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41:囚われていたコボルト、そんでアイテムボックスの可能性を生かすマッドなオッサン

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切に! お願い!


していただいている10人のみなさんは、ホントにありがたく思っております!

キングとクイーンが死んだことで、我先に逃げようとしたゴブリンどもは「ワーム」で生き埋めにしておいた。

といってもマズーリが縦横無尽に活躍していたことで、逃げようとしたのは10匹にも満たない。


「マズーリ、行ってきてくれ」


彼に囚われのコボルトのところへ行ってもらうよう頼む。


僕は人間だ。コボルトと姿形の違う僕に、コボルトは怯えてしまうだろうから。


マズーリは平原に掘られた穴に歩いて行く。


穴。


信じられないだろうけど、コボルトは穴に閉じ込められていた。1匹ずつ、狭くて深い穴の底で生かされていた。


牢獄よりもひどい。

1人っきりで。毎日、命の危険に怯えながら。陽も差さない暗い場所に。

ほとんど拷問だ。


マズーリが穴のひとつひとつに話しかけている。


「助けに来たぞ」「もう大丈夫だぞ」


でも、反応がない。


僕のもとに戻ってきたマズーリはフルフルとかぶりを振った。


「とりあえず穴から出すか」


毎度おなじみの「ワーム」で触手を固いものにして、体重の軽いコボルトを穴から押し出す。


ひゃあ! という悲鳴は3つほどしか聞こえなかった。

他は驚く感情すら働かないということだ。


穴から押し出されたコボルト達は、虚ろな目で膝を抱えていたり、コテンと丸まった姿勢で横になっている。


こうして見ると、オール達が助け出したコボルトは自力で歩けるだけ増しだったのだ。


僕は1匹のセント・バーナードに近寄った。


「ヒール」


失われていた腕や足が回復する。

けれど、それだけだ。虚ろな目が僕に向けられることがない。


やっぱりヒールは肉体にしか作用しないみたいだ。


悲鳴をあげた連中も、僕を見てブルブルと大きく震えてしまっている。

コボルトみたいに毛皮のない僕は、どちらかといえばゴブリンに見えてしまうのかも知れない。


僕は全員にヒールを施した。総勢で126匹。


「たった、これだけ…」


マズーリが悲嘆する。


ここはゴブリンの最も大きな群れだったらしい。だからこそ、コボルトも最も多く囚われていたはずだ。

なのに126匹しか生き残りがいないのだ。マズーリが嘆くのも当然だった。


「だけど、助けることができたじゃないか」


「ですが、この様子では…」


マズーリが胎児たいじのように丸まっているコボルトを見て言う。


「御使い様。これは治せないのでしょうか?」


「僕には難しいな」


魔法はイメージだ。イメージがしっかりしていれば、大抵の魔法は効果が及ぶ。けれど、これが精神や心の問題となるとイメージのしようがない。つまり、僕にはココにいるコボルトを治せない。


そう、僕には。


「ただし、森に行けばどうにかなると思う」


真・世界樹の葉だ。

心の問題は僕の及ぶことではないけど、あらゆる病を癒やせる真・世界樹の葉っぱなら…。


「おお! 良かったなぁみんな」


マズーリが大喜びしてる。

今更になって『たぶん』なんて言えないな。


「さて、やるか」


僕はちょっと緊張しつつ言った。


これからコボルト達をアイテムボックスに収納するのだ。


助けたコボルトはアイテムボックスにれてしまう。それが僕の考えた方法だ。


生き物をアイテムボックスに容れて問題ないのか?

当然の疑問だろう。

これについては、一応、地球の方で実験してる。


切っ掛けはアイテムボックスにユニット・ハウスを容れた時だった。

アイテムボックスから取り出したユニット・ハウスに入って中を確認していると、虫やネズミがうろちょろしていたのだ。


あれ? と思った。生き物を取り込んでも問題ないのか?


思い出したのはジャガイモだ。アイテムボックスから出したジャガイモは数日放置しておくと芽を出した。これはつまり、ジャガイモが生きているということだ。


ミカにも訊いた。返答は『そーいうのってさ、自分で調べるのが面白いンしょ?』と教えてはくれなかった。


それから僕は、残酷なようだけど虫やリスのような小動物をアイテムボックスに収容しては、取り出して生きているかを実験した。


その結果は、問題なしだ。


とはいえ、コボルトほど大きな生物は試したことがない。

知性ある生物も、当たり前だけど初めてだ。


サイコパスだと言われようが、これ以外にコボルトを助けて運ぶ方法はないと思う。


僕は膝を抱えているセント・バーナードに触れて……収納した。

収納できてしまった。

フォルダ『コボルト(心神喪失)』が出来上がる。


心臓が恐怖でドキドキしている。


僕はセント・バーナードを取り出した。


ソコにセント・バーナードがあらわれる。

生きている。ブツブツと容れる前と同じように何事かを呟いている。


「これなら平気みたいだな」


再びセント・バーナードを収納。それから残りのコボルトを次々とアイテムボックスに容れていった。

ただ、僕を見て怯えるだけの意識が残っているコボルトだけは収納できなかった。


慌てるようなことはない。むしろ、こうなって当然なのだ。

収納できてしまったことがおかしかったのだ。


僕は意識のある3匹にライオン・ハートを施した。


「助かったんだよ、安心しておくれ」


僕が御使いだということをマズーリに説明してもらって、食事を摂らせる。

涙ながらにお腹を満たしたコボルト達は眠ってしまった。


眠る。意識を失っている。


これならアイテムボックスに収納できるはずだ。


熟睡するコボルトに触れる。

触れて……アイテムボックスに収納する。


フォルダ『コボルト(意識喪失)』が出来上がった。


そこからコボルトを取り出す。


熟睡したコボルトが出現した。生きているし…パシパシ頬っぺたを叩くと、煩わしそうに寝返りをうった。


ホッとする。


それから僕は熟睡している3匹を収納した。


黙って僕のしていることを見ていたマズーリにうなずく。


「どんどん助けるぞ」


「はい!」


僕はマズーリを背負って、夜の平原を駆けた。

うーん、非人道的。これはサイコパスと非難されても仕方ない!

しかも、みんなと一緒に森に帰ると言っておきながらのこれである!


あ、あと。明日・明後日は土曜日・日曜日なので投稿は14時になります。

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