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電波 第18話

拓哉は実夏の証言を聞きながら、じっと考え込んでいた。


そして静かに身を乗り出す。


「実夏ちゃん」


その声に実夏が顔を上げる。


「はい・・・」


「携帯が鳴った以外に何か無かったか?」


「小さなことでもいい」


「違和感でもいいんだ」


普段の気怠そうな雰囲気は消えていた。


その目だけが異様なほど真剣だった。


実夏は少し緊張しながら頷く。


「違和感・・・ですか?」


「そう」


「何でもいい」


実夏はしばらく考え込んだ。


駅長室の天井を見上げる。


そして記憶を辿るように呟いた。


「そういえば・・・」


綾乃も思わず身を乗り出す。


「何?」


「その男の人・・・」


実夏の表情が曇る。


「あの人、携帯が鳴る前から変だった」


「変?」


拓哉が反応した。


「うん・・・」


「誰かと話してるみたいだった」


室内の空気が変わる。


「電話か?」


「違うと思う」


実夏は首を横に振った。


「イヤホンもしてなかったし・・・」


「でも・・・」


実夏の顔が青ざめる。


「あの人、空を見ながら・・・」


「何かを聞いてた」


拓哉の目が鋭く細められた。


「何て言っていた?」


実夏は眉をひそめる。


必死に思い出そうとしている。


「あの・・・」


「確か・・・」


その瞬間だった。


ブルルルルル――


突然、実夏の携帯電話が鳴り響いた。


実夏が悲鳴を上げる。


「きゃっ!」


綾乃も驚いて立ち上がった。


駅長室の空気が凍り付く。


拓哉だけが素早く携帯電話を見た。


画面には。


【発信者不明】


と表示されていた。


実夏は震える手で携帯を見つめる。


「また・・・」


「またなの・・・」


次の瞬間。


駅長室の蛍光灯が一斉に明滅した。


ザッ――


ラジオのようなノイズが室内へ流れる。


そして携帯電話のスピーカーから。


誰かの声が聞こえた。


『・・・・聞こえるか』


実夏の顔から血の気が消えた。


「この声・・・」


拓哉が立ち上がる。


「全員、携帯から離れろ!」


だが次の瞬間。


電話の向こうの声が続けた。


『観測を開始する』


室内の時計が一斉に止まった。

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