第五十四話 なりそこない 中編
「【雷】!」
「【妖怪変化・戦狐】!」
まだ魔力が残っているイロハちゃんとベルリナちゃんは前衛へ。
俺は最低限、流れ弾が飛んできても耐えられる程度の身体強化をするくらいの魔力しか残っていないため、後衛、もといテレア・ミカゴの拷問を担当することになった。
「おい、ババア」
「な、何よぉ……アタシ、何も知らな……」
「冗談はよせ。なら、あの子は何だ?」
「し、知らないわよぉ……」
「そうか。なら」
俺は側に落ちていた石を持ち、隣で倒れているベルリナちゃんの父親へ近寄る。
「な、何をする気」
「まずは足かな」
「な、何だ、ギャァァァァァァァァ!」
そして、右足に思い切り石を叩きつけ、骨を粉砕した。
「や、やめてぇ……」
「次は左足だ。それが終わったら、次はテレア・ミカゴ。お前の左足を砕く」
「わ、分かったわよ!全部話す!全部話すからやめてぇ……」
「どれ、言ってみ」
少女が傷つけられたという事実が存在するだけで、俺はここまで非情になれるのかと、少し自分のロリコンぶりが恐ろしくなってくる。
「わ、私は、人と人とが分かり合える世界の理想を叶えるために、人工的に魔王を生み出して、皆に力を分け与えてもらおうと思ってたんですぅ……」
「魔王が生まれることと、人と人とが分かり合うことに何の関係があるんだ?」
「し、知らないのォ~?」
「ナメた態度取ってると足砕くよ」
「わ、分かった分かった!分かったわよぉ!魔物の中には、群れの一個体が危険を察知すると、周りの個体がそれを察知して逃げられるように、テレパシーを使える種類がいるのよお!」
「危険を感じたマーモットが叫ぶみたいなものを、念波やら脳波やらでやると?」
「簡単に言えば、そういうことね。……だから、新たに誕生した魔王の力を人に分け与えることで、互いを理解できる力を配ろうと思っていたのぉ……!」
「それで、あの女の子を魔王にしたかったと?」
「ええ、そうよ!あの子はアレで終わりじゃない、まだまだ成長すれば、きっと魔王になれるわ!だって、アタシが選んだ子だもの!」
「ベルリナちゃんを差し置いて?っていうか、大体どこから来たワケ?」
「お、教えな~いだぁぁぁぁぁ!」
「腹が立ったので右足を砕かせてもらいました。で、どこから来たの」
「ひ、ひぃぃぃ……!ゆ、誘拐してきましたぁ……村の外れの、孤児院からぁ……!」
「こりゃあとことんカスだな」
「こ、この世界のためなんですぅ……」
「なら、ベルリナちゃんに好きな進路選ばせてやりゃあ良かったじゃあないか。自分の子供の意思も尊重できずに、人と人とが分かり合える世界を創るだなんて、夢を見過ぎなんてレベルじゃないですよ」
「うるさいわね!人の家庭の事情に口を出さないで頂だぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺は強化された肉体で、右腕を後ろへグルリと回し、関節の骨を砕いた。
「ま、そのおかげでベルリナちゃんと会えたんだけどさ。でも、これだけは言わせろ」
「な、何よ……」
「ベルリナちゃんの人生はベルリナちゃんの人生だ。お前のものじゃない」
「ぐ、ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
「ぐうの音は出るようで何よりです。反省してない証拠ですかねー」
「や、やめて、これ以上は……!」
「ま、どう答えても、こうするつもりではあったけど」
俺はテレア・ミカゴの上に跨り、残った左足と左腕の骨を砕き、さらに一撃、左頬へビンタを喰らわせた。
「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
まあこんなものかと、俺が姿勢を戻して、クルピアちゃんとベルリナちゃんの方向を見ると、ちょうど、大人しくなった怪物が地面に横たわっていた。
「プラティエ。こちらも丁度終わったぞ」
「うわあ、酷い有様だな」
「ちょっと我慢できなくてさ。……じゃあ、拷問第二弾といきますか」
「ま、まだあるのぉ…….!?」
「あの怪物を女の子に戻したい。だから、逆位相の儀式をやりたいんだよ」
「そ、そんなの……」
「あるでしょ。もし暴走した時のことを考えて、逆位相の儀式を用意している。違う?」
「そ、それは……」
今の俺は少し荒ぶっている。
こうして、俺達は拷問第二ラウンドを続け、魔王のなりそこないを、怪物から少女に戻す手段を聞き出す。
その後、俺達は二人にトラウマを植え付ける程度の拷問をした上で、聞き出した逆の効果を持つ儀式を施すことで、少女を元の姿に戻し、坑道を後にするのであった。




