さんじゅうさん
「どちらかと言えば大人しく、内向的だったオフィーリア嬢はな、久しくぶりにユリウスにエスコートされることをとても喜んで、断罪場所に行ったそうだ。お前、第二王子の名において、オフィーリア嬢に退学を勧告したんだって?何様だよ、クソがっ!」
魔石に保存されている情報を読み進んでいく。
嘘だ、嘘だ、嘘だ!
「オフィーリアは、大人しい令嬢だったが、貴族としての誇りを持っていた。断罪茶番劇でのことが耐えられなかったんだろうな、自殺を図った。」
思わず顔を上げる。
「魔力が高いと、簡単には死ねないからな、前もって魔石に己の魔力を注いで消費して、ただの人程度にしてから、学園の塔から飛び降りた。ユリウスやお前への恨み言を綴った紙の手紙を残してな。」
紙の貴重な世界。紙で手紙を綴ることは滅多にない。それ故に紙に書かれた言葉は本物であるとされている。
情報を読みながらオフィーリア嬢の表情を思い起こすが、思い出せない。
「人の心を操ろうとすれば、必ず何処かで歪みが生まれる。愛と美の女神に加護された者は己さえ良ければ後は、どうでもいいんだよ。」
もしかして、ブランジェのステラいじめも?
「王族は、安易に心を支配されてはならない、だから、加護の魔石を手放してはならないんだ。」
ライモンが自分の首に下げた加護の魔石をみせた。
「ちゃんと学んで知識としておれば、加護の石を手放すことなどしまい。」
「で、でも、ステラから加護の魔石を……。」
「どこの国でも知られていることですが、愛と美の女神の社にて売られている石と言うものがあります。」
ライモンの後ろに立つラインハルトが口を挟む。
「魔石として売られていますが、大体は偽物です。巷の乙女達が願掛けするための願い石、御守りです。まれに魔力を秘めた石もありますが、本来の魔石ほどの威力はありません。」
呆然としてラインハルトの言葉を聞く。
「言っておきますが、常識です。読み進めて頂きますとステラ嬢の発言が虚偽であったと理解できると思います。」
石板に写し出される文字や映像が全てを物語っている。
わ、私は………。
「今回の騒動も含めて、お前には再教育を施す。王位継承権は剥奪し、問題を起こしたお前でもよいと言ってくれる何処かの家に入ってもらう。」
父上からの言葉に改めて自分のしでかしたことの大きさに冷や汗をかく。
「デイビス、今更こんなことを言っても仕方ないがスフィアへの面会を制限していればと思っている。加護の魔石を自ら外す可能性についてライモンから憂慮されていたと言うのに……。」
「…父上、母上は関係ありません。私が、私が愚かだったのです。」
頬を伝うものを拭うことも出来ない。
「まさか、お前……、スフィア妃のこと気付いてないのか?」
ライモンが呆れている。
母上?母上は、優しく、気高い……。
過るのは、ステラと同じ色合いだった。




