ザーグ「只今帰還致しました!」
マサルと別れて7日目の昼前、ザーグたちは王都に到着し、旅の埃を落とし城内での昼食の時間帯が終わるのを見計らって王へと報告の謁見へ赴いていた。
「バゼラールカ派遣部隊ザーグ只今帰還致しました。」
「やぁ、おかえり〜♪」
謁見の間で待っていたのは王と宰相、近衛が数人に………マサルがドドンと椅子を持ち込み座ってお茶をしていた。
「ちょっ!?何でマサルが!?」
「控えよ、王の御前であるぞ。」
「………マサル殿?それをマサル殿が言いますかな。」
驚くザーグにツッコミ(?)を入れるマサル…更にそれにツッコミを入れるアクシオン王。今その3人を覗いた人の心は『誰かツッコミ入れろよ!』と1つになっていた。
「あ、この間渡した手紙は俺に出して、もう用無しみたいだし回収するね。」
「あ、あぁ………それは構わないが……。」
「おっ?何の手紙かの?ラブレターか?」
「誰がこんなボケ爺にラブレター出すんだよ。」
「くぅ…手痛いのぅ。爺とは失礼な!これでもこの国の王なんだぞ?」
「何で疑問系なのかは知らんが王だって歳を取れば爺だろ?」
「違いないわ。確かに若者と言うにはもう無理があるでの…。」
「にしても何だか老けこんだな…前に会った時とは別人じゃないか…。」
「何か国土拡大やら防衛やらに頭を抱えなくて良くなると何やら張り詰めていたモノが降りて気が抜けたというか…まだまだやる事は沢山あるのだからとは思うのだけれどな…。」
「なるほどな…人は信念と自信と共に若いというヤツか…。」
「…ほぅ、そんな言葉があるのだな。」
完全に周りを忘れて雑談モードに入った2人に『どうにかしろ』と周囲の目線がザーグに集まる。嫌な汗をかきながら言葉を探し、何とか声を絞り出す。
「あの…ご報告よろしいでしょうか?」
「あぁ、報告はこの後に各大臣も集めて会議があるからそちらで纏めて宜しく頼むぞ。」
「アデリナもいるからしっかりしろよ!」
「アデリナっ…さんがどうして!?」
慌てふためくザーグを一瞥してからアクシオンは無情にもそこで話を打ち切る。
「では後程、では解散とする。」
「じゃあなザーグ、また会議の時に会おう!」
ザーグの顔色は今やドン底といった感じだった。
ザーグ君も苦労人ですよねぇ…。




