番外:化けダヌキ。伝説のアイドルとして名を残す
勢いで書いているので、なんか文章の末尾が「のじゃ」だったり「きゃ」だったり統一されてませんが、勘弁してください。
あと、気が向いたらブックマークと評価お願いします。
モチベーション上げさせてください!
ワガヘイは次郎兵衛。
コウヘイ様によって創りだされた10匹の化けダヌキのなかの2男坊じゃ。
ワレ等はコウヘイ様が訪れるのを今か今かと待っておる。
時刻は朝の7時。
「遅いのぉ」
六郎兵衛がポッコリお腹を撫でながら呟く。
確かに遅い。何時もなら、もう来ている時間だ。
すると、五郎兵衛が言った。
「おみゃーさんはちったぁダイエットしたほうが好いんじゃき、その腹ぁ見しゃんせ?」
「おみゃーさんには言われたくないきゃ」
五郎兵衛と六郎兵衛は互いの腹を見合って「えひゃひゃひゃひゃ!」と大笑いする。
ワレ等、化けダヌキは揃ってプリティなポッコリお腹なのだ。
ワガヘイもお腹を撫でながら「えひゃひゃひゃ!」と笑ってしまう。
そうしていると、誰かが
ぷぅ~!
とやりおった。
「誰じゃ!」
一郎兵衛が鋭く問う。
さ、とみんなが顔を背けた。
「みんな、目ぇつむりゃ!」
一郎が言うので、ワガヘイは目を閉じた。
「こりゃ! 四郎兵衛、十郎兵衛、薄目開けるんじゃないきゃ!」
ワキャキャ! と慌てる2匹の声がする。
「よっしゃ、みんな目ぇ閉じたな。ンじゃ、もう1度言うきゃ。屁ぇたれた奴は手ぇあげ」
よし、と一郎兵衛が言った。
「手ぇおろし。ンで、みんなも目ぇ開けていいきゃ」
ワガヘイ達は目を開けた。
一郎兵衛は言った。
「屁ぇたれたのは九朗兵衛だきゃ!」
「一郎兵衛、裏切ったな!」
「ワガヘイは内緒にするなんてひと言もいってないきゃ!」
屁っこき、屁っこき、みんなで大笑いだ。
ポンポコポンポコ、お腹を叩いて大笑いだ!
そうしていると、ガラリと玄関が開けられた。
「朝から元気だなぁ、みんな」
コウヘイ様だ!
ワレ等はサッとお行儀を良くした。
テーブルまで来たコウヘイ様が次々と料理を並べてくださる。
おお! この匂い!
ヨダレがこぼれそうになるのを、命がけで我慢する。
今朝の献立は具沢山の豚汁に厚焼き玉子、それに豚カツと白米である!
今か、今かとコウヘイ様のお声を待つ。
「どうぞ」
「「「「「「「「「「 いただきます! 」」」」」」」」」」
ワレ等は待ってましたとばかりに食事にとりかかった!
真に! 真に美味い!
寸時たりともお喋りの止まない化けダヌキのワレ等であるが、このときばかりは話す時間も惜しいので食べることに専念する。
ふがふが、おふおふ、食べるのだ。白米をかっこむのだ!
生きててよかったきゃ!
「「「「「「「「「「 美味しかったです! ごちそうさまでした! 」」」」」」」」」」
「お粗末さまでした」
コウヘイ様が言って、食器を回収していく。
さて、コウヘイ様を手を振って見送って、これからワレ等の働く時間だ。
「次郎兵衛、おみゃーさん、今日は何をするきゃ?」
組頭の一郎兵衛が訊いてくる。
「ワガヘイ、今日は三郎兵衛と七郎兵衛とで街に行こうと思うてるんきゃ」
「ほー、何するんきゃ?」
エッヘヘヘヘ、とワガヘイと三郎兵衛と七郎兵衛は笑った。
「路上ぱふぉーまんす、きゃ!」
「ほほう、言葉の意味は分からんが何やらすごい自信きゃ」
ということで、ワレ等3匹は街へと向かったのじゃ。
着いたのは駅前。もちろん、ワレ等は人間に変化している。
女だ。若い女子に変化してる。
なぬ? 何故に女子に変化するのかとな?
そんなの決まっておろうに。何が悲しゅうて、男に変化しなけりゃならんのよ? せっかく変化するなら、やわっこいほうが好いに決まっとろー? それに若い女子のほうが、銭っこも多くもらえるッきゃ。
特に目尻をさげた男どもの銭離れがちがうんじゃ……うへへへへ。
ワレ等はメイド服とやらを着た女子に変化して、それぞれが楽器を手にした。
ワガヘイ。次郎兵衛こと、変化後の名前を『ニー』はギターを。
三郎兵衛こと、変化後の名前『ミー』は持ち運びできるほど小型の電子ピアノを。
七郎兵衛こと、変化後の名前『ナナ』はタンバリンを。
うん? 1匹だけ楽器のランクが違う?
それは偏見じゃ! 音楽に…楽器にランクなんかないんじゃき!
…なーんて、楽器がこれしかなったのじゃ。
その代わり、ナナには歌をうたってもらうからいいのきゃ。
準備の終わったワレ等は路上ライブをした。
これぞ練習の成果! どんどこ人が集まってくる。
楽器をどうやって習ったかと? そんなんテレビやDVDで充分じゃ。手元さえ見れたら、あとは真似をしたらいいだけ。化けダヌキは物真似をすることにかけては天才なのじゃ! キシシシシ。
だから、言っとくけど楽譜は読めないきゃよ。
ナナが昭和のアイドルの歌をうたえば、ギター・ケースにおひねりがどっさりこ。
こりゃー笑いが止まらん!
そう思うておったら。
こら! と警官が乱入してきたッきゃ。
「君たち、許可はとってあるのか?」
「許可? そんなもの知らないです」
「じゃあ、無断だということだね。今日は初めてみたいだから見逃すけど、次はないからね。はい、撤収撤収!」
何が何やら分からないうちに、解散させられてしまったきゃ…。
「3日も頑張って練習したのに…」
「これなら九朗兵衛みたいにホストしてたほうが良かったきゃ」
「そもそも次郎兵衛が言いだしっぺきゃ、責任とるきゃ」
「今更、そんなこと言うきゃ?」
「ワガヘイは明日のコウヘイ様のオカズでいいきゃ」
「あ、ワガヘイもそれでいいきゃ」
「なにを勝手に言うとるが!」
ワガヘイ達は胸倉をつかみあって揉み合った。
「あの~、すみません」
そんなワガヘイ達に声をかけてきた男がいた。
「わたくし、こういう者なのですが」
紙が差し出される。それには何か書いてあったけど、ワガヘイ達は字が読めない。
ワレ等が顔を見合わせるいると、男が言った。
「是非、あなた方をスカウトさせていただきたく」
・
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・
・
あれから1年。
長いような短いような、濃密な1年だった。
ワガヘイ達は今日、遂に札幌ドームでライブ・コンサートを披露することになった。
思い返せば色々あった…。
ライバル・アイドルとの対立と和解。
社長の借金苦からのバックレ。
新たな芸能事務所への移籍。
先輩アイドルの意地悪。
ワガヘイが化けダヌキだと危うくバレそうになったりもした。
握手会でのナナを押し倒し事件。
それでナナが声がでなくなったり。
治すために先輩アイドルが協力してくれて。
ミーがストーカーに付きまとわれ。
退治して。
ニュースになって、名前が一躍売れて。
「全国区デビューしよう!」
という社長に
「嫌です!」
と断り続けて。
だって、全国区なんて東京に行かないとならない。そうしたら、コウヘイ様の手料理を幾日も食べられなくなるッきゃ!
今でさえ3日や4日に1度で無理をしているというのに!
でも、却って北海道限定活動のほうが面白いと道民からの人気に火がついて。
そうして今日。
札幌ドーム満員3万人の前でライブをすることになった。
「行っくよ!」
ワガヘイ達はステージに駆けだした。
空間をふるわせるような歓声がでむかえる。
ワガヘイ達は業界で天才といわれている。
ダンスでも歌でも楽器の演奏でも、先生が1回披露するだけで完璧に真似ることができるからだ。
まぁ、化けダヌキなんだから余裕なんだけどきゃ。
そんな天才の名に恥じないパフォーマンスを披露できたと思う。
なんせ、最後のコンサートなのだ。
ミーもナナも全力を尽くしていた。
そう、これで最後なのだ。
ミカ様から連絡があったのだ。
「面白いことすっゾ!」と
帰らないはずがない。
何が起こるんだろうと、ドキドキワクワクする!
芸能界に最早未練は一片たりともなかった。
とはいえ、これで引退することはマネージャーにも社長にも言ってない。
言えば反対されるのが目に見えていたからだ。
だからワガヘイ達はライブの最後に。
アンコールされたあとに、宣言した。
「私たち、これでアイドルを引退します!」
「今まで応援、ありがとう!」
「チョー楽しかったよ!」
観客たちがざわめいている。
冗談だとでも思っているのかも知れない。
一方で舞台袖の方は大混乱だ。
ワガヘイ達を出世の道具とみなしていたマネージャーは顔を青くして、監督にきていた金金亡者の社長は顔を真っ赤にしている。
ワガヘイ達はニッと笑った。
「「「 じゃーねー 」」」
ワガヘイ達は手を振った。
途端、ステージにボン! と盛大な煙がたちあがった。
その隙にワレ等は化けダヌキに戻って、迎えに来てくれたコウヘイ様にしがみつく。
フ、と風を切る気配がした。
次の瞬間には、ワレ等は懐かしい寮の前に戻っていた。
「今日は頑張った次郎兵衛と三郎兵衛と七郎兵衛のために、ご馳走を用意してあるよ」
ワガヘイ達はコウヘイ様から離れると、その場でヨイヤサヨイヤサ踊りまわった。
アイドルの踊りじゃない。化けダヌキの喜びの踊りだ。
ポンポコポンポコ、寮の中から腹鼓の音がする。はやくご飯にしようと、兄弟たちが呼んでいる。
ワレ等はクルクル回りながら、コウヘイ様と寮に入った。
ご飯だ、ご飯だ! 嬉しいな!
ポンポコポンポコ、嬉しいな!
今日からみんなと一緒だ、嬉しいな!
他にも一郎兵衛は害獣狩りで農家の救世主ともてはやされてたり。
四郎兵衛は大食い王になって有名に。
五郎兵衛は大地主の孫に惚れられて。
六郎兵衛は何故かレーサーになってしまい。
八郎兵衛は新興宗教の教祖に祭り上げられ。
九朗兵衛は唯一男に変化してホストになって夜の帝王と呼ばれ。
十郎兵衛だけはノホホンと暮らして蛯名一家にモフられて喜んで。
そんな感じです。




