ごじゅうにのに
まるっと抜けていたのです。
アルビナ妃とエマ妃の前に飛び込んで来たのは声を発する光の珠。
「……あ、兄上、これはなんですか?」
尋ねたライモンに光の珠が声を出す。
『これとは何よ!私は、光のルシリス、神様よ!』
沈黙が流れる。
胸を張ってるつもりでもジオンの許しがないので光の珠の姿で我慢している。
「神…様?」
ジオンが大きくため息を吐く。
「あー、日と光の神ルシリス神の欠片から出来たルシリス。俺の力の守護者が具現化したものとでも思ってください。お前なぁ、ちゃんと説明するまで待ってろって言っただろ?」
光の珠は徐々に小さな妖精のような姿に変化した。
『だって、この者たちが、妾のジオンに嫁を与えるなどほざくから、』
指差しされた両王妃は目が点だ。
「このルシリスが、俺をソレイユの珠から守ってくれたんです。本来なら具現化するなんて有り得ないそうですが、俺の命がかかっていたので仕方なく具現化したようで……神本来の欠片なんで、其ほど敬わなくていいですよ。」
ルシリスがジオンをポカポカ殴ってるようだ。
「女神堕ち者、いや、神の加護持ち全てにルシリス様のような具現化した神様が憑いている?いや、守っているのではないのだな?」
アルビナ妃の問いにジオンが頷く。
『神って言う存在は、人に試練を与えるのが好きなの。でも、ジオンは、私が一生に一度か二度与えられる加護を持つ、ちょーっと特殊だから私とダクネスが欠片として側にあることがゆるされたのよ。で、私のダクネスが加護してる者がジオンの相手なの、勝手に決められたらイヤなの!』
プンプン怒っているルシリス。
「少し、伺ってもよろしいかしら?」
エマ妃が手を上げる。
『はい、そこの貴女、宜しくてよ!』
ジオンは、ルシリスの偉そうな態度にため息を吐いた。
「神の加護を持つ者は、女神堕ちと呼ばれております。その原因は、愛と美の女神様の加護を持つ娘達が世の中を混乱させている事実が過去の文献から分かったことが発端です。神の枷られた魔力コントロール方法も特殊で人の目には異質に映るのも原因でしょう。先程、ルシリス様はジオンに一生に一度か二度与えられる加護と申されてました。しかし、何故、愛と美の女神様の加護を受けた娘達は、こんなに多いのでしょうか。」
夫であるライオネスに続きデイビス王子まで愛と美の女神の加護持ち者に運命を変えられている。
『あー、愛と美の女神ねぇ……あいつ、おつむが痛い子だから。』
皆がルシリスの言葉にキョトンとする。
『親の教育が悪かったのよね、神のくせに自我もプライドも凄くってさ、自分は愛されて当然!って思想でさ、全ての神は自分の下僕みたいな?ダクネスにもチョッカイだすから私は嫌いだった。ってーか、天界であいつを好きなのって極一部だったしぃ!挫折を知らないての?』
またもや、侍女の差し出した紅茶をすするルシリス。案外、神の世界も此方と変わらないのではと皆の視線がジオンに向く。ジオンは再びため息を吐いて頷いた。
『でも、詳細は知らないけどぉ、ある日勝手に自滅して思考のお花畑化が加速しちゃったの。』
そ、それは困る事ではないのか?
『私ら神は自分の力の暴走を防ぐだめに下界のあんた達に力を加護として与えてんのよ。でもお花畑が加速しちゃったでしょ?愛と美の力が天界で暴走しかけたのよ。どこもかしこもお花畑思考に染まりそうになっちゃって我らの父神王様も焦ってね、あいつだけ自分の加護を安売りすることで神気の暴走を鎮めさせることを許したの。あんな子でも神には違いないからその時以上に狂わせる訳にはいかないから、与える加護も人の意識でどうにでもなる弱いものだから、我々神々も放置っていうか、下界人への試練として見とけばいいんじゃね?的な?でも、ある時代のとある王国でお花畑思想加速気味娘が、国を滅ぼしてしまってさ、あいつも流石に堪えたのか加護を与える相手を魔力なしか、それに近い魔力しか持ってないのにしたってわけ。だってさ、あいつの加護は魔力保有量が多くて扱いに長けた者には効果ないからね。』
試練の一言で済まされている事実。
「愛と美の女神の加護持ち者は、どれくらいの頻度で誕生するものなのかな?」
何となく普段の口調で尋ねるアルビナ妃。ルシリスは普段からジオンに好き勝手言われているので気にしていなかった。
『把握してないよ、だって、あの子が本格的に神気を貯めて力の暴走を起こすとめんどくさいから。でも、誰かが言ってたな、与えすぎだって。』
ギロっとジオンに睨まれる。
『って、えーと、あの子の気持ち一つかな?ま、頑張ってよ。』
ルシリスの呑気な言葉。ジオンはこの国で起こった女神堕ち者の話を聞いた。益々ライモンと国王の気持ちがズレた原因でもあるのだとジオンは理解した。
『とにかく、ジオンの相手は私が選ぶんたから、手出ししないで!』
声高らかなルシリスに苦笑する面々。
そんな中。ルーファスだけは何かを考え込んでいた。
(ダクネス?何処かで聞いたような……、まさかなっ。)




