エンディング~アルメニアン・ダンス~
ミラーが構えた。
全員を見渡し、一呼吸置いて――
タクトを振り下ろした。
大地のシンバルと金管のファンファーレが、完璧なタイミングで繰り出された。
待ってましたとばかりに、小春とトールが吠える。
低音がそれに呼応した。
夏樹が高らかに歌い上げ、フルートとサックスへバトンを渡す。
再び、ファンファーレが鳴り響いた。
音楽は、ドラマチックな変化を繰り返していく。
夏樹が答える。
遠くから聞こえてくる、やまびこのように。
そして、次の主題へ。
奏とアイシャが軽快なリズムを刻む。
フリューゲルホルンに持ち替えた若菜が、ゆったりとしたソロを奏でた。
奏、夏樹と、その旋律に続いていく。
やがて、次の場面を予感させるように、壮大なユニゾンが鳴り響いた。
山を登り、そして下るように、音が引いていく。
遠くの山から響かせるように、小春とトールが音を飛ばした。
ミラーの指揮が、不規則に揺れる。
少し危うさを感じさせるリズムに乗って、サックスとオーボエが主題を鳴らす。
それはクラリネットへと渡され、ユニゾンで頂点を迎えた。
再びサックスとオーボエから木管楽器へ。
金管、木管と、主題を交換し合っていく。
トランペットのファンファーレとティンパニーのロールを合図に、激しく主題をぶつけ合った。
そして、すぐに落ち着きを取り戻し、次の場面へ。
息の長い、ゆったりとしたフレーズが響く。
木管楽器のメロディーに、夏樹のオブリガートが降り注いだ。
いくつもの響きが重なり合い、ロマンティックで、どこか哀愁を帯びた空気を作り出していく。
一音、また一音と抜けていく。
静寂を予感させるアイシャの音が、みんなの耳を包んだ。
――瞬間。
短く、勢いよくハーモニーが飛び出した。
クラリネットが忙しくリズムを刻む。
フルートやサックスも加わり、軽快な主題を響かせた。
大きく、短く。
何度か響くハーモニーが、その先を予感させる。
夏樹のユーフォニアムが、階段を駆け上がるように音を伸ばしていく。
次第に推進力を増し、一度目の頂上でユニゾンへと繋いだ。
二度目は、さらに勢いを増す。
リズムのアクセントが前後に揺れ、音楽はどんどん前へ進んでいく。
強弱は目まぐるしく変わる。
それでも、決して勢いは落ちない。
何度目かの金管のユニゾンが、フィナーレを予感させた。
最後のハーモニーを、ありったけ響かせる。
短いはずの最後の音が、原曲よりも長くハーモニーとなって――
いつまでも、耳から消えなかった。




