儚い犠牲
「これに乗って王都まで行くのね!」
ジータとメイを乗せて試運転をした事と、2人のとても高い評価によってアデリナも安全性を信じ期待に胸を踊らせながら車を眺める。
「楽しみだろ?これなら安全に、そしてとても早く王都に行けるよ!」
「これは凄いわね!…あら、一番前は甲殻じゃないのね?」
「あぁ、そこはバンパーと言って念のために金属製になっているんだよ。あんまり軽すぎるのも安定にかけるからね、後ろも同じ様になってるよ。安定させる為の重りくらいに思ってくれ。」
「なるほど!重りね!重り!」
「ぼそっ(嘘だけど……)。」
「えっ?何か言った?」
「いいや?気のせいじゃない?」
「あらそう………。」
勿論、バンパーはぶつかった時の安全用に作られた車の防具なのだが、今回マサルはむしろ環境的に何にも当たらない事は想定しておらず、むしろ防具というより武器といった強度と構造をしているのだが誰も知る由もない。走るのは日本の道路ではなく舗装されていない魔物などのいる原野なのだから仕方ないのだが。
「…そういえば、クックたちは何とかなったみたいだな。何とかなりそうか?」
「何とかさせるわ!というか、してもらわないと困るのよ!」
「出来ればガイを借りていいか?」
「えっ?…ガイか…あれなら良いわよ?一番書類仕事に向いてないから。」
「そうかそうか、それなら安心だな。」
「何を企んでいるのよ?」
「企んでなんかないさ。ただアクシオンとかとは別にアデリナが女王になるなら報告しないといけない人がいるだろ?」
「あぁ……そっちね。彼、大丈夫かしら?」
「何とかなるさ。」
それから完全に執務室と化した神殿の一室にアデリナと向かった。
「なぁ、ガイ…書類仕事苦手みたいだな?」
「そうなんッスよ。こういう仕事を嫌で小隊長の下にいるんスから。」
「オイ!?どういう意味だ!」
クックから何やら横槍が入ったが今回は華麗にスルーしていこう。
「どうだ?お前向きの仕事があるんだが?」
「書類仕事から逃げれるなら何でもするッス!」
「そうかそうか!引き受けてくれるか!良かった良かった。」
「何だか嫌な予感がするッス!」
「ウェインを連れてポータリィムまでお使いして来てくれ。」
「えっ?弟連れてッスか?」
「連れてって…お前より騎士団に所属していた時は階級も上だったがな。」
「で、お使いの内容は?」
「ポータリィムで一番上等な塩を一樽注文して来てくれ。」
「それだけッスか?」
拍子抜けした様な表情をするガイ。そして後ろではクック小隊の面々が「この馬鹿!」と頭を抱えている。
「そうね。せっかく精鋭の騎手を2人も使うのだから叔父に報告をお願い。わたしアデリナはポータリィムに帰る事が出来なくなりました。向こうで女王様になるッス!って伝えて頂戴。」
「あと、来るなら王都に向かっているけどヴィンターリアに来いって伝えてくれ。多分、すれ違いになるだろうからな。」
変な汗がダラダラを頬を伝うガイ…。
「オイラ逃げるッス!」
「一緒に行くウェインが逃がす訳がないだろ?ヤツには家族がこの街にいるんだ。ちゃんと仕事する様に見張っておく様に頼んでおくよ。」
「………頼んでって………それは人質ッス……この悪魔!」
「「何でもやるって言っただろ!」」
声がぴったり合ったマサルとアデリナの言葉に撃沈されたガイは嬉し涙(?)を流しながらアデリナのランスロットに宛てた手紙が書かれるのを眺めていたのであった。
タイトルを付ける時が一番悩みます。
何も考えずに書いたツケと言いますか…もう仕方ない事だと諦めて考えてますけどね。




