じゅうし
物語は過去から、なかなか子世代に移行しないです。誤字報告お待ちしております。
2人の王妃は密談する。
「今となっては、アレが嫁ぐと決まった時に王と精霊誓約を結んでおいてよかったな。」
エマ妃の僅かに膨らんだ腹を見てアルビナ妃が言う。
「えぇ。でもアレよりも早く懐妊するとは思いませんでしたが。」
精霊の下、誓う約束は反古してはならない。神罰が下ると言われている。
王妃2人が決めた条件をその誓約に則り承諾するなら、スフィアを妃として認めましょうとアルビナ妃は国王に言った。
王妃が出した条件はざっくりと言えば下記の通り。
・国王としての政務に手を抜いてはならない。
・頻度は減って構わないが、其々の妃に子が出来るまで、週に一度は閨を共にする。
・子が出来たら、意に染まぬ閨は不要とする。
・意に染まぬ閨は妃が25の歳になるまでとする。
・正妃、王妃としての職務、公務は今まで通りアルビナ、エマージェン両王妃が行う。
以上である。
これらの条件を王は了承した。
もとより、スフィア妃に王妃としての教育は施されてもおらず、無理だと言うことは、ライオネス自身分かっていた。
今となっては、国王ライオネスは、その身に2つの“精霊誓約”を結んでいる稀有な存在であった。
アルビナ妃は嫁いで5年。エマ妃は3年で今年二十歳になった。
王は約束を守り、エマは懐妊した。
アルビナ妃の親や兄などは先にエマ妃が子を身籠ったことに眉を寄せていたが、スフィア妃が先に懐妊するよりはましだと言い放った。
「エマの子なら、きっと美しく、賢い子だろうな。」
アルビナ妃は自分のことのように喜んでいた。
「ありがとうございます。けれどこれで王と閨を共にする必要がなくなったと思えば、安堵です。」
エマ妃の言葉にアルビナ妃が思い付いたように言った。
「エマのところに子が出来たのだ、私の所へ通うのもよしてもらおう!と言うのはどうだ?」
エマは苦笑する。
「精霊誓約がありますから、だめですよ、アルビナ様。」
「あー、どちらかに子が出来たらってことにしておけばよかったよ。」
アルビナ妃の宮は笑い声で溢れた。
国王ライオネスに対し、親愛はあっても熱情はない、2人の王妃だった。
その半年後、スフィア妃の懐妊、さらに2年後にアルビナ妃の懐妊が告げられた。
王子達は、すくすくと育った。紆余曲折というか、当然の結果か、王太子ライモンと第二王子デイビスの仲は悪い。悪いと言うか、ライモンは相手にしていないのだが、母スフィア妃の影響か何かとライモンに絡んでくる。
自分は優秀で母を愛する父上はいずれ自分を国王にするつもりなのだと豪語する。その度に、彼は言う。
「そうなんだ、知らなかったよ。じゃあ、法律が、変わったんだね!確かめなきゃ!たぶん、陛下も御存じないんじゃないかな?今から陛下の所に一緒に行くから、デイビス、君が教えてあげなよ、陛下や宰相に。」
ニコニコと言うライモン王子にデイビスは言葉を無くす。
以前も自分第一主義のデイビスは、ライモンに突っかかり、同じような返事をされ共に父王を尋ねたことがある。その結果、父王自らの命で法律の教師を変えられ、勉強を追加されたのだ。厳しい教師の授業は逃げ出すデイビスのせいで数分で終わる。
「投げ出すならそれでよい。いずれは、己に来るのだ。」
ライモン王子に父王は言う。
『デイビスをからかうな、』と。それに対し、ライモンは言う。
「あれの教育の責任は陛下ですよ。無知の無知であることを自覚しない者は、王家にはいりません、そうでしょう?陛下。」
ライモンは、父を陛下と呼ぶ。ライオネスから其なりに愛されているのは分かるが、王家にスフィア妃のようなバカを招き入れたことをライモンは許していなかった。
彼は、エマージェン妃以上に冷静であり苛烈な性格なのだ。
「母上と陛下を見て育てばこうなります。」
とは、ライモン王子の弁だ。
因みに、アルビナ妃の生んだ第三王子とは良好な関係で血の繋がった兄弟のようだと言われる。
国王は、拗らせタイプ。




