21.
「何だコイツら!」
「敵か?!」
「リ、リザードマン?!」
リロイたちの背後、ガルフとコールが警戒の声上げ、そしてティコが悲鳴めいた声音で突如その存在明らかにした者――それは間違いなく、緑の肌持った人型モンスター、リザードマンの集団だった。
「く、かなり手強そうだよ!」
しかもそれ見た途端ファムが叫んだように、それぞれが剣と鎧で物騒にも完全武装した。
「ち、館から出るのを張っていやがったか!」
「私たちを狙って?」
「当然だ!」
さらに言えば、その10体以上は優にいる数が、島の周りを隙間なくぐるりと包囲していたのだ。まさしく、逃げ道など一つもなしとしか言いようがない。ましてやその形相たるや、思わず目を背けたくなるほどに凶悪そのもので。
「ただの通りすがりのわけがない!」
――今すぐにでも眼前の獲物たちへ、飛びかかって行かんが如き。
それゆえリロイはじめ皆は一気に再び緊張高め、それぞれの得物手にそんな剣呑極まる相手迎え撃とうとしたのだが。
まさに、休む暇もないまま。
相変わらず、深い靄が辺りを包んでいた中。
「ムハハ、リロイ・シュバルツシルト。ついに見つけたぞ!」
しかしそうしてつと戦端開かれるかと思われたその刹那、一体のトカゲ戦士の背後からふいに一人の人間の男が現われ、
いかにも悠然と。
「!」
「お前は?!」
さらに彼は一同、特に魔道士へ向けて途轍もない敵意こもった視線、放ってきたのだった。
灰色の上衣の上から青いマント羽織った、白髪灰瞳の、猛禽類思わせる顔持った30代くらいの男。はたしてその手にしているのは、魔法の杖なのだろう。
そう、眼前に出現したのは、紛れもなくリロイと同じ魔道士で……。
「まさか?」
「ハハ、そうだ。気づいたようだな。私はパルメノン様の配下、アルゴだ!」
「え、パルメノン?!」
しかも他でもない、あのソーサリスの一人、パルメノンがリロイ追跡に向かわせた手下だったのである。
「しかしこんな所まで来た甲斐があった! やっとお前たちに追い着けたのだからな!」
「ち、なぜここが!」
「誰が教えてやるものかっ」
何よりその殺気、今やもの凄い勢いのものとしか言わざるを得ず。
「この沼の中で、哀れ屍晒すこととなる奴らに!」
ましてや相手に掛ける情けなど、一片たりとなく。
ただただ、強気にも勝利の予感だけをふんぷんと漂わせた――。
「くそ、こんな所で戦うつもりか?」
「当然だ。まあ、大人しく降伏するというなら、話は別だが」
「そんなことするわけないじゃない、馬鹿にしないでよ!」
そうしてまさに売り言葉に買い言葉、敵がそんな挑発の言葉自信ありげに吐いてくると、アリソンもたちまち言い返していたわけだが。
「……それにしても妙に大勢引き連れているな。皆、お前の家来か?」
しかしその少女認めるや次いで改めて獲物たち見回し、ふとリロイへ一つ訊ねたのだった。
「何だ、気になるか?」
「当然だ。何より全員が、パルメノン様に歯向かう者たちとなれば」
「確かにみんな、家来みたいなもんだな。……いや、中には若干、違う感じの奴もいるが」
「て、誰が家来よ!」
その問いによって、予想外にも俄然妙な争い、始めさせながら。
「可愛い曾孫に向かって!」
「!」
そう、特にそのリロイと口論始めかけた一方、金髪の少女はアルゴの気を途端強く引き。
「曾孫――そうか。お前がマステラの言っていた、あの娘なのか」
白髪の魔道士は次にはそうした言葉、面険しくも言い放っている。むろん到底捨て置けぬ要注意人物、とばかりに。
「! だから、何よ?」
「リロイ・シュバルツシルトの血族がいまだ残っていることも驚きだが、しかしそれがパルメノン様に弓引く輩とは……これは絶対生きて返すわけにはいかんな」
「ほう、こいつは剣呑な話だ」
当然リロイがからかうが如き横槍入れてきても、まるで構うことなく。
いや、刹那むしろその灰色の瞳は寒々しいまでに危険な輝き、放ち出し。
どこまでも相手、凍てつかせんと。
「フム、最初から全力で叩き潰すとするか」
……ついには余りに危険な一言、リロイ一行へ向かって告げていたのだった。




