さん の さん
公爵は次にブランジェの眠りが病から来るものではないのかともう一度確認してみようと夫婦で話し合い、再びかかりつけ医を呼び寄せた。
「最初に御相談を受けました時から申し上げておりますが、かかりつけ医としては、ブランジェ様には病の気配がない、魔力の多さから他者とは違う何かを感じると言うことだけです。魔法省の職員の申しておりました、『女神堕ち』に関しては、…何ともはや……。」
病に対する魔力探知を駆使し人々を治す術に長けた医師からブランジェの眠りが病ではないと断言された公爵。
眠り続ける娘が一般以上の魔力を持って産まれたにしても、同じように魔力が強いと言つわれている兄達と何が違うのか。
「ただ単に寝るのが好きなだけか?」
内包する魔力が多いの者を『女神堕ち者』と呼ぶ。しかし、今ではあまり使われない言葉でもある。そんな言葉を結論に出されても納得出来るはずもなく。
魔力の多さでは自身も魔力コントロールには時間を要した記憶がある。
フィンネルは、自身の魔力コントロール方法を身に付けるための苦労話を妻にした。そう、家族や家庭教師の協力のもとコントロール方法を見つけていったことを思い出話として懐かしく語ったのだ。
側にいた家令のジュゼッペや彼の妻アンナ、そしてビエラ付き侍女であるメリルも自分達の経験と共にフィンネルの苦労話に花を咲かせていた。
「寝ることが魔力の制御方法なら楽なもんだな。」
これから思春期を迎えるブランジェの兄達は自分と同じような道を辿るだろう。しかし、そのための家庭教師の目処もたっている。準備万端だ。
「そう言えば、ビエラはどうやって魔力のコントロールをしたんだ?やっぱり家庭教師の……。」
となりに座る妻は真剣な顔をして何かを考えていた。
「ん?どうした?」
「あなた、先程教えて頂いたのが一般的な魔力コントロール方法ですの?」
目線は合わない。まだ思考しているようだ。
「そうだな、皆が一様に通る道だな。」
「気付いたことがありますの。」
公爵夫人ビエラは、思い詰めた表情で夫に語りかけた。
「私、あなたの言うようなコントロール方法をした覚えがありません。」
「えっ?」
「でも兄達は、あなたの時のように家庭教師がついてましたわ。てっきり、男女の差なのだと思いましたが、アンナやメリルがあなたの昔話頷いて話してるのを聞いて………。」
何となくフィンネルは、背筋がぞわりとした気がした。




