↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「杖持たず」の旧式魔術師 〜機械音痴は手動の魔術で時代を追い抜く〜  作者: 最上 虎々
第五章 雪降る夏休み

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/76

第四十九話 豪雪地帯へ行こう

 クイナ・トドメキ襲撃未遂事件から一ヶ月と少し後。


 事件に関する処理が一通り落ち着いた頃、とうとう、俺達の夏休みが始まったのだった。


 すっかり精神状態を元に戻した俺は、何やら忙しそうに、廊下で荷物をまとめるベルリナちゃんに話しかける。


「ベルリナちゃん、どうしたの?そんなに急いで荷物なんてまとめて」


「おう、プラティエかー。実家に戻らなきゃいけなくなっちまってなー。めんどくさいぜー」


「あんまり実家に良い思い出無いんだっけ……?」


「ああ。でも、学費を出してもらっている以上、断る訳にもいかなくてよー」


「じゃあさ、俺も行っていい?」


「えー!?来てくれるのかー!?」


「うん!俺、前から興味あったんだよ!北の方!」


「でも……旅費はどうすんだー?アタシの親、めんどくさい奴だから……ウチに泊まるのはオススメしねーぞー?」


「そこは大丈夫。俺、お小遣い貯めてきたから」


 実家から送られてくる小遣いを使う用事があるとすれば、放課後に喫茶店(イボルテ)へ行く時くらいのもので、今まであまり大したお金を使う事が無かった俺の貯金箱には、今や子供が持つには多い金額が貯まっていたのであった。


「そうかー。ま、困ったら言えよなー。めんどくさい親に絡まれながらで良いなら、泊めてやるぜー」


「ありがとう。……いつ出発なの?」


「今日の夜だ!だから、一緒に来るなら急げよー?」


「うおおマジか!分かった急いで準備する!」


 俺はベルリナちゃんに置いて行かれないよう、急いで部屋に戻り、リュックサックに荷物をまとめる。


 そして箒を持ち、夜になる前に、急いでベルリナちゃんと合流するのであった。


「おお、来たか!じゃ、行こうぜ!」


 俺とベルリナちゃんはバスの切符を買い、荷物をトランクに預けて車内へ。


 出発前に、ベルリナちゃんからイロハ(クルピア)ちゃんにメッセージで連絡を入れてもらい、無事に俺達は王都マガルタを出発するのであった。


「すげぇ最悪な気分だぜー。遠くに行く時って気分がアガるハズなのになー」


「まあ仕方ないよ。それより……イロハ(クルピア)ちゃんから鬼電がかかってきてるんだけど、今はバスの中じゃん?だから、メッセージを打って欲しいんだけど……」


「いいぜ。何て打てば良い?」


 俺は通信端末をベルリナちゃんに託し、代わりにメッセージを打ってもらう。


「『どうしたの?もうバスの中だから電話出れないよ』って打って」


「分かった。……お、早速帰ってきたぜ。『どうしたもこうしたもあるか!妾も誘え!』だってよ」


「来たかったんだ……声かけとけば良かったね。じゃあ、『箒で追いかけて来れる?』ってお願い」


「ああ。……お、返信早いな。『どこに行くつもりじゃ!』だってよ」


「『アピルラタ村』って……お願い」


「分かった。ア、ピ、ル、ラ、タ、村……っと。これでオーケーだぜ。でもイロハ、どうやって来るつもりなんだ?」


「箒じゃない?確か上手かったハズだよ」


「イロハ、箒使えるのかー!それなら、アタシ達と着く時間そんな変わらないかもな」


「そうだね」


 魔術師的には、「箒で来る」と「バイクで来る」はほぼ同じ意味であるため、確かに時間は変わらないハズだ。


 これは余談ではあるが、起動の難しさ故に、そもそもまともに動かせない者は起動さえ出来ないため、操縦するための免許は要らないのである。


 それに箒はバスと違って、地上の障害物を無視して最短距離を飛べるため、もしかしたら、出発が俺達よりも遅れたイロハ(クルピア)ちゃんであっても、ほぼ同じ時間に到着するかもしれない。


 そして、箒に乗るのは何を隠そう、最高位魔術師のクルピア・イロアだ。


 運転疲れには気をつけて欲しいものだが、イロハ(クルピア)ちゃんなら心配ないだろう。


 バスに揺られること八時間。


 降り積もる雪をかき分け、俺達はアピルラタ村へ到着した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。