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魔法使い、提案す

◆◇◆◇◆


 僕が転生してから実に数日が経過した


 今日に至るまで大きな事件なく、勉強や歴史などを読み耽り、世界の全体像を理解していく日々、書庫の本をあらかた読み終えたので今度街に行って本を買ったり職探しをするのも良さそうだ


 そんなことを考えている昼下がり、"ドタドタ"と今では聞き馴染んだテッドさんの足音がやってきた


「さてと…」


 いつもこの時間にやってくるため、書庫の外に出る。決まって扉を乱雑に開けてくるのでその対策の一環だ


「へへーんっ!今日も来てやったぜ、ひよこ野郎!」

「こんにちは、テッドさん」


「テッドでいい!」


 最近料理をし始めたのでよく思うのがテッドさんの髪色は焦げた飴色と表せる髪色をしている。金髪ながらやや濃いめな色合いだ


「テッドさん」

「テッド!」


「テッドさ…」

「テッド!!」


「…、テッド」

「それでいい!」


 貴族を呼び捨てにするなんてかなり不敬と取られかねないが本人たっての希望だし、どうしたものか


「何して遊ぶ!」

「それより、テッド…魔術以外の勉強は?」


「っぐ」

「やってなさそうですね」


「そういうアベベはしてんのかよ勉強!」

「…」


 そう言われれば、今の僕は目的はあれど薄ぼんやりとした知識欲で動いている訳だが痛いところを突かれてしまった


「テッドさ、テッド。何を勉強してますか?」

「急になんだよ、遊ぶのが先だぞ」


「ではこうしませんか。僕が魔術を教えるので

 テッドさんは貴族の勉強を僕に教えて下さい」


 貴族の勉強、非常に興味がある



「テッドは魔術を習ってるんですよね」

「そうだけど楽しくねぇんだよ。遊ぼうぜぇ」


「まぁまぁ」


 僕はその楽しくないものについて知りたいんだ。全身に魔力を纏わせ、『身体強化魔術』を発動する


「何やってんだ?ってえぇ!?」


 うむ、熟練度が足りないか。魔法なら問題ないものの、魔術となると魔力の通りが悪い上に放出量や精製精度もイマイチだ。魔力量ばかりが前世由来なため荒削りもいいところだな───こればっかりは身体の問題だけども


「テッドも早く」


 200年経ってもこれが嫌いな子供はいないだろ。戦争が嫌いな友人達でさえこの空中歩行は嬉々としてやっていた。僕は木の上で待ってる。さぁ空中を跳ね飛ぶ楽しさを存分にって


「うえぇ!?お、お前、なんだよ!その動き!?」

「…嘘でしょ」


 身体強化魔術の術式は本で見た。あの術式は当時からあまり変化なく伝わってるというのにまさか、使えない


「くそっ!オレだってやってやるぜ!」

「(っほ)」


 良かった。使えるみたいだ


「大丈夫かな」


 魔力放出の速さが戦士との闘いを想定している速さの放出をしている。それでは瞬間的な強化ができたとしても空中歩行には向かない、精々が跳躍強化に止まる速さだ。今必要なのは継続的な移動なのに


「(あれじゃあ浪費だ)」

「うぎゃあぁ!」


 怪我したら大変だ。木の天辺から地面に移動し、下でテッドさんを茂みに投げ込む───今は素の身体能力が低いせいで抱えきれなかった。これは要注意だな


「お…」

「お?」


「おらぁっ!待てや!ひよこ野郎!」

「おぉ、元気だ」



「ん〜」

「この!待て!跳ねるな」


 ここ1時間動き回ってみたものの僕が捕まる気配がない。テッドさんも指摘すれば魔力を纏えるものの3を教えれば1か2が御座形になり、いずれかひとつは消失する


 これは勇者パーティのあいつを思い出すな。あいつは魔力量でゴリ押していたけど、テッドさんはそうはいかない


「ふぎゃあぁ!」


 僕に向かって来るテッドさんをあしらいつつ、どうすれば彼の魔術を上達させられるかを考える。魔法・魔術の楽しさならと交換条件にしたもののやはり、教えるのは難しい


「な、なんだよ!ひよこ野郎のくせに!」

「今はゴーグル野郎ですよ」


「… … …ムカつく!」



 テッドさんがうつ伏せで駄々を捏ね始めた。こうなった子供はちょっとやそっとでは動かないと聞く、どうしたものか


「舎弟のくせにー!」


 舎弟か、弟子を取るならばもう少し突出した特技を持つか、修練を積まなければ取らない方がいいのだが…それは僕も同じだな、そうだ


「テッドさ…テッド」

「なんだよ」


「舎弟になってもいいですよ」

「お!おぉお!遂にやる気になったか!褒めて…」


 良かったやる気のトリガーがそこに転がってた


「ただし、条件があります」


 僕はゴーグルを装着して、2、3度ゴーグルを叩いた


「人の急所に当たるこのゴーグルを日の出から

 日没までに取れれば舎弟になりますよ」


 舎弟になる報酬が先にあれば、テッドさんもやる気に


「よっしゃ!そのゴーグルを奪えば良いんだな!

 楽勝だぜ!」


 テッドさんのやる気がみなぎっている。この調子なら半年で実践力が身につくだろう。貴族の勉強、楽しみだな

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