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33:賢者の石の能力、そんでやっぱり死んじゃうオッサン

「融合しちゃってるし、無理じゃね?」


そんな! と思った時だった。


ユーリィの気配が膨れ上がった。


「コウヘイさん、イジワル。クレナイナラ、力尽クデ奪イマス」


そう言った賢者の石のステータスが変化する。


MPマナがグングンと減って、代わりに他の値が増えているのだ。



--------------------


ケンジャのイシ 【職業:----】

種族:魔人

性別:♂

年齢:14


レベル:   1

HP :   5

MP : 100


こうげき: 185

ぼうぎょ: 182


ちから  : 206

すばやさ : 204

きようさ : 107

かしこさ : 218

せいしん : 160

こううん : 104

かっこよさ:   8


スキル:魔力弾


マジュツ:


アイテム:


BAD :


--------------------



「すごいな…」


レベルはそのままなのに格段の能力が跳ね上がった。

どうやらMPマナを各能力に割り振ることができるみたいだ。


もっとも、その反動はあるみたいだけど…。


ユーリィの鼻から血が垂れている。

肉体が能力の向上に耐えられないのだろう。ましてユーリィは病み上がりなのだ。


「身体能力向上」


ギリギリまで能力を上げる。70%の向上だ。それ以上だと、体の動きに意識が追い付かない。

にしても数値にしたら約55でしかない。


焼け石に水か…。


どうするか? 考えていると、賢者の石からほの赤い弾丸が飛んできた。


鑑定が教えてくれる。

《魔力弾:MPマナを弾丸として射出した無属性の攻撃。消費MP1》


遠距離攻撃も可能なのか!


僕は寸でのところで魔力弾を避けた。


が、避けたと思った時には賢者の石が僕の背後に回り込んでいた。


ズン! と横っ腹に衝撃!


僕はバトルマンガみたいに吹き飛ばされて、テーブルや椅子を巻き込みながらゴロゴロと庭を10メートル以上も転がった。


「ゲフ」


血を吐き出す。

アバラがられた、とかそんなことは分からないけど、痛いものは痛い。


「ヒール」


僕が唱えると、賢者の石は目を丸くした。


「コウヘイさん、ソレ何デスカ? Я(ヤー)ニ教エテクダサイ」


賢者の石が無造作に近づいて来る。その手…僕を殴ったこぶしは潰れている。衝撃に肉の体が保たなかったんだろう。骨が見えている…。


僕はゆっくりと立ち上がった。


「思いっきり殴った相手に、教えるとでも?」


「アア……ソレハ、ゴメンナサイ。デモ、Я(ヤー)に魔力ノかたまりヲクレナイ、コウヘイさんモ悪イデス」


正直、僕は魔石にこだわってない。欲しいなら、あげても別段かまわない。


でもなぁ、と思うのだ。


オーバードーズ、という言葉がある。薬物の過剰摂取によって体や精神に有害な反応が引き起こされる事象のことだ。

これが心配なのだ。

現在、賢者の石の総MPは1000。ラズゥの魔石はAランクとやらでMP10000もあるのだ。


無理だよなぁ。

きっと、風船が破裂するみたいに……たいへんなことになるに決まってる。


賢者の石が再び殴りかかってくる。

僕は腕でガードしたけど、おかまいなしに全力の振りかぶりから殴られた。


ゴキン、と音がしたのは、僕の腕の骨か、それともユーリィのそれか?


ガランガラン、盛大な物音をさせて庭を反対側まで転がる。


「なに、一方的に殴られてンのさ! やったンさい、コウヘイ!」


「ヒヒヒーン!」


頭上からミカとペガの激が飛んでくる。


そうは言うけど、殴れるはずないじゃないか。

相手は14歳なんだぞ。


しかも……。


「ユーリィ! 何をしとるんだ!」


物音を聞きつけたのだろう、家から稲塚たちが飛び出してきた。


…世話になっている人の孫だし。


「オジイサマ、聞イテクダサイ。コウヘイさんガ意地悪ナンデス。Я(ヤー)ガ欲シイ物ヲ隠シテクレナインデス」


「何を言っとるんだ、ユーリィ!?」


どうやらユーリィの意識も少しはあるみたいなんだよな。というか、賢者の石はユーリィの願望を増大させている感じか?


ヒールを唱えた僕は「ユーリィ!」と呼びかけた。脳内アドレナリンのおかげだろう、話しかけるのが恐いなんてことを思いもしない。

「どうして、そんなにまでチカラを欲しがるんだ?」


「復讐スルカラデス。мама(ママ)とпапа(パパ)を殺シタ奴等、許セマセン!」


「復讐…お前、そんなことを……」


稲塚が絶句する。

ユーリィは優し気な外見だから、そんな物騒なことを考えているとは思いもしなかったのだろう。


「復讐なんてするもんじゃない! お前は日本で平和に暮らせばいい!」


「オジイサマ…復讐反対? 何デ? 何デ?」


賢者の石が稲塚を睨みつけて震える。


あ、これは不味い! 聞き分けのない子供がきの癇癪が破裂する。


僕は飛び出した。同時に、賢者の石が稲塚に殴りかからんと向かう。


僕とユーリィでは、スピードが違う。

間に合わない。


…間に合わなければ、どうなる?

ユーリィに祖父を殺させるのか?

テロで両親を失って。親身になって世話してくれた祖父を…孫に殺させるのか?


そんなの…そんなのさぁ!


「見たかァないんだよ!」


僕は賢者の石の真似をした。MPを『すばやさ』に500ほど振り分ける。


効果は劇的だった。

僕は、瞬時にして賢者の石の正面へと移動した。


素晴らしいのは、MPを振り分けた場合は身体能力向上の魔法と違って、肉体の向上に意識が追い付くことだった。しかも身体能力向上の魔法を使って肉体そのものを強化しているおかげで、ユーリィのように反動もほとんどない。


けれど、MPを割り振ったのは『すばやさ』だけ。

僕は賢者の石のパンチを受け止めた手の平ごと腕を裂かれて、そのまま地面に打ち付けれらた!

余りの勢いに、体がバウンドする。


アヒャッハハッハ! ミカが大笑いして、反対にペガと瑞樹さんと智花が悲鳴をあげる。


だけど…僕はやった。ただで殴られたわけじゃない。

殴られた瞬間に、賢者の石のMPを奪えるだけ奪ってやったのだ。かつてユーリィを助けるために魔力譲渡をおぼえたけれど、それの反対だ。


賢者の石…ユーリィの瞳の色が元通りの青になっている。


そんなユーリィの前に香が立ちはだかって パン! と大きな音がした。

香が、ユーリィの頬をビンタしたのだ。


「何してんのよ! あんたが暴力をふるっていいのはかたきにでしょうが! コウヘイさんは関係ないでしょうが!」


「デモ…デモ……Я(ヤー)ハ…モット強ク……」


「分かった…。あんた、心細いんでしょ? 怖いんでしょ?」


「Я(ヤー)は…」


「なら、あたしが手伝ってやるわよ! あんたの復讐に協力したげるわよ!」


「香ちゃん、そんなことは」


稲塚が何かを言いかけたけど


「復讐って大切ですよ」香はさえぎって言った。

「ムシャクシャして、モヤモヤして。それを晴らすのは大切ですよ。あたしは女だから。子供だから、それをコウヘイさんに任せちゃったけど、ユーリィは男だもん。自分でやらないと」


魔術師殿…オオシゲのことか? 裏で糸を操っていたオオシゲのことは、香も智花も瑞樹さんも知っている。

そして、身元不明とされている人物の死亡記事やネットの動画配信で、彼が死んだということも稲塚をとおして知っている。

うすうすだろうけど、僕が殺した…ことにも気付いているだろう。


特に香は。僕に、ありがとう、と言いに来たくらいだから、確実だ。


そして、その時。香はひどく悔しそうにしていたのが印象的だった。


母親である瑞樹さんが生死をさ迷うほどに働いて。姉と自分は身売りされそうになり。

何もできず、何も知ることの適わなかった、そんな無力さが悔しかったのだろう。


香はユーリィに向き直った。


「一緒に闘ってあげる。だから、ユーリィ。元に戻って」


「ヤク…ソク」


ユーリィが小指を差し出す。骨の飛び出た小指を差し出す。


「約束よ」


香は怯むこともなく、指切りをした。



--------------------


エビナ カオリ 【職業:ガクセイ】

        【職業:魂の契約をせし者】

種族:人間

性別:♀

年齢:14


状態:健康


--------------------



何か変な職業が増えてる。



--------------------


イネヅカ ユーリィ 【職業:学生】

種族:ヒューマン

性別:♂

年齢:14


レベル:        1

HP :        1

MP : 400/1000


こうげき: 5

ぼうぎょ: 2


ちから  :  1/ 6

すばやさ :  1/ 4

きようさ :  2/ 7

かしこさ :  5/18

せいしん : 15/60

こううん :  4

かっこよさ:  8


スキル:賢者の石


マジュツ:


アイテム:


BAD :瀕死(ステータス減少。HP漸減


--------------------



ユーリィも元に戻ってる。


そんなユーリィはクタリと香に倒れ込んだ。


というか、非情に危険だ。瀕死でHPが1になってる。


僕は這いずった。


「コウヘイさん!」


血まみれで片腕が裂けた僕の酸鼻極まりない状態にもかかわらず、稲塚と瑞樹さんが駆け付けてくる。さすがは極道者と看護士だ。


僕は目顔でユーリィを示した。

もう喋れない。あとひと言…がギリギリだ。


2人は頷き合うと、僕をユーリィのところまで運んでくれた。


意識が……薄れる。


僕は手を伸ばして、ユーリィに触れた。


「ヒール」


どうにかこうにか唱える。

僕に、じゃない。ユーリィに、だ。


でも、それまでだった。

器官に血が溢れた。もう言葉がでない。


僕はユーリィの回復を見定めることなく、そのまま死んでしまった。

コウヘイが死んだので、異世界編になります。

でも、そのまえに番外で化けダヌキの生活を描かせてもらいます。

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