天界の神々にとっても本意ではない。だからルシリスの発言は受け入れられた。表裏一体の存在であるルシリスがいれば、闇の加護持ちも安心だろうと。


あの日、まさかルシリスの加護者が“ソレイユの珠”と呼ばれるルシリスの力の偽物に殺されかける事態が起こったのは予想外だった。余りに強い力は少年の家族だけでなく成長途中の彼の体を崩壊させるには十分だった。小さな体の中に2つの加護と言う中途半端な状態の彼はどちらの加護も制御出来ていなかった。未制御のまま肉体が滅びると加護を与えた神の精神にも悪影響を与える。

危機的状況にルシリスとダクネスは考えた。強すぎる光はルシリスの力で力を制御出来る、闇の力が中途半端にあってはルシリスが集中出来ないのではと。ダクネスは少年の体から飛び出した。咄嗟のことだったがルシリスと少年の潜在的魔力は力を飲み込み押さえ込むことに成功した。

ダクネスは、ルシリスから離れ、このまま天界に戻り、本体に吸収させるのかと思っていたが、神の加護を持つ女の存在を感じた。

女は都合よく、その腹に命を宿していた。この国で、あの少年を待とう。きっとルシリスと我は出会う。

ダクネスは、少女の中で時を待つと決めた。

ダクネスがルシリスと出会うのはもう直ぐである。



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