魔法使い、筆記試験に挑戦す
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試験会場へと通される中、リリスは別件で僕たちとは別の方向へと向かっていった。僕とテッドさんだけになったところで何か問題が起きるか?というのもあるが僕には威厳がないため、テッドさんの暴走を止められるか心配なところではある
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「それでは始めてください」
席につき、問題用紙を指示通りに後方へと配布し、合図と同時に筆記試験なる出題に関する返答を持って合否を判定するモノが始まった
どうにもアースリア魔術学園の試験というものには筆記試験と実技試験の2つがある様で、片方の獲得可能な得点が100点を最高点として、200点の獲得が可能な代物だ
「(困った)」
静まり返った試験会場の中で羽ペンを走らせる音ばかりが響いている。筆記試験の科目は『一般教養』に始まり『魔術言語』『魔術工学』の三種類によって構成されているものだが
これは『現代魔術式』を書くべきなのだろうか?それとも『正確な魔術式』を書くべきなのだろうかと僕は困っていた
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一般教養は問題ない。懸念点があるとすれば礼儀作法の項目だろう。所作や形式が多く変化しており、本を読んでいなければ手を焼いただろう
次に魔術言語。これに関しては得意分野なのだが、先に述べた通りに『本の中の正解』を書くべきなのか『最も最適化された正解』を書くべきか迷っていたが"ふた通り"書くことで次に移った
最後の魔術工学。これに関しては僕の中でもかなり新鮮な経験なので、寧ろ2つと比べて難易度は下がっていた。真新しいものには前の経験が邪魔をしない分、比較的楽だった
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指定された時間まで余裕のある解答ができている。書き進めていると最後の問題まで歩を進めていた
「(最後はデポルニクスの最終定理か)」
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『デポニクスの最終定理』───『人体錬成』における最後の『核』となる『魂』の錬成過程とそれによって起こる『乖離』による『人体錬成』の不可能性について語ったものだ
『戦争魔術』の最盛期の220程年前に軍の補強と強化、代替を視野に入れた『人体錬成』が盛んになっていた。様々な魔術師や魔法使いが『魂の再現』を作り出すことに必死になっていた
『魂の再現実験』と称し、拉致による失踪や行方不明が後を絶たず、本末転倒な社会問題になっていた
「アベル、どうにかならないか?」
「僕も気になってたからね。手は打ってあるよ」
僕はこの『デポルニクスの最終定理』を国王経由で発表してもらい、この『人体錬成』を鎮静化するに至った
『魔術』では『魂』を錬成できない。よしんば『魂』を錬成できたとして縁もゆかりもない『肉体』との結びつきは成立することはなく定着はしないものだ
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「(懐かしい)」
とても懐かしい内容に思わず手が止まってしまったがペンを滑らせていく───結果としては『人体錬成』自体は可能ながら自立思考と拡張性を確保するための『メカニズム』の構築はどの時代においても『結果を固定化』する『魔術』との相性は最悪と言える
「(魂を丸ごと複製はできるかもだけど
そうなった場合、魂の錬成とは言えないし
魂の完全再現には肉体の外にも魔術式を
必要とするから事実上不可能なんだよね)」
今にして思うと『転生魔術』はここから始まったんだな。僕は先と同様に既存の解答と『転生魔術』を通して知り得た情報の記述をして羽ペンを机に備え付けられているインク瓶に挿した
「(新鮮な体験だな)」
ロイ達との旅路を思い出す内容だった。ロイは大丈夫だったけどマリアと来たら、無礼を働いて新たな戦争の火種になりかねなかったな
「(あぁ、本当に懐かしい)」
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「それまで、ペンを置き羊皮紙をそのままに退室
次の指示に従って下さい」
指示役の人の言う通りに動く、項垂れているテッドさんを揺すり起こし、急いで筆記試験会場を後にした




