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元刑事、異世界で答えに辿り着く  作者: 月乃音


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第28話 残された時間

「それで、レオの頼みとは?」


「自分の代わりに、伯爵家にいるみんなを助けて欲しいと……、これは進行中のようだがの」


「ああ、ほっとけないからな。罪のないものは助ける。まぁ、俺のできる範囲にはなるが」


「ホホ、じゅうぶんじゃよ」


「それだけか?」


「まだあるの。母親が自分の肖像画の裏に何かを隠していたそうだ。それを、確認してほしいとのことじゃ」


「肖像画の裏か」


裏ね、確かに見てない。

見落としたな。


「隠された物の見当はついているのか?」


「うむ、おそらく父親に関する物のはずだと」


「はず?」


「レオの記憶が曖昧なのじゃ」


「……魂が消えかかっていたからか?」


「そうじゃ」


じいさんの声は低く落ち込んでいるようにも、怒りを押さえているようにも思えた。


「わかった。この後にでも調べに行くよ。あと、聞きたい――」


「すまぬ、まだあるのじゃ」


「ん? レオの頼みか?」


「うむ。消滅しかかった魂で願っての……。世話になった者へ最後に挨拶したいと」


「そうか、分かった。俺はどうすれば良い?」


「いいのか?」


「ああ」


当然だろ?

何を不思議がるんだ?

思わず首をかしげる。


光の玉がほわっと優しい光りを帯びた。


「そなたは……。悠人、お主だからレオの体に入れたのかもな。レオが挨拶したいのが、ロベルト、ナタリー、ハワードという者たちじゃ」


俺は体を強張らせた。


「ん? 何か問題があるのか?」


「ああ、ナタリーは無理だ」


俺はここで起きたことを、かいつまんでじいさんに話した。


「そうか、そのようなことが」


「ああ。ナタリーは罪人で監視がついていて、俺はそこには行けない。じいさんから、レオにナタリーは病気になって静養のため、この屋敷から移って療養しているから会えないと伝えてくれ」


「そうじゃな。それがよいであろう。後の二人は問題ないかの」


「……俺は、明日の朝にこの屋敷を出て王都に向かう。出発前の挨拶の時が最初で最後だ。俺はこの屋敷に戻るつもりはない。まぁ、時間もないがな」


「明日の朝か……、ギリギリ間に合うだろう」


「レオの回復か?」


「うむ。――悠人、時間がないと推測していたとしても、ここに戻らない選択はいつしたのじゃ?」


「最初からだ。ここの状況からして、伯爵家は取り潰して、伯爵領は返還するのが最良だろう。呪いを受けなかったとしても、そうするつもりでいた」


「ふむ。確かに、それがよいであろうな」


「俺からもいいか?じいさんに封印してもらった呪い黒い石だが、あれは消せるのか?」


「……消せぬ。なぜ、あんな物があるのかは調査しておる。ただ、あれは誰かの命と共に消える呪いじゃ。他の方法はないのだ」


「必ず命が必要なのか?あの箱には10個入っていた。あの石があれだけとは限らない」


「そなたの懸念も分かる。他にもあの石があるかは、儂の眷属にも調べさせよう」


「ああ、頼む。この石の存在は公爵だけに伝えようと思う。その時、公爵に見せる必要があるんだが、じいさんの封印は解いても大丈夫か?」


「む。あれは、そなたしか耐えられぬ。普通なら即狂い死んでおるはずじゃ。どうやって持ち運んだのか」


「そこまでなのか……」


俺、よく生きているな……。

啞然とする。


「先も言ったが、そなただから生きておるのじゃ。儂の治療と魔力の多さのおかげじゃろう。……魂の違いもあるのか?」


「うん? なんて言った?」


最後のつぶやきが聞こえず聞きかえした。


「ああ、気にせんで良い。独り言じゃ」


「そうか。しかし、そうすると収納から出せないな。だが、見せないと証拠にならない」


困ったな。

俺の呪いを伝えるのに、現物があったほうがいいんだが。


「何か方法がないか考えておこうかの」


「いいのか?」


「問題ない。そなただけに任せるのは悪いからの」


「そうか、助かる。あと、俺の寿命だが、せめて一ヶ月保つように出来ないか?」


「一ヶ月か……」


「王都に行くのに3日、公爵にすぐ会えるか分からないし、証拠を渡しても精査があるだろう。伯爵家の取り潰しと、領地や伯爵家に勤めている皆の今後を確認したい。この呪いのこともそうだが、黒幕のことも気になる」


「……」


光の玉が俺の周りをゆっくり移動する。


「……すまぬ。伸ばせても二週間、二十日が限界じゃ」


「……二週間か。二十日にするにはどうしたらいい?」


「そなたが魔法を使わぬこと、動かず横になっていることが条件じゃの」


「……」


無理じゃないか!

俺は頭を抱える。

そんな俺を光の玉がじっと眺めているのに気づかなかった。


「このような者もおるのじゃな」


何かじいさんがまた呟いたが、俺には届かなかった。


「……、方法はなくもない」


俺は思わず光に掴みかかる。

スルッとかわされたが。


「なんだ!?あるなら教えてくれ!」


「今、お主の魔力で押さえているのを、儂の神力で抑えるのじゃ」


「そうしてくれ!」


「待て、最後まで聞くのじゃ。確かに儂の神力で押さえれば、そなたの希望する期間保つじゃろう。しかし、その場合体は――」


「……」


俺は沈黙した。


「どうする?」


「……それで良い。ただ、この体はレオのだ。レオに承諾を取ってくれるか?」


「わかった」


「話は、ひとまずこれだけか?」


「そうじゃな」


「なら、時間を見て俺は別館へ行くよ」


「それじゃが、今からでよいか?儂も一緒に確認してレオに伝えたいからの」


「今から?だが……」


「移動は儂がするからすぐじゃ、問題ない」


「分かった。なら行こう」


お読みいただきありがとうございます。

もし少しでも楽しんでいただけましたら、

評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。


次回 5/6(水) 20時更新します。

『第29話 蓮の花に託されたもの』よろしくお願いします。


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