第六十一話 リオス盗賊団
「ついに来ましたか」
「そのようじゃな」
賑やかな街も静まり返った夜中。
俺はクルピアちゃん、アリスちゃん、コレディッカ先生と合流し、魔箒を使ってフェルディア宝飾店へ向かう。
場所は旧市街の中でも比較的人通りがある方の商店街だが、すっかりこの時間では人っ子一人いないようだ。
そんな中、ガサゴソと宝飾店から音がする。
「突撃ーっ!」
アリスちゃんの号令と共に、フェルディア宝飾店へ突入する。
するとそこには、見るからに怪盗といったマントと帽子で着飾った男の姿が。
「マ、マズい……!」
「【スネークバインド】!」
アリスちゃんが現代魔杖で、相手を拘束する魔術を使う。
「フン、効きませんよ!ワタシの服には魔力を弾く加護が使われているのです!」
「なら……それっ!」
俺は地面に転がっている石を持ち、そのまま怪盗の顔面を狙って投げる。
「何をしようと無駄でべぇぇっ!」
どうやら、鼻にクリーンヒットしたらしい。
怪盗が怯んでいる隙に、俺は距離を詰めて腕を捻り、そのまま足をかけて転ばせた。
「よくやった、プラティエ!」
「お手柄でェすよ、プラティエ君」
「流石、アリスの騎士サマ!」
以外にも、怪盗はあっさりと捕まった。
ロマンも何もあったものではないが、怪盗の正体は、リオス怪盗団に所属するらしい、それ以外は何てことない、髭面のオッサンであった。
「さて、じゃあ……クイナ・トドメキをどこにやったのか聞かせてもらおうか」
「し、知りませんよ……!そういう人を誘拐したのは知っていますが、実行犯は他のメンバーです!それに……彼女はもう、ワタシ達の元にはいませんよ」
「何だって?」
俺達は近くの空き家に籠り、尋問を始める。
「ワタシ達は、依頼を受けて誘拐したに過ぎないのです」
「どこからじゃ。反魔術党からか?」
「だから知らないと言っているでしょう!」
「本当にー?」
「本当に知らないんです!!!知っているとすれば、実行犯くらいのものじゃないですか?」
「その実行犯はどこォへ行ったのですゥ?」
「アジトを教えろということですか?」
「まあ、そういうことになるかな」
「フフフ……我々にアジトなどありません。ただ同志が同じ怪盗団の名を名乗る、それだけの集団です。正直、他の仲間が誰なのかは、末端のワタシには分からないのですよ」
「マジで言ってんのか」
「ええ、マジですとも」
それから、クルピアちゃんによる拷問があったが、それでも、彼が仲間やクライアントについて語ることは無かった。
よほど我慢強いのか、はたまた本当に知らないのか。
いずれにせよ、俺達は怪盗団の未熟な一人を警察に突き出す以外に、特に成果も得られずに終わったということである。
ただ一つ、「クライアント」の存在が確認できたことを除いて、だ。
それからまた例のバーへ戻り、四人での会議が始まった。
会議の中心となった話題は、クイナ・トドメキ誘拐事件の裏で、手を引いている存在についてだ。
かの未熟な怪盗は、「クライアント」の存在があると言っていた。
なるほど、彼らは自身が盗むべきものを盗む以外に、誰かの下請けとしての盗みにもやっていたということだろう。
しかしそれは結局、「クライアントとは誰なのか」という問題で俺達を行き詰まらせるだけになってしまったのであった。
それから結局、クライアントの正体に辿り着けなかった俺達は、これからも反魔術党の動向に気をつけながら、一旦は日常生活に戻りつつ、何かあった際にはまた集まるということになった。
そして五日後。
俺とクルピアちゃんがよく行く喫茶店の話をどこからか聞きつけたアリスちゃんに連れられ、喫茶イボルテへ顔を出すことになったのであった。




