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我慢の女神は惰眠を貪りたい。  作者: 櫻塚森
第四章 陛下の黒歴史
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じゅうはち の ご

ライオネスの言葉にアルビナ妃は一人の騎士に再度確認した。

「テセウスは、スフィアに何も思わなかったの?ほら、彼女は庇護欲そそられる感じだろ?」

ライオネスの後ろに立つ騎士は眉間のシワを深くした。

「テセウスは、スフィアと接した時に感じた圧迫感とも言えるものが、スフィアが我と会話を交わした途端霧散したと言った。」

ライオネスの言葉にテセウスが頷く。テセウスはライオネスの許可を得て話出した。

「正直、絡んでいた令嬢にもスフィア妃にも腹が立ちました。仕事を増やすなと。スフィア妃と接した時、俺はただ単に手を差しのべただけだったのですが、何とも言えない空気の波を彼女から感じ、咄嗟にそれを弾きました。で妃を囲んでいた令嬢達に対応している間に陛下はスフィア妃に声を掛けられて、令嬢の一人が陛下のお姿に声を上げ、振り向いた時に陛下の中に例の空気の波が入っていくのを見たのですが、陛下の様子に変わりはなく錯覚だと思いました。ですがその後、陛下は子爵家の一令嬢を自身の宮に招きドレスを与えました。陛下は自身の宮が一番近いからと仰られていましたが、」

「それは、誤解を与えてるわね、」

「実際、ライオネスが外部の令嬢を宮に招き入れたって騒ぎになっていたからな。」

当時を振り返るアルビナ妃。身分が子爵では愛妾止まりだなとも言われていた。

「…そうか、そうだな。あの時は何も考えなかった。」

今更なことにライオネスは頭を押さえる。

「陛下のスフィア妃への寵愛が明るみになり、ハッキリ申し上げて、スフィア妃は好きになれない性質の方だと思っておりましたので、俺はつい妻に愚痴をこぼしたのですが、弟、レイズナー伯爵が纏めた研究レポートにスフィア妃とよく似た事例があったと。」

テセウスの妻は魔法省勤務で主に魔法、魔力に纏わる研究や論文の校閲が専門だ。

「そこで私は、弟の元に向かい意見を聞き、長官に話を通しました。弟は、母や特に妹のことを誰よりも心配して『女神堕ち』なるものを研究していました。そんなものを研究してどうなるって言うのが世間の見方で、魔法、魔力に関する研究は全て魔法省に集約され、研究内容の合理性や実用性を判断するところです。けれど弟の研究は魔法省の連中にとって軽視するべきくだらないものだとされました。ですから、内容を詳しく調べる部署ではなく、妻の部署に丸投げしたんだとおもいます。」

ライオネスが声を上げる。

「スフィアが、何故ラーゼフォン家に拘るのか分からないが、今後は皆を混乱させるようなことはしないと誓う。」

ライオネスの言葉で集まりは一旦お開きとなった。

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