第7話 暴走する炎
誠に申し訳ありません。
2/21(土) 20時更新としておりましたが、予約時間を間違えて設定していました。
お詫びとして、 第8話 2/25(水) 更新予定でしたが、明日20時に更新いたします。
よろしくお願いいたします。
魔法の勉強、本来ならワクワクするものじゃないのか?
初めてできた喜びとか、感動とか……。
まったく感じなかった。
魔力の流れを感じて、体に纏うことができるまでは優しかった。
これで、俺も使えるようになると思ったら、鬼の教官が誕生しました。
スパルタだった。本当に子供だったら泣くぞ?
火魔法や水魔法を、楽しく使う想像していた俺を殴りたい。
「魔力を纏えるようになりましたな。その魔力を極限まで薄くして、全身に隙間なく均一に纏わせてください」
「全身に均一に薄く……」
皮膚をもう一枚魔力で作る感じでいいか?
「できたか?」
「えぇ。できております」
その間はなんだ?
体を動かしながら見てみる。
「あぁ、動くとムラになるのか。ん~こうか?」
見ながら試行錯誤する。
「レオ様、魔力が見えているのですか?」
「ん?見えているよ。ロベルトも見えているだろ?」
「はい、見えております。……才能がおありですな」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、そのまま集中して続けてください」
俺は言われた通り集中したおかげで、動いてもムラなく魔力を纏わせられるようになった。
「レオ様、次に進みましょう」
「その前に、水が飲みたい。のどが渇いた」
「気が付かず申し訳ありません。こちらをどうぞ」
素早くサイドテーブルを出し、コップに水を入れてくれる。
「ありがとう……」
椅子…ないのか、休まず続けろと。
鬼教官だな、俺、やせ細った子供なんだけどな…。
心の中で愚痴りながら水を飲み干した。
「次は何をする、っ」
いきなり殴りかかってくる、ロベルトの拳をギリギリ避ける。
「ちょっ!」
この!子供相手に何してくれんだよ。
次々と繰り出される拳を避けきれず、思わずクセで払い除け、懐に飛び込み腹に拳を入れる。が、拳を捉えられる。
「…心得がお有りのようですな」
「……さぁな、神の加護のおかげじゃないか?」
肩をすくめて見せる。
神のじいさんに丸投げしておこう。
加護つかえる。
「……加護ですか。そういう事にしておきましょう。レオ様、最後に魔力が霧散しました。魔力そのままでしたら、私に一撃入ったでしょう」
「え?あ、本当だ」
「これから眠る時以外は、魔力を纏ったままお過ごしください。コントロールできるようになれば、息を吸うのと同じように自然にできるようになります。また、纏う魔力の濃度を上げれば更に身体能力を強化できます」
「眠る以外ずっと……」
「はい。別に守られる側のままでよろしければ必要ないですよ」
「……やる」
痛いところを突きやがって、やってやろうじゃないか!
「頑張ってください。戦力として期待していますよ」
「……当然だ」
こうなったら、驚かせてやる。
「レオ様、こちらを」
ロベルトは紙にサッと書き渡してきた。
いつ、紙とペン用意したんだ?
「ん?朝の食事か、好き嫌いないから任せるよ。あ~、できればロベルトが持ってきてくれるか?モニカは顔に出やすい。あと、できたら魔法の本と、一般常識や国のことが分かる本を頼めるか?」
「そうですな、文字は読めるようですので、準備致します」
「テストかよ!」
「テスト?」
「え?あ~気にするな」
テスト通じないか、こっちだと…あ、試験か。
「……では、そろそろ戻ります。少しはお休みになってください。飲み物と軽く摘めるものを置いておきます」
「あぁ、そうするよ。置いていって大丈夫か?」
「問題ありません。奴らは朝動きません」
「なるほど。ロベルトありがとう。色々と負担を掛けるが、よろしく頼む。あと、時間見て少しは休んでくれよ」
驚いた顔をして、目を瞬かせる。
そして優しい笑みを見せた。
「お気遣いありがとうございます。また、後ほど伺います」
「うん。また後で」
ロベルトが部屋を出ていき、静けさが戻る。
ベッドに腰を下ろし、ロベルトが置いていった焼き菓子を口にした。
「美味い」
甘さが口に広がる。
「疲れたときは甘いものに限るな」
食べながらも、自分の魔力を見る。
体を覆っている光は、初めは広がってモヤのようだった。
だが今は薄い光が、一枚体にくっついている感じだ。
「不思議だな、でも面白い」
寝転んで、纏わせた魔力を色々動かし試して遊ぶ。
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「レオ様、起きてください」
「んぅ?ん~ロベルト?どうした?さっき出ていったのに、何かあったのか?」
「いえ、もう朝食の時間ですよ」
「え?俺いつの間に寝たんだ?」
言いながら体を起こす。
なんだか体がダルい。
「大丈夫ですか?」
「あぁ、ちょっと体がダルいだけ」
「失礼します」
そう言って、ロベルトは俺の体を触診する。
「魔力を急になじませ使用したため、体に負担がかかったようです。無理をさせてしまい申し訳ありません」
「気にするな、慣れれば大丈夫だろう」
「いえ、使い始めの無理は危険です。本日、お昼まで魔力は使わず、こちらの本を読んでいてください。昼食後、再度体を診させていただきます」
ロベルトが出した、本の山に固まる。
俺、子供だよな?10歳ぐらいの……。
なんとか返事を絞り出す。
「……分かった。そうするよ」
「こちらの鍵は、私が管理することになりましたので、安心してお過ごしください」
「え?そうなの?」
「はい」
どうやって鍵の管理を勝ち取ったのか知りたいが、怖くて聞けない。
「助かるよ。ありがとう」
「では、お昼に伺います」
「分かった」
朝食を食べた後、早速、読書に取り掛かる。
「全部読まないとだめなのか?これ……」
見ていても仕方がないか。
積み重なった本の山から、一冊手に取り読み始める。
読み進めると不思議な感覚になる。
記憶が引き出され、知識に誤りがあると勝手に修正されていき、そのまま正しく記憶される。
しかも、一度読んだら全て覚えられるようだ。
「すごいな。これ反則的な能力だよな……」
ものすごく便利だ、本だけじゃなくて、見たもの全て記憶できたらいいんだが……。
だが知識がものすごい速さで吸収されるのが面白い。
次の本を取ろうとして、手が空振った。
「ん?え……?もう全部読んだのか……?嘘だろ?」
積み上がった本の山を見る。
「……まじか?」
読むスピードもチートなのか、規格外の能力だ。
お陰で、この世界の事を知ることができた。
魔法の知識も得られた、これだけ世界の記憶が戻っても、この少年の記憶は戻らなかった。
…本当に、俺が少年として生きてきたのか?
「はぁ、分からないことを考えても時間の無駄だな。それよりも今は魔法の習得だな。あんま時間ねぇが、必要そうなものから順に覚えるか」
そこから、俺は魔法を覚えることに集中した。
調子に乗りすぎた。
基本魔法簡単に使えるようになり、面白くて欲が出た。
火魔法を複数展開して、一つにまとめた瞬間、爆発音と共に炎が膨れ上がった。
「うわ!!」
炎が壁を舐めるように広がり、天井に達する。
空気が焼ける匂いが鼻を刺す。
「これ、どうすりゃいいんだ!!」
ヤバい!炎が消せない!
焦れば焦るほど炎が拡大していく、これじゃ焼け死ぬ!!
炎を小さくしようとしたが、逆に温度が上がったのか、炎が青くなる。
「くそ!」
勢いを増す炎に追い詰められ、部屋の隅に追い込まれる。
熱で温度が上がり、汗だくになる。
目の前まで炎が迫る。
「坊っちゃん!!」
「レオ様!!」
俺を呼ぶ声が聞こえ、硬質な音とともに引き寄せられ抱きかかえられる。
直後にすごい爆風が起こった。
ミシミシと音が響き、続いて硬質な物が割れる音が響いた。
「結界……」
頭上からボソッと声が聞こえ、顔を上げる。
イケオジがいた。左頬に傷はあるものの整っている。
茶髪の短髪、アーモンド色の瞳が気遣わしげに見つめてくる。
「坊っちゃん?大丈夫ですか?」
無言で見ていたからか、俺を抱えたまま立ち上がりベッドへ座らせる。
「あぁ、えっと?」
瞳にちょっと複雑な色を男はみせた。
「ハワード、騎士団長のハワードでございます。坊っちゃん」
「ハワード……。そうか、助けてくれてありがとう」
「いえ。それより、お怪我はないですか?」
「あぁ、大丈夫だ」
「それは何よりです。レオ様、ご説明をお願いできますでしょうか」
ロベルトの怒気を潜めた声と同時に、部屋が冷気に覆われた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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明日 2/22(日) 20時更新します。
『第8話 常識外れな力と、動き出す計画』も、よろしくお願いします☆




