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劣等眼の転生魔術  作者: 理屈屋・中折れ青二才
第三章:魔術学園・1年前期編
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魔法使い、見学を継続す

◆◇◆◇◆


「師匠!酷いっスよ」


 料理研究会で食事を『クッキー』なるものを貰い食べているとテッドさんが息も絶え絶えと言った様子でやってきた


「…なんスか。それ」


「クッキーですよ。チョコというものが

 練り込まれた茶菓子みたいですよ」


「人が大変な時に!師匠は優雅に

 ティータイムですか!」


「紅茶は飲んでませんよ?」


「いや!そうじゃなくって!」


◆【興味深いこと】


 研究会を回って見て特に興味深かったものは学年が上がるごとに内部生と外部生の対立構造が薄くなっているという点だ


『外部生お断り』という条件を掲げている研究会もあったが、どちらと言うとそういう研究会の方が少数派だった


 先の『アーミーフット』もそうだった様に『実力』に重きを置いた勧誘活動をしている。実に面白い光景だ───準備校とやらがどんな教育方針を掲げているのか、興味が湧いた


◆【魔術撲滅研究会】


「この世界から戦争をなくしましょう!」


「魔滅研に入って、共に

 平和な世界を築くのです!」


 テッドさんと歩いていると一風変わった研究会に出会した。それは研究会と呼ぶには些か『矛盾を孕んだ』目的を掲げたものだった


「なんスかね。あれ」


「…面白いですね」


 何故撲滅をうたう『輩』がこの学園に通えているのか『自らの矛盾』をどの様に正当化するのか少しばかり興味が湧いた


 魔術を学びに学園に来ている───入学試験において『実力』がなければ突破は不可能なことを暫定にしたなら『アレら』が掲げる理念はこう表すことが出来る


『自らは捨てぬことを前提にして

 他者への武器の投棄を訴えかけている』だ


 耳心地のいい言葉ばかりを並べ連ねるとは、詐欺の常套句ではないか


「今こそ『魔滅研』に栄光の光を!

 革命の時代は今、目前にまで迫っているぞ!」


◆【叶わぬ夢に邁進するのも研究か】


「なんか、聞き覚えのある声が聞こえた気が…」


「…気のせいでしょう」


 魔滅研の中に『身内』がいることをテッドさんは薄々勘付いているものの『あの光景』は中々衝撃が過ぎるので伏せておいた


 何。身内が変な宗教にハマり、その身を削り果て、貧相な身体つき、魔術も疎かにした末路なんてものは偶然目にするまでは知らぬが吉というものだ


「あぁテッド君にアベル君」


「カゼール先輩じゃないっスか」


 そんな折『アーミーフット』研究会の人がやってきた


「先程はウチの会の主将がすまなかったね

 改めて謝罪させて欲しい」


「本当っス…っグ!」


「その件については大丈夫です

 先に焚き付けてしまったのは僕たちですから」


「これ、ウチで配っているスポーツドリンク

 なんだけど…良かったら、謝罪の印にどうかな」


「いいんスか!あざっス」


「ありがとうございます」


 セガールさんから『スポーツドリンク』なる液体を受け取った。見た目は水に近いものの内容物が水とは違い『吸収促進』を促すものばかりだった───運動後に最適な飲み物だ


◆【魔滅研について】


「先程から気になっていたのですが

 連中は何でしょうか?」


「あー。AMOの連中だよ

 最近では学園にまで拠点を作ったみたいで

 本当に迷惑な奴らだよ」


「えー、えむ、おー?」


「アンチ・マジカル・オーガニゼーション

 全国でもトップクラスの規模持つ

 反魔術組織の略称さ

 表向きには『戦争反対』『平和主義』を

 唱えているのだけど、やることが

 いちいち過激でさ。近年では

 深刻な社会問題にもなっているんだよ」


 そんな組織を招き入れ、のさばらせる学園は何がしたいのだろうか『判例を得る』とはよく言うものだが、平和利用の象徴だ───魔族的な考えが強くなれば根こそぎ引きちぎってしまうのも考えるべきだろうか


「師匠?口元が怖いっスよ」


◆【争いは嫌いだが平和を壊されるなら】


「ところで、2人はもう所属する

 研究会を決めたのかい?」


「実を言うと料理研究会が気になっていまして」


「意外だね」


「家族に料理を楽しそうにする者が居まして」


 カゼールさんはとても親身になってくれている


「オレはまだっス!」


「テッド君程の実力が

 満足できて、羽が伸ばせる研究会か…」


◆【それから】


「あそこの研究会に声を掛けてみるといいかも」


 中央広場の隅にあって『異質さ』を持つ一角があった。日傘をともに椅子に座り、本を読んでいる1人の少女の姿であった


 学園の形態からすれば同年代であることは間違いないため、女性と形容するべきながら『外見』がやや『幼く』見えた

 

『異質さ』───周囲の人間たちが1人の少女を避けるようにして移動している。誰もが『そこにいるはずの彼女』のことを視界に入れないようにと。そんな移動のしかただった


 その『異質さ』の奥に『思慮深さ』故の『孤独』を見た。それはとある『水の勇者』に酷似しているものだった───碧眼の君


「デイトナ…」


 いつも前線ではなく裏から旅を支えてくれた女性だ。真っ先に逃げ、真っ先に駆けつける───そんな存在だった


「え?なん言ったスか師匠」


「いや、なんでもないよ」


 気になったのでテッドさんについて行くことにした。料理はリリスと学ぶのも良さそうだ


「カゼール先輩ありがとうございます」


「たまにアーミーフットに顔出すっス!」


「いつでも待ってるよ!」


 カゼール先輩と別れて件の『少女』の元へと向かった

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