表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/50

40:キングとクイーン。そんでとりあえずの決着をつけるオッサン

翌朝。僕はコボルト達を森へと送り出した。


みんなには結界を施してある。森までは10日。ゴブリンの群れと遭遇しても、回避することなく突っ込んで斬り抜けることが可能だろう。

さらには助け出したコボルトにライオン・ハートもかけてある。これでゴブリンに襲われてもパニックになったりはしないはずだ。うまいことゴブリンを倒せたのなら、そのままトラウマの回復にもつながるかも知れない。


「それじゃ、行こうか」


僕は平原の案内係にマズーリを背負って駆けた。


コボルトを助けるためだ。

オール達に厳しいことは言ったものの、ゴブリンどもに囚われたコボルトの惨状を目にしたからには、放っておくことはできなかった。


まず、向かう先はゴブリン最大の集落。


マップの端に光点が映る。青、だ。とはいえ味方とは限らない。青、というのはただ単に僕に対して敵意がないということでしかないのだから。


「アオーーーーン」


僕が光点のある方向を指し示すと、マズーリが吠えた。


1、2、3……返事は返ってこない。コボルトはいないということだ。


僕は躊躇することなく「ワーム」を発動させた。

生き埋めだ。

光点はそのままだけど、そのうちに窒息して消えてしまうだろう。


可哀想だとか残酷だとかは思わない。

コボルトの扱いを見たあとなのだ。


駆ける。

前方に広範囲に光点。


「あれか?」


「そうです!」


練る、練る、練る。魔力マナを練る。ゴブリンを倒したおかげで、僕のレベルは300を超えている。魔力マナを練れば練るほどに広範囲に魔法の効果を及ばせる。しかも経験を得たからか、自分の肉体が耐えられる魔法の威力の上限が分かるようになっていた。


「恨むなら、ゴブリンに生まれた己を恨め」


練り込んだMPマナは2000。これ以上だと僕の脳みそがクラッシュしてしまう。


「エリア・ヒール!」


言わずと知れた範囲回復の呪文。レベルの上がった今なら使える、確信があった。対象に触れなくとも回復させられる。しかも、複数を。


「痛みを感じずに死んでゆけ」


薬も度を過ぎれば毒となる。新陳代謝が活発になり、異様な代謝はがんを誘発し、ヒールが癌をどしどし増産する。それでいて痛みはヒールのせいで感じない。


せめてもの慈悲だ。


レベルが上がる。続けざまに上がる。


マップにあった光点は、ほとんどが消えた。

むろん、コボルトが閉じ込められているとおぼしい柵に囲まれた場所は避けている。


僕を見つけたゴブリンどもが波のように駆けてくる。

まだまだ数がいる。

ザっと見た限り、ゴブリン8にホブ・ゴブリンが2。


僕は、事前に身体能力向上の魔法をかけてあるマズーリを下ろした。


「やるぞ!」


「応さ!」


僕等はゴブリンどもに突っ込んだ。


マズーリは縦横に剣を振るい、僕は徒手空拳だ。レベルのおかげで、ホブ・ゴブリンだろうとパンチ1発でノックアウトできてしまう。


殺す殺す殺す。

返り血で、全身が濡れねずみだ。


ゴブリンどもが遠巻きにして寄って来なくなる。これだけしたら、当然だろう。


「ゴオオオオオオオオ!」


怒りに燃えたほえごえがゴブリンどもの壁の向こうでした。


恐れるようにゴブリンどもの吶喊が再始動する。


「マズーリ、ここは任せた!」


僕はジャンプした。

空中で吠声の相手を探す。


居た!


僕を睨んでいる。



--------------------


ジュグアッグ 【職業:ゴブリンを統べる者】

種族:ゴブリン・キング

性別:♂

年齢:110


レベル:   13

HP : 1200

MP :  800


こうげき:650

ぼうぎょ:500


ちから  :  580

すばやさ :  450

きようさ :  300

かしこさ :  200

せいしん :  250

こううん :  800

かっこよさ: 1000


スキル:超回復(傷を負っても時間と共に回復する

    斧鉞術 Lv2


マホウ:身体能力強化


--------------------



ゴブリン・キング。


強い。ラズゥのメスに匹敵する。

しかも『こうげき』が650。しかしこの数字をそのまま信用すると痛い目にあう。このあたいには、得物の修正が反映されてないのだ。


キングは巨大な斧を持っている。おそらく武器を込みでステータスに反映させたら800近くまで跳ね上がるだろう。


しかも、だ。

キングだけじゃない。



--------------------


スカル 【職業:千人隊隊長】

種族:ゴブリン・メイジ

性別:♀

年齢:108


レベル:    4

HP :  400

MP : 1400


こうげき:120

ぼうぎょ:150


ちから  :  80

すばやさ : 260

きようさ : 100

かしこさ : 580

せいしん : 540

こううん : 200

かっこよさ: 700


スキル:MP回復(MPの回復が早くなる


マホウ:火炎呪文 Lv4

    魔力の矢 Lv2


--------------------



ゴブリン・メイジが5匹。


そいつ等が空中の僕に向けて魔法を放ってきた。


それを結界で受け止める。


カウンターで攻撃? それどころじゃなかった。


メイジよりも。

キングよりも。

厄介なのがいたからだ。



--------------------


ダネイ 【職業:ゴブリンを産む者】

種族:ゴブリン・クイーン

性別:♂

年齢:109


レベル:    80

HP :   200

MP : 10000


こうげき:10

ぼうぎょ:10


ちから  :   10

すばやさ :    5

きようさ :   10

かしこさ : 1500

せいしん : 1300 

こううん :   60

かっこよさ: 3000


スキル:多産(1度の出産で100匹以上を産み落とせる

   :ゴブリン・クイーン(大気中の魔力をとりこむことで子供を産める


--------------------



そいつは異形だった。10メートルはあろうかという芋虫の胴体にゴブリンの上半身がついているのだ。


目が合う。

僕を憎んでいる目。子供を殺されて怒り狂っている目。


「いやああああああああ!」


クイーンが叫んだ。


僕が着地すると同時、ゴブリン・キングが地を這うような姿勢で飛びかかってきた。


斧が草を刈り取りながら迫る。


こんなもの結界で……


「!」


割れた! 結界がしゃぼんのように割れた。


ギリギリで斧を避ける。避けながら鑑定。


《破聖の斧:聖属性を破砕する呪われた斧。これを装備した者は、これ以外の武器を扱えなくなる》


面倒な!


追撃でメイジ達が魔法攻撃をしかけてくる。


僕はそのうちの一撃を手の平で受け止めると


「そら!」


と投げ返してやった。


こっちのMPマナを上乗せしたカウンターだ。正面から受けたメイジが悲鳴をあげる暇もなく燃え尽きる。


「おおおおおおおお!」


鬼の形相のゴブリン・キングが斧を振り回す。


洗練された技じゃない。

力任せだ。


これならマズーリの剣のほうがよっぽど脅威だ。


さっきは油断した。


「けれど!」


破聖の斧を僕は片手で受け止めて掴まえた。


そもそものステータスの値が違うのだ。こんなものは出来て当然だった。

僕は今、身体能力向上のうえにもMPを各ステータス値に1000ずつ割り振っているのだから。


ゴブリン・キングが力の限りを尽くして、僕から斧を取り戻そうと四苦八苦している。


僕はグイと掴んだ斧を引き寄せた。

タタラを踏んでゴブリン・キングが僕の前に顔を突き出す。


「じゃあな」


デコピン、をした。


バチュン! とキングの頭がはじけてなくなる。

いくらスキルに超回復とやらがあろうと、死んでしまっては意味がないだろう。


「きゃあああああああ!」


クイーンが悲痛な声をあげた。


メイジが遠距離魔法をしかけてくる。

それを僕は最初に仕留めたメイジと同じようにことごとく受け止めて、投げ返してやった。

最初と違うのは、逃げられないように「ワーム」で足止めをしていたことだ。


メイジどもが燃え尽きる。


クイーンが己の忠実なるしもべの死に、再び耳をつんざく声をあげる。


「どうして、どうして?」


1歩1歩、ゆっくりと近づく僕に、クイーンがおののきながら問う。


「どうして、ワタクシ達があなたに何をしたというのです!?


「何もされてないよ」


「ならば、どうしてワタクシ達を殺すのです?」


「僕が友達になってしまったコボルトと、あなたたちゴブリンが敵対していたから…かな?」


「友達になったから。それだけで?」


「そう、それだけだよ。きっと…コボルトではなく、あなた達と会っていたのなら。僕は、あなた達を助けていただろうね」


「そんな…そんな、そんなそんな!」


僕はクイーンの体に手をあてがった。


「助けて、お願い!」


「君は、コボルトにそう懇願されて1匹でも助けたかい?」


「あ、ああああああああああ」


僕は「ヒール」を唱えた。


「ああああああああああああああああ!」


ゴブリン・クイーンの巨大な肉体が朽ちていく。


「マズーリ」


僕は背後に佇んでいるオスに呼びかけた。


「終わったよ」


「はい」


僕はマズーリを振り返らない。

泣き顔を見られるのは、勇者にとって恥ずかしいことだろうから。

なんか、コウヘイが強すぎる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ