魔法使い、先代の術式に落胆す
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「だからアタシは強くなる!
そしてアタシを育ててくれた家を
絶対に再興するんだ!」
僅かに涙を浮かべながらもエリザは言った
「何スか、それ」
「あなたは…」
「めちゃくちゃかっこいいじゃないッスか!」
「…っ!」
テッドさんは楽しそうに笑い、そして、あっけらかんと告げた
「でも楽しくなさそうッスね。おたく」
「…あんたに何が分かるっての!」
テッドさんがガントレットの構えを変えた。バーニングレイヴンから『身体強化』へと
「(マリア…君はやっぱり真っ直ぐで眩しいよ)」
だからこそ、彼女もその道を選んだのだろう。王道にして芯の通った、曲がることのない君の生き写しである彼女だからこそ
「来るッス」
テッドさんは続き『脚力強化』を充填している。強かだな。そしてエリザさんの方もまた魔力を高め始めた
「『天に朱灯す』!」
声高に叫んだ次の瞬間、エリザさんの体の周りに魔術式が浮かび上がり、火の粉が地面から噴き出した
「炎鎧纏いて!
空を我が手に!
覚悟しなさい!今のアタシは一味違うわよ!」
「…負けないっス!」
炎を自在に操り、鎧と翼を展開した姿。勇者マリアの戦装束にして死装束だ。その神々しさは200年前と変わらず、炎が人の形を真似て顕現した様に感じる姿を前にして、責務を忘れ、観客として完全に魅入ってしまう程だ
「し、信じられねえ!飛んでいるよ!」
「飛行魔術!?それって都市伝説か
何かじゃなかったの!?」
◆
「見たことないでしょ!こんな魔術!」
「ようやく笑ったっス」
「えっ。ええっ?あれえぇえ!?」
テッドさんも空を跳んだ
「し、信じられねえ!飛んでいるよ!」
「飛行魔術!?それって都市伝説か
何かじゃなかったの!?」
既視感のある言葉の再発声。しかし、テッドさんのそれは少し違う。空中を蹴り続けての飛翔だ。形になっている様で安心する
少し離れてしまったので『聴力強化』『視力強化』で2人を見守っていると
「何よ、それ」
「いやぁ、ちょっと前に屋根から落ちる経験をして
どうすれば落ちても大丈夫かと相談したら…」
「落ちない様にしなさいよ」
「それ師匠にも言われたっス」
空中での撃ち合いは一撃離脱の応酬になる。その合間を縫って話す2人の姿は200年前の空中近接戦と変わらない様子を見せていた
「(懐かしいな)」
しかし、2人とも魔力残量のことを考えているのだろうか?テッドさんは感覚でどうにかしているが、エリザさんはかなり無理をしてそうだ
『ローズスカイ』は体力を一時的に魔力へと変換する。息切れが早くなる分、短期決戦においては無類の強さを発揮する───しかし、エリザさんは先の戦いで体力、魔力を共に消耗している。強化値もテッドさんの『身体強化』と同等かそれ以下、長時間の使用はできない筈だ
「(まさか…)テッドさん!」
「え?師匠!?見てたんスか!!」
「そんなことより、彼女に接近!」
「え?どう言う」
「『欠陥』です!」
「えっと…取り敢えず近づくっス!!」
マリア、前線を離れてからも『術式の欠陥』を後世にまで遺伝させてるとは『感覚派』が過ぎるのも考えものだ
エリザさんは今、自力で術式を解けない状態だ




