よんじゅきゅ
「あの時、俺は光魔法の重ね掛けされたソレイユの攻撃にやられるところだった。家族を殺した程の光だ。日の神の加護を持っていても死ぬのは必須の攻撃だった。」
その時、闇の神の加護がソレイユによって弾かれた。
日の神は50%ずつ分けあっていた加護を100%にさせてジオンを光の脅威から守った。
「お陰で日の光の真下でも活動出来る体になった。」
国を出たジオンは、身元を偽り、ドラグナー国でギルドに登録した冒険者となった。
「ソレイユの珠は、人族が編み出した魔術だ。その流通過程を調べ父上達の無念を晴らすため腕を磨いた。」
胸元から小さなプレートの付いたペンダントを取り出す。
「なんやかんやしてる内にSランクまで登り積めた。」
やはり皆の顔が呆然としている。
「質素倹約をモットーに働いて来たから、アルドノア公爵領の何年分かの収入程の財産がある。噂では王太子殿下が面白い事業を展開してると聞いた。彼にコンタクトを取り、アルドノア公爵家の再起を果たす。」
皆が喜びの声を上げる。
「ついでに、父上達の敵も取る。」
力強く頷く者達。
「……で、ついでの、ついでだが、俺の中から弾き飛ばされた闇の神の加護持ちを探す。」
余り乗り気ではなさそうだ。
「ジオン様……、神の加護とはその、」
セイランの言葉に皆も同意してるのかジオンの言葉を待っていたが、その時、
『ちょっとー!何で私を紹介しないのよ!』
とジオンの体から光の珠が飛び出した。
「あ、あほっ!」
光の眩しさに使用人の半数以上が目を押さえて踞っていた。
ちょっとした阿鼻叫喚である。
『あ、あら?』
光の珠はジオンに掴み取られ、被っていた帽子の中に閉じ込められた。
帽子は歪な形に忙しなく動いている。
「大丈夫か?」
よろよろとセイランが起き上がり、瞬きを繰り返していた。
吸血鬼の血が薄い者達が、未だに起き上がれない者を柱の影に移動させる。
『ジオーン!酷いじゃないのさっ!』
モゴモゴとした声が聴こえているがジオンは無視している。
「大丈夫です、そ、それにしても、今の光は?」
『わーん、許してってばぁ!ジオン、ジオンジーク様っ!泣いちゃうぞ!』
ジオンは右隣の空間からガラスの小箱を取り出すと捕まえた蝉を虫籠に入れるような仕草で帽子の中身を入れた。
『………わたしゃ、虫かっ!』
セイラン以下、使用人達の視線が細められる。
「大丈夫だ。これは光を遮断する特殊ガラスに魔法を重ね掛けした虫籠だから。」
『えっ!やっぱり、私は虫なの!がーん!』
「ルシリス、五月蝿い!」
『蝿、蝿扱い!あ、だ、黙ります。』
よくよく見ると光の珠は羽根の生えた妖精の姿をしていた。
「これ、ルシリス。光の、日の神の分身?欠片?粗悪品?」
『ジオンが酷い。』
「日の光が苦手な吸血鬼の前に正体晒すって、何考えてんだ。見ろ、ばあやがまだ復活出来てないじゃないか!」
ジオンの一睨みで、光の珠、ルシリスは両手で口を塞ぐ。
「神の加護が具現化したものらしい。」
ジオンの言葉にまたもやキョトンであった。
「みんな、大変だ!って、あれ?ジオンジーク?何をしてるの?」
空気を読まない大声で地下の扉を開けた人物。
「マライア叔母上、叔父上がいないってことは、やっぱり……、叔母上、お座り下さい。」
ジオンは飛び込んできたマライアに今までのことを簡単に説明した。




