23:結婚式をしよう! そんで柄にもなく頑張っちゃうオッサン
愚痴になるけれど…。
ブックマークも評価も増えなければ、読んでくれる人も日に20人ぐらい…。
どうおおおおおすりゃいいんだああああ!
ってことで最近購入したレースゲーム『REDOUT』を我武者羅にプレイするのだ!
あ、あと14日だけ異様にスマフォからのアクセスがあったんだけど、なんなんだろ?
謎だわ~。
明日をも知れない。
そんな状態だったのだ。
妊娠をしたなんて言って、みんなに迷惑はかけられませんでした。
そんなようなことを妊婦たちは口々に言った。
まぁ、分かる。気持ちは分かる。
10匹の妊婦から話を聞いて、他のコボルトも押し黙ってしまっている。
不甲斐ない、なんて口走った声が聞こえたから、自分たちを責めているんだろうね。
パンパン! 僕は手を叩いた。
コボルト達が僕に注目する。
「何を暗い顔してんだい? 赤ちゃんが生まれるんだろ? コボルトは子供を何よりも大切にする種族だって言ってたじゃないか? だったら、おめでたいこだろ? 祝ってあげないと!」
僕は妊婦たちに笑顔を向けた。
「おめでとう」
「「 御使い様ぁ 」」
感極まったように10匹が泣き出す。
すると、他のメスも集まって祝福の言葉を送り、戸惑っていた様子のオスも集まってきた。
「せっかくだから、結婚式でもするかい?」
「ケッコンシキ、とは何ですか?」
ありゃ、コボルトには結婚式がなかったか。と思ったんだけど。
説明すると、若いコボルトはともかくとして老齢のコボルト達が昔を懐かしむような顔で
「ツガイの儀ですか。聞いたことはありますな」
「わたしゃ、ずいぶんと幼い時分に見たことがあるよ」
と言った。
総合すると、昔々にはコボルトはツガイの儀という結婚式をしていたとのこと。
地球の結婚式と違うのは、新郎新婦がひと組ではなく、その年にツガイとなったペアを村総出で祝っていたんだって。
「なら、そのツガイの儀。僕等もやってみよう」
ということで、僕は新婦というか妊婦を綺麗にすることになった。
女の人? それも恋人がいるのに、男の僕がいいのかな? と思わないでもなかったけど『御使い様ですから』と笑われてしまった。
まぁ、コボルトに欲情はしないけどさ…。
まずは浴槽(…こんな物までアイテムボックスに収納していた僕はおかしいだろうか?)を出して、魔法でお湯を満たす。タオルで拭くなんてまどろっこしい真似をしていたら何時間かかるか分からないから、新婦たちには手っ取り早くお風呂に入ってもらうのだ。
とはいえ、お湯が泥水みたいに濁って、結局のところ10回ぐらいはお湯をはりかえる羽目になった。
泥水のお湯は、ゴミ箱……もといアイテムボックスだ。
ようやく綺麗になった新婦が風邪を引かないよう、これも魔法の温かい風で乾かす。
名付けて『ドライヤー温風』の魔法だ。やれば出来てしまうもんだ。
そうして汚れをおとした10匹のメスは、血統書付きみたいになった。
美人さん揃いだ。
それから僕が櫛をいれて、ハサミでカットしていく。
『スキル:トリミングを習得しました』
ミカのアナウンスだ。これって自動なんだろうな。ゲームをしているはずのミカがわざわざこんなことをするはずないもの。
スキルを得たことで、幾らか手早く新婦たちの毛並みを整えていく。
僕が櫛を入れてカットすると、みんな目を細めて気持ちよさそうだ。
最終的にはトリミングはレベル2に。
あとは、彼女たちを着飾らせよう。
といっても、アイテムボックスには大したものがないんだよなぁ。
ユニ〇ロのダウンで結婚式というのも……。
僕はアイテムボックスを漁った。
シーツで白無垢?
たしかにお婆巫女のベルダは和風の装束だったけど…この寒々しい雪景色の中で白無垢というのも…。
何かないか? 探していると、良い物を見つけてしまった。
真っ赤な振り袖だ。生地には梅がデザインされていて、帯は若葉みたいな緑色だ。
そういえば、と思い出す。智花と香の思い出の品だとかで、虫に食われるのが嫌だからとアイテムボックスに入れさせられたんだった。
確か、2分の1成人式で着たとか言ってた。
ん? 2分の1成人式を知らない? だよね。僕も知らなかった。
なんでも10年ぐらい前から始まったもので、成人、つまり20歳の半分の10歳まで育ったのを寿ぐ学校の行事らしいんだよね。特に、子供の両親が積極的に勧めてるとか。子供から感謝の手紙をもらって感動するって瑞樹さんが言ってた。
それで振り袖なんだけど。これは智花が10歳の頃に、まだ存命していた旦那のお母さん、要するに智花の祖母が自分の着物を仕立て直してつくったと聞いている。
それで思い出の品。
だからお金に困っていても売らなかった。
んだって。
これを着てもらおう。数はコピーで増やせるし。
問題は、振り袖の着付けができないことなんだけど……鑑定さん! 頼りにしてますよ!
僕がすったもんだしている間。新郎や他の参加者も、オスはオス、メスはメスで、それぞれ体を拭きあって、毛並みに櫛を通してハサミでカットするように言っておいた。
キチンと言われたことをやっていたようで、みんな小奇麗になっている。
もっとも、なかにはぶきっちょなコボルトにトリミングされたものか散切りになっているのもいるけれど。まぁ、それはそれで愛嬌がある。
「お! みんな美人になったじゃないか」
僕の言葉に、オスもメスも満更じゃない顔つきになる。
久しぶりに身綺麗になって嬉しいのだろう。
「あの…それで……チッチたちは?」
オールがもじもじと訊く。
なんと! 驚いたことにチッチのお相手は、このオールなのだ。
チッチは15歳。オールは28歳を目前とした27歳。
……犯罪? まぁ、地球じゃないし? 好きあってるからいいんじゃないですかね?
尋ねられて、僕はニッと笑った。
「みんな、おいで!」
呼べば、10匹の新婦たちがしずしずと遣って来た。
けど、頭からシーツを被って俯いているので、振り袖はおろか、綺麗になった顔すら見えない。
「御使い様?」
オールが怪訝そうに訊く。
ムフフ、と僕は含み笑った。
「綺麗になった新婦たちの姿は丘で披露するよ。せっかくだから、ベルダ達にも見せてやろうよ」
チッチ! と僕が呼べば「はい」と恥じらった返事がある。
僕はそんなチッチの隣りに丘までのエスコート役としてオールを招いた。
それから他の9匹の名前も呼んで、それぞれのツガイを隣に添える。
「敵対意思をもった生き物が近づけば、直ぐに僕が報せるから。さぁ、行こう!」
僕たちは丘までゆっくりと歩いた。
予想外だったのはシーツの余りを引きずっていたのが木の根に引っかかりそうになってしまい、それで新婦のエスコート役の新郎がシーツの端を持って歩くようになったことだった。
シーツの余りを引きずっていたほうが、それらしいと思ったのだけど…。
ちょーと考えが足りなかった。
ゆっくりした移動だったせいで、丘に辿り着いたころには太陽が真上に来ていた。
僕はてっぺんに生えている木の横に立った。
僕の下には新郎新婦。
「さぁ、新郎は白い布を払ってあげて」
僕の呼びかけで、待ってましたとばかりにシーツが除けられる。
「おお!」
という声は見守っていたオスたちから。
「まぁ!」
という歓声はメスたちから。
新郎どもは、自分の想い人の姿に息を呑んでる。
そして新婦は、みんながみんな恥じらって上目遣いに新郎を見ている。
「オール、なんか言ってあげなよ」
悪いけど、こういう時は率先してリーダーが、ね。
オールは愕然として僕を見た。でも、僕がニヤニヤしているのを見て、諦めたのだろう、意を決したように
「綺麗だ、チッチ」
と言った。
花がほころぶようにチッチが微笑む。
僕は次の犠牲者。新郎の名前を呼ぶ。
そんなことを繰り返していると、緊張が解けたのだろう、新婦たちも含み笑いをするぐらいにはなった。
10匹の新郎が新婦に言葉を送り終わったところで。
僕は厳かに言った。
「女神の御使いたる我、そなた等20匹10組がツガイとなることを見届けた。祝福を!」
僕は両手を空に広げた。
パラパラと空から色とりどりの花弁が降ってくる。
「すごい!」
「きれい!」
コボルト達が感動してくれている。
けど、もちろん魔法でつくった幻だ。
一発勝負だったけど、成功したことに胸を撫で下ろす。
というか、ほんとうに僕は魔法を使うことに関しては天才なのかもしれない。
新郎と新婦はむつまじく寄り添って空を見上げている。
ほっこりしてしまう光景だ。
そんな時だった。
ワオーーーーン! 遠吠えのようなものが聞こえたのは。




