その3
「え~いっ!」
カエル飛びをした水助は、ハスの葉の上に足をつけました。そこには、カエルが3びき集まっています。
「おっ、新入りか」
「ちょうどよかった、今からみんなで鳴き声を上げるところなんだ」
カエルたちは、これから3びきいっしょに歌うところです。そこへ加わった水助は、カエルのなかまと歌うことに足手まといにならないか少し不安になっています。
「新入り、心配しなくても大丈夫だ。おれたちだって、最初からうまく歌えたわけではないから」
見ず知らずの新入りが相手でも、カエルたちにとってはなかまであることに変わりありません。水助は、他のカエルと横にならんで歌うことにしました。
「ケロッ、ケロケロッ、ケロケロッ、ケロッ、ケロケロケロッ!」
見よう見まねで鳴き声を上げ始めた水助は、次第に他のカエルたちと同時に鳴くことができるようになりました。
「ケロケロッ、ケロケロッ、ケロケロケロッ!」
「おおっ! うまくできたじゃないか!」
「で、でへへっ……」
自分の鳴き声がカエルたちにほめられたことに、水助は少し照れくさそうに笑っています。すっかりカエルたちのなかまとなった水助ですが、ここにずっととどまるわけにはいきません。
「他のところへ行くから、今日はこの辺で」
「それじゃあ、またきたときにはいっしょに鳴き声をあげようよ」
カエルたちとやくそくを交わした水助は、カエル飛びで池に浮かぶハスの葉に飛びうつっていきます。そして、ハスの葉に立ってはで鳴き声を上げています。
「ケロケロケロッ、ケロケロケロケロッ!」
元気な鳴き声は、池の周りにいる他のカエルたちの耳にも入ってきました。水助の鳴いている様子を見ようと、周りのハスの葉には多くのカエルが集まりました。
「新入りのカエルなのに、あれだけの鳴き声を上げるとは」
「もっと元気な鳴き声をたのむぞ!」
カエルたちに自分の鳴き声をとどけようと、水助はまるで歌うかのようにひびかせています。
そんな水助ですが、鳴き声を上げてむちゅうになっているうちにおしっこがしたくなってきました。
「お、おしっこがガマンできない……」
水助は、他のカエルたち鳴き声を見せるのを終えると急いで池のほとりに向かっていくつもうかぶハスの葉へ飛びうつることにしました。スイカを食べすぎたこともあって、水助のおしっこはガマンできなくなってきました。
ピョンピョンと飛びうつる水助の耳に、カエルじいやの声が入ってきました。
「ぼうや! おまじないのきき目がなくなると池の中へ落ちるぞ!」
この一声を聞いたとたん、水助はあわてて池のほとりに向かって飛び上がりました。池のほとりに足をついたカエルは、さらにもう一飛びすると目の前にある木へしがみつきました。
すると、カエルになっていた水助は白いけむりにみるみるうちに包まれていきます。そこには、はらがけ1まいでおしりが丸見えの水助のすがたがあらわれました。
元のすがたにもどった水助ですが、ホッと一息ついたその時のことです。
「ジョジョジョジョ~ッ、ジョジョジョジョジョジョ~ッ……」
「あっ、おしっこが出ちゃった……」
水助がしがみついたところからは、たくさんのおしっこが木のみきを伝うように流れています。木の根っこには、流れ落ちたおしっこの小さい水たまりができ上がっています。
「おもらししちゃった……」
おしっこをガマンできなかった水助は、自分がおもらしをしちゃったことにがっかりしています。そうするうちに、水助の周りに広がる景色が次第に消えていきました。
しがみついていた木が消えたことに、水助は手足をバタバタさせながら下へ落ちないように必死になっています。けれども、そんな努力もむなしく、水助は真っさかさまに落下していきました。
「えっ? うわっ! うわわあああああああ~っ!」




