第四楽章〜城と音楽隊〜
街道を北東へ進んでいく。
日がてっぺんを越え、少しずつ傾き始めた頃、前方に大きな門が見えてきた。
門の前に立つ兵士たちを見て、少し緊張が走る。
だが、荷馬車を止められることもなく、そのまま中へ入ることができた。
門をくぐると、遠くには大きな城がそびえ、その周りには家々や商店、露店が所狭しと立ち並んでいた。
行き交う人の数も、ルタ村とは比べものにならない。
「ほんとだ。すごい人がいる」
アイシャが目を丸くする。
その隣で、ライムが町並みの向こうを指さした。
「ほら、あれが教会だよ」
「あ、このあと自由時間ですよね? みんなで行きましょうよ!」
早くも浮き足立つアイシャに、ミラーから声がかかる。
「まずは宿に行きましょう。それから、お城に顔を出してもらえるかしら」
「えー……じゃあ、そのあとで」
アイシャが懇願するようにつぶやく。
「はいはい。教会は逃げないわよ」
ミラーの言葉に、周囲から小さな笑いが起こった。
宿に荷物を置いたあと、一行は城へと向かった。
城門をくぐると、本城ではなく、そのすぐ近くに建つ大きな建物へと案内された。
「ここが、私たち王国音楽隊の使っている建物よ」
中へ入ると、大きな部屋に通された。
中央には長いテーブルが置かれ、部員全員が座ってもまだ余裕があるほどだった。
しばらくすると、一人の男性が部屋へ入ってきた。
「ようこそ、みなさん。私が王国音楽隊の隊長、アルベルト・リモーネです。王都へようこそ!」
「ありがとうございます。私は吹奏楽部の部長、結城若菜です」
若菜を皮切りに、夏樹、奏、ライム、トールたちが順番に自己紹介をしていった。
一通りの挨拶が終わると、アルベルトの好意で、そのまま簡単な食事会が開かれることになった。
テーブルに料理が並び始める頃には、最初にあった緊張もすっかり薄れていた。
話題は、自然と音楽のことへ移っていく。
「ミラーから聞いていますよ。あなたたちの世界にも、素晴らしい音楽がたくさんあるそうですね」
アルベルトの言葉に、若菜が頷いた。
「ありがとうございます。私たちも、この音楽祭でこちらの世界の音楽にたくさん触れられることを楽しみにしていました」
「それは嬉しい。音楽祭には王都だけでなく、各地から演奏家たちが集まります。きっと、みなさんにも楽しんでもらえると思いますよ」
アルベルトは嬉しそうに笑った。




