ごじゅに
3/7加筆訂正。
「何年も前に失われたソレイユの珠の行方なんてわかるのか?」
アルビナ妃の疑問。
まだ、使われていないのなら辿ることは出来るかもしれないが、既に使われている魔術だ。
「叔父上は、叔母上の性質を受け継いだせいで、拘りが強くて…、管理していたソレイユの珠全てに管理番号と追跡魔術陣を施していたようなんです。」
魔法陣は、書いた術式に魔力を込めているもので、魔術陣は魔力を込めていないもの。
「魔術陣は、叔父上のマークみたいなものですから。魔力を込めなくても追跡出来るようです。その辺りはよく分かりません。」
ジオンの言葉にいち早く反応したのはライモンだ。
「一度、マーシャル候とじっくり話をしたくなりました。追跡魔術陣……実に興味深い!」
ラインハルトの咳払いで我に返るライモン。
「で、犯人の目星はついているのかい?」
ジオンは頷いた。
「叔父上は、長時間は無理ですが、元人族でしたのでソレイユに触れることが出来ます。吸血鬼族の血が濃い者は無理です。我が城で働く一番血の薄い者でも無理でした。触れることは出来ても持ち上げられませんでした。盗み出すことは出来ない。燃料として運び出すときのみ、叔父上が特定の容器にソレイユの珠を入れるのですが、それを手伝っていた者がいました。政府から派遣された役人であり、自身の姉が父の弟であるドルベック侯爵と結婚したことで、親戚となったスタイン・ドム子爵です。」
思いがけない名前に驚きを隠せない面々。
「スタイン・ドム子爵か。ドルベック侯爵夫人の弟だな。まぁ、有名人だな……。」
アルビナ妃が遠い目をする。彼は、結婚と離婚を繰り返していることで有名だった。
相手は、平民が多く、長くて一年である。彼自身は勤勉でファフナー国の環境省に勤めている。妖精族の血が濃い見た目もよいナイスミドルである。
「何故、彼が?」
「これは、彼が今まで妻としていた方々の姿です。」
ジオンが石板に数人の女性の姿を映し出す。
「見事に濃い銀髪に赤っぽい瞳だな。」
ジオンが頷く。
「姉上に容姿が何処と無く似てませんか?」
皆がハッとした。
「母上は、金髪紫の瞳、父上は銀髪に赤瞳。俺は2人の間をとったような髪色に赤瞳。姉上は、彼女達と同じ銀髪と赤瞳。実際、ドム子爵は、姉が5歳になった時に当時の妻と離婚し父に婚約を申し込んでいました。家令から聞いたので確かです。もちろん、父は反対しました。近付くことも禁止したそうです。ま、その後彼は、普通に再婚したので城に仕事で入ることは許されたそうですけど。」
皆が押し黙る中、一匹の蝙蝠が宮に入ってきた。
「あぁ、答えが来たようです。」
蝙蝠が運んできたのはマライア叔母上の伝言。
『追跡完了。ソレイユの珠はドム子爵家に集められ1つに纏められた模様。ドム子爵家に乗り込みたい!兄上達の無念を晴らしてよいか!』
「ドルベック侯爵の関与があるのかないのか、それを確かめるまでダメだと伝えておくれ。」
蝙蝠は旅立つ。
「エマージェン王妃。彼らの罪を明らかにし、私の帰還を10日に行われる貴女の会で広めたいのですが。お許し頂けないでしょうか。」
ソファに座るエマ妃の前で膝をつき乞うジオン。
「もちろん、よろしくてよ。関係各所に通達しましょう。でも、私の会に参加するならジオンジーク、貴方の嫁も探さなくてはね!」
ニッコリと微笑むエマ妃。
「は?」
「アルノイド公爵家の当主としてデビューにもあたる会となるでしょ?ドルベック侯爵が家督について煩いと陛下が言ってましたから。貴方には、確固たる相手が必要です。ねぇ、アルビナ様。」
アルビナ妃も微笑む。
しかし、そこに待ったがかかった!
『だめっー!』
ルシリスの声だった。




