さんじゅうよん
「母上……。母上もステラと同じ?」
母とステラの顔が浮かぶ。
同じような笑顔、語り口……。
呆然としている私の首からステラに貰った加護石が外された。
「デイビス、この加護石を握ってみろ……。」
差し出された魔石。頭の隅で“ダメよ!”と言うステラに似た声がした。
石に伸びる手が震える。
何故、ダメだと思うのか。
“愛し子の作った世界から出ていくの?何故?あの子を愛せて幸せだったてしょ?”
聞こえてくる声が頭の中に響いてきた。しかし、その声も遠退いて行く。
指が石に触れたからだ。
意味不明の涙が溢れた。視界に入ってくる石板に書かれた真実に更に涙が溢れてきた。
「デイビス……お前はまだ若い。これから、もう一度学び直せ。スフィアとのことも全て話してやる。」
肩を抱く父上。
父上からの愛情は信じることができると感じた。
◻️◻️◻️◻️
「よろしいのですか?」
ライモンは側近達を連れて部屋を後にしていた。
「ここからは、親子の時間だ。陛下……父親にとってデイビスは唯一の息子だからな。」
ライモンの言葉にルーファスもラインハルトも言葉をなくす。
「…気に病むな。幼い頃に陛下が俺やリウキに冷たかったのは、あの女の影響下にあったからだと理解はしている。理解はしているが、あの女を遠ざけてからも余り陛下の態度は変わらなかった。その事に幼心が傷付いていて、今も引き摺っているだけだ。」
ライモンは自嘲する。
ライオネスと拗らせたままの親子関係は修正出来ないままだった。3男のリウキなどは、その辺りの切り替えはうまくライオネスとは普通の親子関係を結んでいるように見えるがライモンはそうもいかないようだった。
「それよりも、ブランジェ嬢のことだ。」
多くのしかも礼拝堂と言う神へ祈りを捧げるための場所での暴挙である。
「まぁ、そこは放っておいていいですよ、」
兄であるルーファスが苦笑しながら言う。
「我が家は、娘バカ、妹バカな男達の集まりですから、婚約破棄は願ってもないことでしたし。宣言された国外追放にしてもブランジェのことですから、嬉々として準備しそうなんで、それが困ることでしょうか。」
ライモンの眉にシワが寄る。
「ブランジェ嬢は、深窓の姫君って言われてないか?しかし、貴族令嬢としての経歴に傷が………。」
ルーファスが更に頭を掻く。
「ずっと我が家で面倒を見るつもりですが、母上がはりきってますから、その内、見つけてくるでしょうから、それも放置でいてください。我々としては、国外へ嫁がせることだけは阻止するつもりでいますけど。ブランジェの場合、穏やかに休める場所さえ確保していれば満足だとわかってますので。」
シスコンだなとライモンは呆れてしまった。




