第二楽章 閑話 ~パントマイム~
今日は休日。
夏樹は村まで足を延ばしていた。
三日月亭で昼食を済ませ、トールのところへ顔を出したあと、あてもなく村をぶらぶらと歩いていた。
「せんぱーい!」
声に振り返ると、クラリネットを抱えたアイシャが小走りで近づいてくる。
「どうした?」
「タンポが取れちゃって。おやかたに見てもらおうかなって」
「トールさんなら店にいたよ」
「ありがとうございます。ちょっと行ってきますね!」
アイシャと別れ、また歩き出す。
しばらくすると、洋服屋の前に小春と奏の姿があった。
「あ、日向君。今日休みなんだね」
「ああ。三日月亭で昼食べて、トールさんのところに寄った帰り。二人は?」
「私たちもお休み。服を買おうかなって」
奏が夏樹の格好を眺める。
「夏樹君は、もうこっちの服に馴染んでるね」
「なんだか楽で」
「日向君らしいね。じゃあ、また」
二人と別れ、再び歩き出した。
「お兄ちゃん! もっと教えて!」
「わかった、わかった。順番にな」
今度は大地が、村の子どもたちに囲まれていた。
「大地さん、何やってるんですか?」
「子どもたちがおもちゃで遊んでたんで、ちょっとな」
「お兄ちゃん、すごいんだよ!」
よく見ると、子どもたちの前には太鼓のようなおもちゃが置かれていた。
「こいつでな、こんな風に……」
大地が木の棒を両手に持ち、軽快なリズムを刻む。
「かっこいい! 早く僕にも教えてよ!」
「わかった、わかった。じゃあな、夏樹」
「はい、また」
みんなと別れ、夏樹は部室棟へ戻ってきた。
何となく楽器庫を覗くと、楽譜を整理している若菜と、フルートを吹いているライムの姿があった。
「二人とも、休みなのにここにいたんですね」
「ええ。今度練習する楽譜を確認していたの」
「僕はこれやってたんだ」
ライムが譜面を見せる。
「ああ、練習曲集?」
「そう。リーダーがやってみたらって」
「ふーん」
そう言いながら、夏樹も自然とユーフォニアムを取り出していた。
特に何かを合わせるでもなく、それぞれが思い思いに音を出す。
夏樹も、何となくソロ曲をさらっていた。
気がつけば、窓から差し込む夕陽で、楽譜が少し見えづらくなっていた。




