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元刑事、異世界で答えに辿り着く  作者: 月乃音


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第25話 隠し部屋と新たな真実

俺は書斎を眺める。


「綺麗なもんだな」


使用感がない。

絨毯も他の部屋と違いふわっとしている。

本棚を順に見ていく、特に引っかかるものはない。

どれも綺麗な背表紙だな、ここの本は飾りなのか?

もったいない。


「暗いな。えっと、光よ……。ライトで、できるじゃん」


小さな魔法の光が浮かぶ。

魔法の詠唱恥ずかしすぎるから、試しに言ったら “ライト” でできた。

これ、言わなくても使えるのでは?

ライト。


「できたな。2つだと明るいな」


浮いている光の球体を、目を(すが)めてみる。


「ん?」


下段の棚に、埃が薄っすらと積もっている。


「掃除していないのか、どれ」


俺は、もう1回本棚を順に見ていく、中段までは俺の身長で見える。

特に触った痕跡はないな。


「ん?」


足元の感触が違う。

もう一度、慎重に歩いてみる。


「違うな」


一部分、毛が寝ている。

光で足元をよく見る。

ドアから、この場所へ歩くだろう場所が、ほんの少し寝ている。

ここ最近来るようになった?

この本棚に……。


「上だな」


残念ながら、見えない。

踏み台は当然なく。


「何かないか? あ、」


収納から椅子を出す。

本棚に寄せ、椅子に乗り確認する。


「当たりだ」


1冊の本の前だけ、ホコリがない。

さて、本か仕掛けかどちらだ?

慎重に本に手をかける。


“カチリ”と小さな音がした。

本棚がスライドし奥に隠し部屋が現れる。


「さて、何が出るかな?」


中に入る。

机の上には書類、壁際には木箱が積まれている。

先に机の書類を手に取り目を通す。


「……。おいおい、大丈夫か?」


頭を抱えそうになる。

いや、こちらとしては助かるんだが、何か微妙だ。


「こんな所にメモ残すなよ。子供か」


不明の暗号、一覧で書かれている。

隠し部屋だけど、不用心だろ。


「なんともお粗末だな。だが……、これは」


虫酸が走る。

どの世界でもクズは同じか。

チラッと箱を見る。


「はぁ、エドガーたちを呼んだほうがいいな」


一覧だけ二人に見せるために収納に入れる。

椅子からおりたら、足音が聞こえた。

誰だ?


「あ? なんで開いている?」


そこに現れたのは……。


「何だ、ガキかよ」


「お前は……、ビリーだったか?」


それには答えず、鷹揚に手をあげ話しかけてくる。


「よう、坊っちゃん。あの二人と一緒じゃないのか?」


入口の壁にもたれ腕を組む男。


「……」


視線を交わし合う。


「ガキのくせに、冷静だな」


「どうやって、ここへ来た。お前は地下牢……いや地下室か、でも見張りがいたはずだが?」


「は、何とでもなる。あの二人は別だがな」


「お前、何者だ? 傭兵の仲間……じゃないな?」


「なぜ、そう思う?」


面白そうに笑いながら、聞いてくる。


「あんたと違って、あいつら考える頭ないだろ」


「ブッ、ブハハハ! アハハハ!」


腹を抱えて笑う男。


「ひ~。はぁ、いいね。ガキだが頭の切れるやつは嫌いじゃない」


「そりゃどうも、で? 質問の答えは?」


ニヤ~と悪い顔をする男。


「答えると思うか?」


そう言いつつ、俺との距離を詰めようとしたのだろう。


「残念」


一瞬でリックに捻じ伏せられる。


「な!? いつのまに、離せ!」


騒ぐ男の横を素通りしてエドガーが来て、俺を抱えあげる。


「大丈夫か?」


「まったく、問題ないよ。すぐ呼んだし」


「すぐじゃないだろう」


頬を引っ張られる。


「いひゃい」


「この部屋を見つけた時点で、呼ばないとダメだろう?」


あ、そういう。


「ごめんにゃひゃい」


「ったく。何もなくて良かった」


ギュッと抱きしめるエドガー。


「ごめんなさい」


「ああ、次からは、ちゃんと言えよ」


「うん。リックもごめんなさい」


「あ、ああ」


男を押さえながら、肩を震わせ笑いを堪えていたリック。

そんなリックに押さえられ、こちらを睨んでいる……。


「リック、力を入れ過ぎじゃない? 息できてないみたいだけど」


「あ」


慌てて力を緩める。

咳き込む男。


「馬鹿力が」


息を整えながら悪態をつく男。


「それで? さっきの答えは?」


「ああ、俺はあんな奴らの仲間じゃない」


「へぇ、一人なの? 仲間はいないの?」


「俺は一匹狼でね」


「ふぅん。なら要らないね。エドガー」


ピックっと反応を示し、冷や汗をかく男。


「そうだな。リック、始末頼む」


「分かった」


リックは男を力任せに立たせる。


「ま、まて! 違う。俺は奴らの元頭だ!」


「「え?」」


俺とエドガーの声が重なる。


「どういう事だ?」


エドガーが質問する。


「今の頭、ドリーの裏切りだ」


抑揚のない声で言う。


「何故、殺されていない」


「はっ!あのバカに、そんな度胸ねぇよ」


忌々しそうに言い捨てる。


「お前に指示を出したのは誰だ?」


目を見開き俺を見るも、何も言わない。


「ところで、名前はビリーじゃないよね? なんて言うの?」


「あ? 別になんでもいいだろ」


リックを見てニッコリ笑うと、締め上げてくれる。


「イテテ、おい! 子供を甘やかすな! やるとこ違うだろ!?」


「あのな、本当に聞き出すなら、レオの前でするわけないだろ。で、名前は?」


「チッ、ユーイル」


「……綺麗な名前だね」


「ふん、そうかよ」


「ねぇ、ユーイル。もしかして、ここから逃げて指示した人、組織? に戻ろうとしたの?」


ギロッと睨み口を噤む。

まじで?


「え? 本当に?」


「なんだよ! お前に関係ないだろ」


「関係ないけど……ねぇ?」


俺は微妙に思いながら、エドガーとリックを見る。

二人も哀れむ視線をユーイルに送る。


「う~ん、甘くない? 頭いいと思ったんだけど、意外と抜けている? それとも信用しているのかな?」


そっぽを向くユーイル。

何か子供っぽい所あるよな。


「よく考えてよ。人質にされてから何年たったの? それまでに、組織から接触あった?」


悔しそうな顔をして、こちらを睨む。


「今の頭、えっとドリーだっけ? 彼には定期的に連絡来ていると思うよ。状況確認必要だからね。分からない?」


黙り込み下を向く。


「ユーイル、組織に捨てられたんだよ。帰っても殺されるよ?」


「嘘だ! そんなことない! お館様は俺を大切だと言ったんだ! 息子のように思っているって! ……知らないだけだ、ドリーが隠しているんだ!」


「お前……」


エドガーが怪訝な顔をする。

リックも違和感を感じているようだ。

それに先程から、ユーイルの魔力が揺らいで、不安定だな。

ん? なんだ?

ペンダント?

エドガーに下におろしてもらい、ユーイルに近づく。


「な、何だよ!? ッ、おい! 馬鹿力、力抜けよ!」


リックにガッチリとホールドされ動けないようだ。

その隙にユーイルのペンダントの紐を手に取る。


「や、止めろ! さわるな! 離せ!!」


「これ、魔道具だね」


「手を離せ! さわるな!!」


ペンダント部分には触れず、じっくり見る。

これ嫌な感じがする。

それに、これ魔力を吸ってないか?


「悪いが、外すぞ」


「や、やめろ!」


関係なくちぎり取る。


「ぅあ、あああーーーー」


ユーイルが呻きながら痙攣する。

すると姿が変容し青年の姿になる。


「「「……」」」


いや、確かに歳の割には子供っぽいと思ったけど。


「子供じゃん!」


「お前が言うな」


「でも、こんな子供が傭兵の頭ってないでしょ?」


「……いや、レオ、お前のほうが十分なくないか?」


む。それもそうか。


「気を失っているな」


リックは冷静だった。

マジマジと三人で青年になったユーイルを眺める。


「よく気づいたな」


「ペンダントが嫌な感じがしただけで、青年になるなんて分かるわけないよ」


「それもそうか」


リックはユーイルを抱き上げていた。


「リック、気にしないで。誰も知らなかったし、やったことは消えないよ。いくら子供でも」


「あ、ああ」


リックは子供好きで、甘いのか。

でも、とりあえず移動しないと。


「書斎には寝かす場所ないから、最初の応接室に行こう」


「そうだな」


移動して、ユーイルをソファーに寝かせる。

リックは寝室から毛布を持ってきて掛けてやっていた。

その様子を見ていたエドガー。


「呼吸は落ち着いているな」


「ああ、問題ない。苦しそうでもない」


「ペンダントを外したから問題ないよ。埋め込みじゃなくて良かった」


俺と同じように体内だったら、最終的に魔力を奪われて死んだだろうな。

考え込んでいた俺は、二人が固まり辛そうな表情を見せたことに、気づかなかった。


「彼のことはロベルトに任せようかな。あと悪いけど魔法で拘束させてもらうよ」


ぐっと押し黙るリック。


「リック、ユーイルは罪人だ。お前は、この件からは外す。甘さを利用されかねない」


エドガーから注意され、目を閉じ深呼吸をするリック。


「悪かった。気をつける」


「気持ちは分かるけどね。ここに潜入した頃は少年だっただろうし。いいように利用されたんだろうね。ユーイルはロベルトに丸投げで」


「え?」

「は?」


「やること、増えるから」


まず、ペンダント。

二人に掲げて見せる。


「これ、使用者から常時魔力を吸い取るみたい。これ、俺が保管しといていい?」


ギョ!っとする二人。


「大丈夫なのか!?」


「紐は問題ないよ」


「脅かすなよ」


「ハハ、ごめん、ごめん」


「保管はレオに頼む」


「ああ、俺らだと持ち歩けないからな」


「了解。で、本題。これ見て」


先程、収納に入れた暗号の一覧を渡す。

それを見た二人は呆れ顔だ。

そうなるよね。



「ご親切に一覧があるとはね」


「ああ」


「俺も見つけたときは目を疑ったよ。さっきの隠し部屋に木箱が複数ある。戻って確認しよう」


「いや、レオはここで待っていろ」


「ああ、その方がいい」


「俺も行く。多分だけど、二人だと箱を開けられないかも。それに、箱を収納する必要あるでしょ」


押し黙る二人。


「大丈夫だから行こう」


俺から歩き出す。

しぶしぶ二人は俺の後について部屋を出た。



お読みいただきありがとうございます。

もし少しでも楽しんでいただけましたら、

評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。


次回 4/25 (土) 20時更新します。


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