魔法使い、記録庫に目を通す
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学園生活を送るようになってから、どれくらいの月日が流れただろうか───講義を受け、研究会に通い、身体を鍛え、食事を摂り、とこへと着く。強制されているものの、道標に、舗装のされた『道』というのは"かくも"歩き易く、落ち着くものとは思わなんだ
この学園を作ったものはさぞ、人の心を見てきたのだろう───良きところも悪きところも、狂気にも似た『執着』を感じさせる
これ程に人を理解しているものを僕は多くは見たことがない───どの様な人なのだろうか。はたまた魔族なのだろうか
「…」
◆【曇る窓の向こうを見つめて】
施設ないの至るところに植えられていた『サクラの木』がすっかりと花弁を散らして、新しい緑を芽吹かせて、それを助ける様に滝の様な雨がやってきた
『梅雨』と呼ばれる天気模様の様で、空から落ちる雨が三日三晩と言わず、長く振り続けるのだとか。競技の研究会も講義も今や───騒がしかった学園の雰囲気は落ち着きを内に納めていた
◆【放課後】
古代魔術研究会の研究室『記録庫』で本を眺める。何とも不思議だ。全てが『綺麗に収まっている』───ここ百年の記録に一切の矛盾や破綻がない様を見せつけられた
ここを管理していたものは余程の『魔術師』か或いは───たったひとりでここの蔵書を書き上げたのやもしれない。世界をひとつ創り上げる程の『執念』。並の想いでは無いな
しかし、『引っ掛かり』がない読み物というのは読み終えてしまうのも速い『貴族の復権』を書くだけで『10年』を出された時は少し笑ってしまった
思想の偏りや大元締めが存在していたことは『想像に容易かった』───案外、ロイの子孫が統治していたのかも知れないな
「しかし、書庫の百年とはまた
違ったものだったな…」
リリスの用意してくれたそれとは『視点』の違う読み物だった。書いた人物の主観が入ったのだろうか、著者の名前はついぞ、どの書籍にも綴られることはなかった
◆【著者、不詳】
本を閉じたその時、異変を感じた
傍で本を読むノエルさんが気にする様子がないため、問題がないことがわかった───研究室の扉が動き始めた。この気配は
「ノエル。ってアベルさ…君」
「リリス先生?どうしてここに」
◆【研究会顧問】
「この研究会でアベル君に会うなんて
驚きました」
扉が開いた先から入ってきたのはリリスだった
「リリス先生。新しい研究員。2人は知り合い?」
「はい。ワタシの…弟です」
「意外。全然似てない」
「色々あるんですよ。色々と」
リリスはここのことを知っていたとなると『案外』ここの造りをリリスが真似し、ランゴバルド領にある自宅に再現したのかも知れないな。そうなるとリリスは既に魔術学園について、大方の理解を深めていることにも辻褄が合うな。なるほど




