↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】異世界ウインドオーケストラ ― あの日見た空の向こうは ―  作者: 若菜みかん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/36

エンディング~鍋を囲んで~

練習が終わった夕方。


ライムに呼ばれ、若菜と夏樹は一緒に屋上へ向かった。


「はぁ……もう、だいぶ寒くなったわね」


「どうしたんだ、ライム」


「これ」


ライムは、手のひらに収まるほどの貝殻のようなものを、二人にそれぞれ差し出した。


若菜と夏樹は顔を見合わせ、それを受け取る。


「これは?」


若菜が尋ねた、そのとき。


冷たい風が、屋上を吹き抜けた。


――次の瞬間、曲が流れた。


「魔道具?」


「そう。僕の儀式の曲。この間のメロディーが入ってる」


「ありがとう」


若菜は、少しうつむきながら言った。


「ライム、ありがとう」


「うん。儀式、成功するといいね」


「そうね。きっと成功するわ」


若菜は、すっかり日が落ちた空を見上げながら、静かにつぶやいた。



別の日、トールの工房では――


「こうして、アイシャのタンポを取り換えるのも最後かもな」


「おやかた……」


「おっと、すまんな。まだ儀式がどうなるか分からんからな」


「そうですよ。それに、まだ合奏が残ってるじゃないですか」


「ああ、そうだな。思いっきり楽しませてもらうよ。な、小春」


「はい。たくさん見せ場がありますから」


「親方、終わりました」


大地が作業を終え、トールに声をかけた。


「おう、大地。最後まですまんな。つい頼ってしまうな」


「そんな。なんでもやりますから、俺」


「ははっ、頼もしいな」



また別の日、三日月亭では――


「さあ、今日は若菜ちゃんと奏ちゃんに教えてもらった鍋を作ってみたよ」


おかみさんが蓋を開けると、ぐつぐつという音とともに湯気が立ち上った。


「わー、おいしそう! いただきまーす」


「あちちっ!」


アイシャのコミカルな動きに、自然と笑いが起こった。


今日は久しぶりに、みんなで三日月亭の夕食を囲んでいた。


そこには、ライムやトール、ミラーの姿もあった。


「なんだか、メニューが増えたね」


ライムの言葉に、奏が答える。


「そうだね。お鍋に焼きそば、卵焼き。それに、かつ丼なんかも作ったね」


「奏って、こう見えても食いしん坊なのよ」


「若菜、ほかに言い方ないの? グルメとか」


小さな笑いが起こったところで、ミラーが口を開いた。


「そういえば、儀式の方は順調に準備が進んでいるそうよ」


その言葉に、みんなの背筋が少しだけ伸びた。


「どんな感じなんですか?」


「ええ。魔法陣など、儀式の大事な部分について書かれた書物が見つかってね。だいたいの準備には、めどが立ったそうよ」


「そうですか。よかったわ」


ミラーの答えに、若菜は胸をなで下ろした。


「さあ、冷めないうちに食べましょうよ!」


「そうね。いただきましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。