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元刑事、異世界で答えに辿り着く  作者: 月乃音


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第9話 発覚した年齢を切り札に?

ハワードが瞳に宿した、複雑な感情が気になった。

怒りなのか、(いきどお)り、悲しみ、何とも表現しがたい色だった。

だが、今は聞かないほうが、いいような気がした。


「そうか」


一瞬の沈黙。

俺は頷き目を一度閉じて、話を切り替えた。

ハワードの瞳からも複雑な色は消えていた。


「そうするとロベルトが、奥さんへ知らせるのか。どう知らせる?」


さらっと流しつつ、話を切り替えた。


「それは、夫婦の秘密ですな」


「ロベルトも冗談言うんだね。それで?」


こっちも軽く流す、重要だからな。

情報が漏れたら困る。


「レオ様、申し訳ございません。方法はお伝えできません。しかし、絶対に他者に知られることはございません」


真っ直ぐ俺に視線を向けるロベルト。

これは教えて貰えそうにないかな。


「分かった、信じるよ」


なら俺は心を渡そう。

虚を突かれた顔をするロベルト。


「……よろしいのですか?」


「なんだ?教えてくれるのか?」


黙り込むロベルト。


「ふっ、そんな困った顔するな。俺はロベルトや奥さんが、危ない目に合わないほうが良い。それだけだよ」


「ありがとうございます」


「いいよ。奥さんにはこれから伝えるの?」


「はい。妻は元メイド長をしておりました。今は別館で皆の世話をしております」


「え? そうなの? ロベルトの奥さんを自由にさせているのか」


「お陰様で、とてもやすいです」


いい笑顔のロベルト。


「だよな~。レオ様でも気がつくのに、笑えるだろ」


いい性格しているよ、二人とも。

奥さんはどんな人なのかね。


「なるほどね。皆に知らせるのに苦労もないと。ただ、今回は奥さんだけにしておいて」


「なぜだ?人質の協力は必要だろ?」


ロベルトは黙って、俺を見ている。


「必要ないよ、今回は作戦が漏れないことが最重要だ。二人には悪いけど、人質の中に内通者がいるかも知れないからね。もちろん、子供達に教えるのは論外だけどね」


「子供も? 怯えないか?」


「いや、子供こそダメだよ。ちょっとした言葉や行動にでるからね。それに、全て終わってから知らせればいいよ」


「騒ぎで気づかないか?」


「ちょっと考えがあって、伯爵とダリルは出発準備で、俺に意識は向いてないだろ? なら、俺がここ出て、別館に移ることに問題ないと思うんだよね。だから、人質に加われないかと思って、どう?」


「は? どうって、ダメだ、危険だろ!」


止めるハワードに対して、ロベルトは俺をじっと見る。


「……何かお考えがあるのですか?」


「子供達の状況を見て把握したい。子供は自分の状況や気持ちを、上手く話すことができない。ましてや、閉じ込められて、大人に恐怖を覚えている状態だ。味方だと分かっていても、怯えて話すのは難しだろう。だが、今の俺なら聞き出せるんじゃないか?」


自嘲気味に笑う。


「子供でも、監禁されていれば警戒心は高い。だが、養子でも伯爵の息子だ、そんな俺が自分たちよりも酷い状態で加わったら?」


「「……」」


「警戒心なく世話を焼くだろう。俺のことを知っている子供もいるだろ? ロベルトの息子なら健康だった頃の俺を知っているよな?見比べたら?……俺は成長が出来てないだろう?」


「……はい。私の息子と比べても、お小さいかと。ですが、そこまでして子供達の話を聞く必要がございますか?」


「俺が辺境伯や公爵へ話すなら、効果的だと思うよ。一人閉じ込められ暴行を受けていた俺が、その後使用人の子供達と一緒に閉じ込められていた。この事実と、俺が子供達の状況を話せば伯爵を追い込むのに、大きな材料の1つになる」


「……レオ様、本当にレオ様ですか?」


「見ての通りだよ」


苦笑いでハワードに返す。


「そこまで考えていらっしゃるとは、確かに貴族であるレオ様が、使用人の子供達と同室に入れられた事実があるのは大きいですな」


「そうだろ? 特に公爵にはいいんじゃないか?」


「はい。階級には厳しいかと」


「ああ。ところで今の俺は何歳ぐらいに見える? それと、俺って今何歳?」


絶句する二人。


「自分の歳も覚えてないのか?」


「はは、まぁね」


俺は乾いた笑いを漏らす。

ロベルトが咳払いをする。


「レオ様の見た目は……8歳ぐらいでしょうか。実際の年齢は12歳です」


「……は? 12? これで……」


絶句する俺を、何とも言えない表情で見つめる二人。

10歳ぐらいかと思っていた。


呆然としていると、頭を優しく撫でられる。


「これから、ちゃんと食べて体を鍛えれば大丈夫だ」


ハワードが優しく言う。


「さようです。問題ありません。レオ様には加護もありますからな」


うんうんと頷く二人。

思わず微妙な顔をしたのだろう。


「心配ないぞ、落ち着いたら俺が鍛えてやる」


いい笑顔で請け負うハワード。

……遠慮します。

脳筋っぽいからな、絶対に嫌だ。


「ハワード、レオ様に対して言葉が乱れていますよ。お食事の管理は私が致します」


料理長にお願いしたい。

でも、二人の気持ちは素直に嬉しいと感じた。

この少年が大切に思われていることが嬉しかった。


「二人とも、ありがとう」


二人は優しい眼差しをしていた。

ちょっと、年齢に驚いたが利用できるな。


「そうだな。今はこの体も利用出来るし良いとしよう。それで……二人とも、どう?」


難しい顔をするハワード。

ロベルトは諦めた顔をして俺をみた。


「まぁ、大丈夫でしょう。伯爵自身はレオ様にまったく興味ありませんし、問題のダリル様は出発まで、伯爵の命令で缶詰ですので」


「缶詰?」


「ああ~勉強か、いまさらしても遅いと思うがな」


「そういう事です」


「なるほど、いつ別館に行ける?」


「レオ様次第かと」


「俺?」


「当然です。魔力操作を完璧にして頂きます。子供達を危険な目に合わせるおつもりですか?」


ぐぅの音も出ない。


「しっかり覚えます」


「今日、明日で完璧に致しましょう」


「わ、分かった。頼む」


「レオ様、死ぬ気で頑張れ」


ハワードから応援の言葉と、哀れみの視線をもらった。


「ハワード、そちらの大まかな予定は?」


「ああ、外の連中は3日後に近くの隠れ家に集まる。辺境伯は、5日後の夕方に見える予定だ」


「それは行幸(ぎょうこう)です。レオ様を別館に移す時に、影から護衛を数名つけてください」


「もちろん、そのつもりだ。救出時は俺が迎えに行きます」


「うん、お願い。頼もしいよ」


「俺を移動させる上手い口実、何かある?」


「そのへんは私にお任せを」


「じゃ、お願い」


「ロベルト、公爵のところへは誰が付いて行く?」


「辺境伯はお一人でこられるのですか?」


「流石にそれはない。数人騎士を連れてくるだろう。……付いて来られたらな」


最後にボソッと、ハワードが呟いたが聞き取れなかった。


「私が付き添えたら良いのですが、ハワードも難しいでしょう。辺境伯と相談致しましょう」


「二人とも、ここに居る人たちは付き添わなくていいよ」


「しかし、……では世話をするメイドをつけましょう」


「必要ない。メイドは逆に邪魔だよ、移動時間が遅れる。少数、精鋭でお願いしたいかな。証拠の書類等がどのぐらいになるか不明だけど、荷物も最小限にして移動速度を優先したい」


「それでは、レオ様のお体に負担がかかります」


「ここは譲れないよ。俺もだけど、皆の命がかかっている。失敗は許されないし、そのために魔法を覚えた。魔力操作はこの二日で覚える」


「……わかりました。辺境伯にレオ様の意向をお伝えし、ご相談させて頂きます」


「ああ、頼む」


「ハハ、レオ様すごいです。辺境伯も驚かれるだろうな」


「確かに、そうですな。嬉々としてレオ様を、お一人を連れて行きそうですな」


「だな。昔のレオ様はサラサ様に似て、穏やかで優しい坊っちゃんだった。だが俺は今のレオ様の方が、好きですぜ」


「いや、今も優しいだろ?」


二人して沈黙された。


「レオ様、色々魔法試しているみたいだが、得意だった治癒魔法はどうだ?」


「え? 俺、治癒魔法が得意だったの?」


「ん? そうだと思ったが、違ったか?ロベルト」


「そうでしたかな? 私はサラサ様がレオ様に、魔法を教えているところしか存じ上げません。その点は、ハワードのほうが詳しいかも知れません」


「そうなの? ハワードのほうが、俺のこと知っているの?」


そんな俺を、寂しそうな目で見るハワード。


「俺はお二人の護衛をしていましたからね。レオ様とは、よく遊んだんですよ」


「そうだったのか。その、忘れてごめん。頑張って思い出すから」


「その気持ちだけで十分ですよ」


頭を優しく撫でられる。

嬉しそうに笑うハワードに、照れくさくなる。


「ゆっくり、思い出してくれれば嬉しい。でも、無理はせず身体を大事にして欲しい」


「うん、ありがとう」


「じゃ、俺はそろそろ戻るかな。レオ様、治療魔法試してみな。他の魔法と感覚違うと思うぞ」


「そうですな、体が覚えているかも知れません」


「わかった、やってみる」


「それじゃ、レオ様。別館へお助けに行きますので、大人しく待っていてくださいよ」


「あんまり待たせると、こっちから行くかも」


「勘弁してください」


「冗談だよ、子供達と一緒に居るから、そんな無茶はしないよ」


「「約束ですよ」」


ハモった。

じっと見られる。

俺、何も思ってないぞ。


「わ、わかったよ」


「では、私も一度戻ります。レオ様、夕食をお待ちするまで、絶対に魔法は禁止です。いいですね」


「はい」


「少し、お休みください。こちらに飲み物と軽食を置いていきます」


「うん、ありがとう」


「レオ様、魔法はロベルトの言う事を、聞いたほうがいいぞ。それに、無茶はするな、俺もロベルトも居る」


そう言って、再度頭を撫でて部屋を出ていく。


「ロベルト、このドア頼んだぞ」


「仕方ありませんな。では後ほど」


部屋を出たロベルトは、サッと手を振った。

次の瞬間ドアが元通りに直っていた。

ロベルトも大概だと思うけどな。






ここまでお読みいただきありがとうございます。

もし少しでも楽しんでいただけましたら、

評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。


次回 2/28 (土) 20時更新します。

『第10話 黒い贈り物』も、よろしくお願いします。


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