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元刑事、異世界で答えに辿り着く  作者: 月乃音


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第13話 秘密の共有

慣れないな……気恥ずかしくむず(がゆ)い。

落ち着かないでいると、含み笑いが聞こえた。


「ふっ、そういうところは子供っぽいな」


そう言って、頭を優しく撫でてくる。

不貞腐れると、余計笑われる。


「ぷくく、レオは何歳だ。8歳か9歳ぐらいか?」


「……12歳だって聞いた」


ムスッとする。

エドガーの体が固まるのが分かった。

顔を見ると、般若のような顔をしていた。


「エ、エドガーさん」


「あぁ、悪い……」


ギュッと優しく抱きしめられる。

誰かに抱きしめられたのは、いつぶりだろうか?

温かいな、無意識にすり寄っていた。


それに気づいたエドガーは、優しく背中を撫でる。


しばらくして、自分の醜態に気づいた俺は固まる。

俺の様子が変なことに気づき、体を離して顔を見る。


「ぷっ、アハハハ、ハハハ。顔が真っ赤、可愛いな」


思いっきり笑って、指で俺の頬を突く。

更に顔に熱が集まるのを感じる。

それを見て、さらに笑うエドガーのヒゲを思いっきり引っ張る。


「イテテ、ちょ、抜ける、抜ける。伸ばすの、大変なんだよ」


「笑いすぎ、それに似合ってないよ。おっさんに見える。」


「グッ……」


あ、ダメージ受けている。

気にしていたのか。


「それって、変装なの?」


ジト目で睨まれる。


「……そうだよ。まいったな~。ここまで隠していたのに、まさか子供にバレるとはね」


「あれ? 白状しちゃっていいの?」


「俺はね、独り身だし問題ないよ。でも、リックには黙っとけよ」


「……えっ!? リックさん、結婚しているの?」


「驚きだよな、俺よりも先にさ。まぁリックの事はいいよ。こっち、バラしたんだから、教えてよ」


理由なんとなく分かるかも、と思っていたら話が戻った。

どうするか、悩んでいると、頬を引っ張られる。


「さっき、何か失礼なこと考えたよね」


「いひゃいです」


「ごめんなさいは?」


「ごめんなひゃい」


「よろしい」


頬を擦る、思いっきり引っ張りやがって!

涙目だよ。


「それで?なにするの?」


「人質を救出する」


エドガーは片眉を器用に上げる。


「ふ~ん、それから?」


楽しそうだな。


「その前に、誰の指示でここに居るの?」


「まだ言えないな。ただ悪いようには絶対にならない」


俺は悩んで考え込む。

そんな俺の瞳を覗き込んでくるエドガー。


「信用できないか?」


そんなことはない。でも、俺だけのことじゃない。


「……子供なのに抱え込み過ぎだよ。なら、ここでレオのすることは何? 俺は協力できない?」


じっとエドガーを見ると、微笑み返される。

無駄にイケメンだよな。

ヒゲを剃ったら、モテると思うけど。


「別のこと考えてない?」


「……ちがう」


「ふーん?」


疑いの目を向けられる。

目を逸らしてしまう。

目を逸らしたことには触れずに答えを求めた。


「それで、どうかな?」


俺は話をしたいと思った。

多分、エドガーは、ありのままの俺を見て受け入れてくれる。

だから自然体でいられる気がした。

屋敷の皆は、俺がこの少年になる前のレオを通して見ている。

リックは……優しいけど、会話にならないからな。


「……じゃ、協力してくれる?」


上目遣いになってしまい、恥ずかしさに頬が熱くなるのが分かった。


「もちろん」


嬉しそうに笑うエドガー。

それに笑い返す。

なんだか、はじめて自然に笑えた気がした。


そんな俺を見て目を見張り、一段と優しい笑顔を見せるエドガー。

俺はエドガーの膝の上に座り、目的を話し始めた。


真剣に聞いていたエドガーは、話し終えると息を吐く。


「なるほどな。子供達のことはレオにしか出来ないが、物証にレオと母親に関する物を探すのは、俺が引き受けてやる。元々、今夜探る予定だったしな」


「え、そうなの?見張りの交代は?」


「それが、伯爵が返ってくるまで、俺とリックは別館の見張りにされちゃってね。本館を調査できなくなっちゃったんだよ」


困っているようには見えない様子で、あっけらかんと笑う。


「でも、いいの? 俺は良いけど、エドガーにとって得なことないよ」


「お前を、レオを手伝ってやりたいだけだ。無理させたくないからな。前にも言ったけど、1人で抱え込むな。俺に分けろ、いいな」


頭をグリグリされる。

また赤面しているのが分かり、下を向く。

エドガー、絶対人たらしだ。


そこへノックの音が響く。


「来たか、行くぞ」


エドガーは俺を抱えドアに向かった。


「待って」


「どうした?」


立ち止まって俺を見る。


「呪いのこと、二人以外は知らない。誰にも教えないで、もちろんエドガーたちの主にも」


「…………」


困った顔をして黙り込む。


「俺の事は、任務に関係ないよね」


「はぁ、わかった。だが、主については別だ。レオに主の名を、伝えた後に話し合おう。それで、いいな」


「うん。ありがとう」


ホッとして、力を抜いた俺の頭を軽く撫で、ドアに向かう。

ドアを開けるとナタリーが待っていた。


「これを」


持っていた毛布を俺に掛ける。


「ありがとう」


「とんでもございません」


「子供達の様子はどうだった?」


エドガーの質問に、俺をチラッと見て悩ましい表情を作るナタリー。


「気にしなくていいよ。歓迎されてない、だよね?」


申し訳そうな顔をして答える。


「さようでございます」


「当然の反応だと思うよ。義理であれ、自分たちを閉じ込めた伯爵の息子だからね。

予想済みだよ。それにダリルに比べたら……、とっても可愛いと思う」


いい笑顔で告げる。


「ハ、確かにな。気にしても仕方がないな、行くぞ」


「うん」


「承知しました」




子供部屋に移動して、中に入る。


エドガーに抱えられて入って来たことで、怪訝そうに見たり、怯えたり、敵意を剥き出しにする子供と色々だ。


「おい、ベッドをあけろ。レオを寝かせる」


「は? なんでだよ。今日は俺の番だ。新入りは一番最後だ!」


「テリー。いい加減にしなさい。レオ様は熱があるの。先程説明したでしょ」


テリーという男の子と、テリーを援護する子供達と、ナタリーの言い合いを聞きながら部屋を見回す。


「……いい部屋だね。俺は下で良いよ、全面に絨毯貼ってあるし問題ないよ」


「レオ様、それではお身体に触ります」


ナタリーが即反応して言葉を発した。

それには答えず、子供達を見て入口側の角を指さす。


「あの場所、使ってもいい?」


子供達は呆気にとられ答えない。


「ダメだったら言って、その時移動するから。エドガー、あそこで下ろして」


エドガーに視線を移す。

そんな俺の視線に、意味ありげに見返し移動して、下ろしてくれる。


「え?なにこれ、フカフカで温かい」


そう言って、その場で足踏みを数回して、そこに寝転んだ。


「ナタリー、問題ないよ。昨日まで木箱の上で寝ていたから、ここは体が痛くないし」


目を見開くナタリー。

あれ?これ、俺の環境をロベルトは説明してないのか?


エドガーが覗き込み、声を潜める。


「聞いてねー」


「聞かれてないし……」


睨まれたので簡単に説明する。

眉間に青筋が……。


「だから、ここ環境良いよ。そろそろ、ちょっと休んで良い?」


実はさっきから熱が上がって来ていて、ダルい。


「ん? 熱が上がっているな。ナタリー、熱冷ましの薬あるか?」


「はい。ございます」


薬と水を受け取り、俺に飲ませるエドガー。

この役目はナタリーなんじゃ……?


「おい、クッション1つ貸せ」


子供達に言うも、誰も動こうとしない。

先程のテリーが、皆を睨みつけているからだろう。

そんな中、動いたのが一番小さな女の子だった。


「これ、貸して上げる」


トコトコ寄ってきて、俺に渡してきた。


「いいの? 君のじゃないの」


「君のじゃない。エマのだよ」


そう言って、俺の頭の横に置いてくれる。

可愛いな。4、5歳ぐらいだろうか。

おかっぱの髪は明るい茶色で、目は焦げ茶でクリっとしている。


「ありがとうエマ。借りるね」


そう言って、エマの頭を撫でる。

えへへ、と笑って子供達のところへ戻っていった。

さすがのテリーも、エマには何も言わなかった。


その様子を見ていたナタリーとエドガーがホッと息をつく。

エドガーがこっそり耳打ちしてくる。


「あまりにも痛みがひどくなったら、この石に魔力を流せ、いいな」


コソッと渡してきた石を受け取り黙って頷く。

エドガーが立ち上がると、ナタリーが側による。


「お薬を飲まれたので、汗をかくでしょう。時間を見てお着替えの準備をして伺います」


「ありがとう。でも仕事あるでしょ? ついでの時で大丈夫だから」


「…………承知致しました」


しぶしぶ答え、ナタリーは一番大きな少年に声を掛ける。

ただ、何も言わず傍観していた少年、あれがロベルトとナタリーの息子か?


「セト、レオ様の容態が悪化したら、ベルを鳴らし教えるように」


「分かりました」


「後はお願いね」


それだけ言って、部屋の扉を開けた。

エドガーは一度俺に視線を寄こして、その扉から出ていった。


部屋が静寂に包まれる。

ナタリーとセトは親子なのか?

二人の関係の不自然さに違和感を抱いた。


子供達がこちらを伺っているのが分かった。

それに反応せず壁側を向き毛布にくるまって、子供達の会話に耳を澄ませた。






ここまでお読みいただきありがとうございます。

もし少しでも楽しんでいただけましたら、

評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。


次回 3/14(土) 20時更新です☆

『第14話 歪みの露見』も、よろしくお願いします。



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